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水が導いた、水害対策技術と名酒。
福井駅から直線距離で5kmほど南西で、日野川と江端(えばた)川が静かに顔を合わせています。ここで江端川を、数km下流で足羽(あすわ)川を合わせる日野川は、さらにその数km下流の福井市北部で、大河である九頭竜川へと吸い込まれます。この日野川と江端川の合流地点には、大きくそびえ立つ水門と排水機場があります。今回は、この排水機場にまつわる話題からスタートします。




    福井を守ったのは、戦艦のエンジン?    <江端川の地図はこちら>
 


昭和12年から活躍したエンジン

 合流地点から東へ1kmほど、福井市治水記念館に来ました。ここで目に付くのは大きなエンジン。まるで機関車のような雰囲気です。館長で、NPO法人ドラゴンリバー交流会メンバーの平井博政さんにお話を伺いました。
「これは江端川の水を日野川に捨てるのに使うエンジンで、排水機と呼んでいます。昭和12年に新潟鉄工所で造られ、53年間もずっと使ってきたものなんです。全部で4基ありましたが、50何年間も守ってくれたので、この地区でなんとか保存したいという運動が起き、ここに残すことになりました。造られた当時は東洋一でした。新潟で造られているので、戦艦や巡洋艦のエンジンを民生用に使ったのではないかと勝手に想像しています」
 


江端川の水門

 排水機場って何をするところなのでしょう。
「江端川は日野川に流れ込んでいますが、大雨が降ると日野川の水位が4mにまで上がります。そうなると、江端川の水が流れ込まないどころか、日野川の水が逆流してきます。だから水門を閉め、江端川と日野川を遮断します。ところが、今度は江端川の水がどんどんたまっていき、放っておくと洪水になりますから、水を水位の高い日野川に上げて捨てます。それをするのが排水機です。4基で毎秒ドラム缶111本分を流せます。ただ、昭和12年の排水機は、排水できる高さが2m14cmまででした。しかし、平成3年に700馬力の新エンジンが入り、4m70cmまで上げられるようになりました」




江端川(右)と日野川の合流点

 排水機場が出来る前、この辺りはどんな土地だったのでしょう。
「昭和10年ごろに国土地理院が出した地図を見ると、私たちのいるここが『種池(たないけ)』、隣が、池底を意味する渕の付く『渕町(ふちまち)』、少し行くと『大島』、南には『江守』があります。江は川のことです。他にも、『浅水(あそうず)』や『大土呂(おおどろ)』など、水に沈んだり、泥だらけになったりする土地であったことが分かります。周囲の家を見ると、以前の家は土地を1mぐらいの高さにして建てていますが、平成3年以降は普通に地面に建てています。家を見ても歴史が分かりますよ」

体験できる5種類のポンプ

 福井市治水記念館の展示を、ご案内いただきました。
「1階には、足羽川が天井川になっている様子がよく分かる『空から見た足羽川』のパネル、福井の水害写真、先ほどのエンジン、平成16年に起きた福井豪雨の映像が見られる装置などがあります。2階には、昔の日本人がどうやって水を上げたかという説明と5種類のポンプで実際に遊べるコーナー、足羽川にいる鳥や魚の映像などが楽しめるコーナーがあります。排水機場の見学も可能です」


   福井市治水記念館
 ■開館時間/9:00〜17:00 (入館は16:30 まで)
 ■休館日/月曜日(祝日の場合は翌日)、
         年末年始
 ■TEL /0776-33-0278