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   しこを踏んで五穀豊穣           
 


水谷神社
ねってい相撲は手前の広場で行われる

 養父市に入り、円山川沿いに走って道の駅「やぶ」を通過し、山手へ入ると奥米地(おくめいじ)地区があり、水谷神社が見えてきました。苔(こけ)むした細い石段を上がると広場や本殿がある、山と木立に囲まれた静かで小さな神社です。ここで、1週間ほど後の10月10日、珍しい相撲が行われるようです。「ねってい相撲」という伝統ある神事について、養父市奥米地の区長で「ねってい相撲保存会」会長の生田正司(しょうじ)さんにお話を伺いました。
「昔、木造建築の家屋を建てる際、赤土でいろんな壁を造っておりました。山から取ってきた土を、繰り返し繰り返し、しこを踏むような格好で練っていくわけです。それが『ねってい相撲』の型になっとるということで、『練って練って』が語源だと言い伝えられています」

 

しこを踏む生田正司さん

 何のためにする行事なのでしょう。
「平安時代、朝廷で相撲節会という神事があったらしいんです。そこに、こちらからも選ばれた代表が赴いていたらしく、持ち帰った物を氏神様である水谷神社に奉納したのが始まりと言われています。五穀豊穣の祈願が目的のようで、悪霊などの危害を加えるもんを鎮め、病気や災害をなくするように、天の神、地の神にお願いをする意味でしこを踏んだりします。動作としては、腰に手を当てて、ヨイ、ヨイ、ヨイ…としこを踏み。ほいで、相手とじっとにらみ合い、天の神に右手を振り上げて、同時に右足をヨイッ!と」


これは天の神を鎮めるポーズか?
 
 平安時代から受け継がれている神事。後継者は大丈夫でしょうか。
「裃(かみしも)姿でするため敬遠されていまして、私らが乗りかかった船とばかり青年団のころからずっとやってきました。それでも、最近は若者にも理解されてきて、4〜5年前からは引き継いでくれるようになったので大変喜んでおります」
 
 

兵庫県朝来市と養父市を回って、但馬の魅力の一端を楽しみました。来るまでは「おいしいもの」で頭がいっぱいだったのですが、来てみて恐れ入りました。長い歴史とすばらしい観光スポット。但馬のこれからは、要チェックです。