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天然記念物が住み、随の使節を迎えたところ。
大阪市旭区、淀川の「城北わんど」。明治初期から昭和20年代前半にかけ、この辺りに木の枝などを編んで造った水制と呼ばれる構造物が設置され、そこに土砂がたまり、水際を好む草木が生い茂って、魚たちには絶好の環境となりました。国の天然記念物であるイタセンパラが住む場所としても、この城北わんどは知られていますが、今、そのイタセンパラが危機的状況にあるようです。


  イタセンパラの敵、外来の魚と植物。     <城北わんどの地図はこちら>
 


淀川(大阪市旭区)

 大阪工業大学北側の城北わんどを見ると、数人の皆さんが作業中。そのうちの1人、大阪府水生生物センター主任研究員、内藤馨さんにお話を伺いました。
「今、淀川で増えてきている外来魚のブラックバスやブルーギルを駆除する作業をしてます。外来魚には、在来の稚魚などを食べる害があります。また、在来魚と外来魚の稚魚同士による餌の取り合いも生まれ、城北わんどの生態系を崩すことになります」


 


城北わんど

 外来魚が目立ち始めてきたのは、いつごろからなのでしょう。
「水生生物センターでは、昭和48年から10年おきに淀川の調査を行っていて、前回の調査では外来魚の比率がすごく低かったんですが、2年前の調査では全体の40%を占める状態でした。在来魚の住める環境が少なくなってきたところに、少々悪い環境にも適応できる外来種が入り込んで増えたことが考えられます。イタセンパラは、ふ化した稚魚の数を国土交通省が毎年調べていますが、全く見られないような状態になっています。他の在来魚もすごく減っていて、在来魚全体が淀川の環境悪化の影響を受けていると思います」




わんどに入って作業
 イタセンパラが住めなくなった原因は何でしょう。
「淀川自体に流れがなくなり、たまり水状態になっていることがあげられます。昔の淀川には、わんどの中にたまった泥までも洗い流すような大水がありましたが、今はないのでわんどの底にヘドロがたまったままです。そうなると、タナゴの仲間が産卵する二枚貝が生活できなくなり、必然的にイタセンパラも含めたタナゴ類が数を減らしてしまいます。また、淀川では外来水生植物が繁殖し、水質や水底の状態に影響を与えています。2〜3年前からとくにひどいんですけど、特定外来種に指定されているボタンウキクサ、ナガエツルノゲイトウ、ミズヒマワリの3種が、水面を覆いつくし、わんどの中の酸素欠乏や光不足を生み出しています。さらに、外来水生植物は冬に枯れ、水底に沈んでたまるため、ヘドロになって二枚貝が住みにくくなり、タナゴ類が産卵できなくなります。イタセンパラは9月末から10月初頭、二枚貝、とくにイシガイの中に産卵し、4月末から5月中旬にふ化します。冬の間はずっとイシガイの中で守られて、春、6〜7mmになるまでその中で暮らします」
 


人工産卵床を仕掛け
外来魚に産卵させ
て卵を駆除する

 外来水生植物への対処方法はあるのでしょうか。
「ナガエツルノゲイトウなら、遮光シートを張って植物光合成を抑えます。ボタンウキクサやったら、早期に摘み取ってしまわないといけないと思います」


  水生生物センター
■開館時間/10:00 〜16:30
■休館日/土曜日、日曜日、
        祝日、年末年始

■入館料/無料

■TEL /072−833−2770

*イタセンパラや絶滅危惧種の植物なども展示