
室生寺は深い山の中

国宝の金堂

国宝五重塔は女人高野のシンボル

室生寺は紅葉シーズンを迎える
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国宝を守った“匠の技”
針TRSを出て、国道369号から県道28号へ。 段々畑もあって、
のんびりした感じでした。そして、国道165号に入ると、いよいよ室生寺。
橋を渡ると杉木立の狭い道。霊場に来たという気分が高まってきました。
室生寺は、平成10年9月22日、台風7号の際、国宝の五重塔が杉の巨木で
壊れる被害を受けています。新聞の写真は衝撃的でした。
あれから4年、五重塔はどうなっているんでしょう。
室生川を渡り、室生寺にやってきました。
室生寺執事の松平雅之さんに、 まずは室生寺の沿革から伺いました。

「室生寺は1200年の歴史がありますが、それを五重塔が実証しました。
使っていた木が切られた時期を調べる方法があって、損失時の破片を調べ
たところ、794年に切ったことが分かりました。1200年は十分に
経っています。770年代、親王の病気平癒のために興福寺の高僧が来て
拝むと、病気が平癒したことから、国家安泰のために建てられたということです。
当初は興福寺の末寺でしたが、江戸時代、桂昌院によって真言宗になり、
その後、一派を立てて室生寺派の大本山『室生寺』になりました」
室生寺は「女人高野」といわれていますが、どうしてなんでしょう。
「修行道場ですから、昔は女人禁制でしたが、桂昌院が女性もお参りできる
お寺にしました。それと、日本一小さい五重塔が檜皮(ひわだ)葺きという
女性的な建て方で、他の本山の寺と比べて、見た目が柔らかく感じる
こともあるでしょう」
その建物には、国宝や重要文化財がたくさんあります。
「鎧坂を上がってまずあるのが、鎌倉時代建立の重要文化財・弥勒堂です。
次に、平安初期に建てられた国宝・金堂、鎌倉時代に建てられた国宝・本堂。
そして、日本最小の国宝・五重塔は、平安初期の建築。さらに奥の院には、
鎌倉時代にできた重要文化財・大師堂があります。
ご本尊は六臂如意輪観音で、重要文化財です」
気になるのはやはり五重塔。一番下の屋根まで壊れたのに、
よく倒れなかったものです。
「昔の匠の技のおかげです。塔は石の上に乗っていて、五層の屋根も積み木の
ように乗せてあるだけです。五層まで行って屋根を動かすと、じわっじわっと
動くんです。そういうふうに収縮して台風に耐えられる構造です。 弱そうで
倒れないのが五重塔。全国にある五重塔が倒れたという記録はないはずです」
修復はどのようにしたんでしょうか。
「一層はそのままで、二層、三層はジャッキアップして、そして、四層、五層は
解体して修復しました。ほとんど元のままの姿で修復できました。驚いたのは、
板葺き、柿葺き、檜皮葺きと、過去の修復ごとに工法が変わっていたことです。
解体して初めて分かりました。時代ごとの工法が残っています。素晴らしい木の
文化です。約1年10カ月で完成してしばらくは、『新しく建て替えたんか』と
言われましたけど、今は落ち着いたいい五重塔になってきました」
女人高野「室生寺」
■拝観時間:8:00〜17:00
■拝観料:大人500 円、小人300 円
■TEL /0745-93-2003
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