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「石山の秋月」が源氏物語を生んだ
京滋バイパス石山インターから3分ぐらい、「石山寺」に到着しました。
阿形像・吽形像が迎え、もみじのトンネルから木漏れ日が差してきます。
あちこちに大きな独特の岩があって、これが「石山」の由来だとか。
本堂で、職員の佐野玲子さんに伺いしました。

ここは、近江八景の一つ「石山の秋月」で知られる景勝地。
そんなに月がきれいなんでしょうか。
「見事ですね。お堂の東から月が昇る様は、
見ていただくよりほかないですね」
石山寺は、かなり歴史のあるお寺とのこと。
「1250年前の奈良時代、聖武天皇の勅願寺として建立されました。
ご本尊は一面二臂(ひ)如意輪観音菩薩様。一丈六尺(5m)の
ふくよかな観音様です。33年に一度だけ扉が開かれて、
ご本尊を拝むことができます。だから、閉まっている時のため、
ご本尊の前に御前立様という代わりの観音様がいらっしゃいます。
今は、開基1250年で特別に開いています」
国宝や重要文化財が多いお寺です。
「今いる本堂、日本最古・最美と言われる多宝塔、お経など、
多くの国宝があります。重要文化財の仏様もいらっしゃいます」
花のお寺としても有名です。
「10月には、ハギが満開を迎え、観音様の形をした秋明菊が 咲き
ます。また、『紫式部』という紫の可愛らしいお花も咲きます」
その紫式部と石山寺は、どういう関係なんでしょうか。
「平安時代、観音信仰が盛んで、奈良の長谷寺と京都の清水寺、
この石山寺が、三観音として有名でした。都の貴族にとって、
奈良は遠く、清水は地元。石山寺なら、琵琶湖もあり物見遊山も
兼ねてお参り出来ると、『石山詣』を盛んにしました。
天皇の叔母君にあたる選子内親王から、自分が仕えていた
上東門院彰子様を経由して物語の依頼をされた紫式部も、
いいいものが書けるようにと、寛弘元年8月15日頃、十五夜の時期に、
『石山詣』をして、御籠(おこもり)部屋に七日七夜こもったそうです。
そして、部屋の東の花頭窓から見える『石山の秋月』を眺める
うちにひらめいたのが『源氏物語』で、十二帖須磨巻、
『今宵は十五夜なりけり…』から書き始めたと伝えられています」
紫式部がこもったという部屋は、文机の前の窓の他は暗く、
静かな空間に身を置いて構想を練る式部が、窓から外を眺め、
昇ってきた月にインスピレーションを受けたのも納得出来ます。
大本山「石山寺」
滋賀県大津市石山寺1-1-1
■拝観時間/8:00〜16:30
■拝観料/500 円
■TEL /077-537-0013
*特別御開扉500 円(12月16日まで)
「瀬田の夕照」に染まる
石山寺を出て瀬田川を北へ。瀬田の唐橋に来ました。
水がきれいで、最近いわれている瀬田川のシジミ復活が実感できます。
この橋は昔から交通の要衝だったため、戦で何度も落とされました。
緩やかなアーチ状になっていて、欄干の上には擬宝珠(ぎぼし)も 乗っています。
ここは近江八景「瀬田の夕照(せきしょう)」で
有名です。見事な夕陽は近江大橋の方まで染めあげます。
また、瀬田川の東の道は「夕照の道」と呼ばれて、
カフェやレストランが並ぶ人気スポット。歴史、グルメ、
ロマンチックな夕陽…もう最高ですね。
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