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   全国屈指の「木彫りの里」           
 


上丹生地区

 南へ戻り、名神高速を過ぎてさらに南へ。米原インターから南東方向へ約5分、中山道の宿場町「醒井宿」の近く、旧米原町上丹生(かみにう)地区に来ました。ここは「木彫りの里」と言われ、大勢の彫刻師や錺(かざり)金具師などがいます。一つの集落にこれほど多くの技術者がいるのは全国的にも珍しいとのこと。彫刻師で、「上丹生木彫(もくちょう)組合」組合長の清水則男さんにお話を伺いました。いいにおいがします。
「今、ヒノキを材料に蟇股(かえるまた)を作っているんです。ヒノキはお風呂に使うなど、いい香りがすることで知られています。蟇股の使われ方はいろいろですが、これは内陣と外陣の壁に入るんで、片側だけの『半蟇股』です。私のところでは、とくに社寺関係の彫刻一般をやっております。お寺でまず正面に見えるのが向拝(ごはい)で、その屋根を支える向拝柱の両脇に付いている獅子やバクなどの立体物や、梁(はり)の唐草彫刻、雲やボタンなどの図柄、そういうもの全般を手掛けております」


数多くの道具を使いこなして
仕事をする清水さん

 他の分野を得意とする方もいるのでしょうか。
「人によって得意なものが違います。この村では、木で出来るものは何でもこなせるという自信があります。仏像から床置き、お寺の狭間(さま)、岸和田だんじりの彫刻など、あらゆるものを手掛けております。今、組合員は20人で、歴史については、はっきりしたことが分からないけれども、ここでの木彫りは江戸時代中期に始まったと聞いています」

 清水さんの目の輝き。素敵なお仕事をされている感じがします。
「そうですか。誰でも人の仕事は楽しく見えますけれども、この道に入ってみると、大変なことはいっぱいあります」


人気の醒井宿も近い
 この地域の自慢をお願いしました。
「このような田舎ですけれども、自然も豊かですし、観光地も近くにあります。ゆっくり遊びに来ていただいて、手作りの魅力や素晴らしさを見ていただければ、また価値観も変わるんじゃないかという気もします。『霊仙(りょうぜん)』で登山もできます。職人がたくさんいて、いろんな皆さんに満足していただける村だし、近くに来られましたら、ぜひとも寄って欲しいと思います」
 

最後に、中山道61番目の宿場町である醒井宿に来ました。昔ながらの町並みのすぐに横に、清流の地蔵川が流れていて、そこに架かる石の橋を渡って家に入っていくというような眺めがずっと続いています。すぐ上に名神高速が走る、今も昔も交通の要衝。現代と過去を行き来しているかのような気分にさせられる場所です。