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美しく不思議な御所の二つの古道を歩く
近年にない寒さとも、間もなくお別れ。今回は春の予感を先取りして、自然と歴史を楽しめる道を歩くことにしました。選んだのは奈良県御所(ごせ)市の二つの道、「葛城古道」と「巨勢(こせ)の道」です。どちらも神社仏閣が多く集まり、木々のトンネルが訪れる人を優しく包んでくれる、春にも秋にも魅力いっぱいの道です。この道を目指し、まずは御所市までのドライブを楽しみます。



  奈良の新しい道    <中和幹線の地図はこちら>
 

南阪奈道路
 二上山、葛城山、金剛山を眺めながら南阪奈道路を走っています。この道は葛城市で大和高田バイパスにつながっているので、一昨年3月の開通は、大阪から奈良への道路事情を大変によくしました。ただ、奈良は歴史があるだけに昔ながらの道がまだ多く、これからも整備が必要です。
 南阪奈道路の北側では、西名阪自動車道・柏原インター前から桜井市まで、「中和幹線」の整備が進められていますが、そのうち柏原インター前から香芝市穴虫(あなむし)までの区間は、まだ計画段階です。現在、この区間の国道165号は片側1車線・合計2車線で、渋滞が日常的に起き、曲がりくねっている上に歩道がないため、車も歩行者も危険です。昨年、この区間の道路計画についてアンケート調査が実施され、今後はその結果も参考にしつつ、道路計画案の検討が行われるとのこと。中和幹線として整備されるのが楽しみです。

  人気の葛城古道を歩
 

葛城古道

 御所市は西側に金剛山と葛城山をいただき、市の中心を国道24号が南北に貫いています。その西側に並行するように高野街道が走り、さらに西側、金剛・葛城山のすそ野あたりに葛城古道があります。多くの社寺がある古(いにしえ)のルートを観光向けに整備した道ですが、「御所市観光ボランティアガイドの会」の菊井嘉彦(代表)さんと尾上(おがみ)和雄さんに案内をお願いしました。葛城古道は尾上さんが担当です。
「葛城古道は古代神話の里と言え、高天原(たかまがはら)の伝承における天孫降臨の舞台になっています。また、初代から八代までの古代天皇のうち、3代の宮が御所市にあったという伝承があります。さらに、4世紀半ばから活躍した古代豪族の葛城氏の勢力圏でもありました」


九品寺の「千体石仏」
 まずは葛城古道の北の入り口近くにある鴨山口神社から歩いて15分ほど、九品寺(くほんじ)に来ています。大和三山が水墨画のように見えています。
「奈良時代、聖武天皇の命により行基が建立したと言われているお寺で、重要文化財指定の仏像もあります。目前に並んでいる『千体石仏』も有名で、秋の紅葉やヒガンバナ、春の桜と、四季折々に楽しめるかなり人気の場所でもあります」

 九品寺から歩いて15分ほど南へ。今度は、一言主(ひとことぬし)神社に来ました。
「一言だけ願いをかなえてくれると、古くからたくさんの方に人気のお宮さんです。重い病気になった方などが全国からも来ています。一時期、少し廃れた時期があり、再興するために役行者(えんのぎょうじゃ)を駆り出してきて一つの伝承が出来上がりました。ここから大峯の方に橋を架けろと役行者が言ったのですが、一言の神は顔が醜かったため夜しか仕事ができず、橋が結局完成しなかったというような伝承です」



高鴨神社

 葛城古道散策の最後は、南端に近い高鴨神社。かなり古そうな神社です。
「ここは古代豪族の鴨氏が信仰した氏神様です。鴨氏がここから大和平野を北へ行き、山城国の方へ移っていって、そこから一族が全国に散っていったと言われています。先代の宮司さんがサクラソウを大変に愛好していたため、今でも4月20日〜5月10日ごろまでの開花時期には、かなりの人が来ます」