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円山川に舞う鳥、円山川のはんらんが生んだ産業。
兵庫県豊岡市の代表的観光スポットである玄武洞は、約160万年前の火山活動で流れ出たマグマが、冷え固まる段階で規則正しい六角形柱状の節理(割れ目)を造った「柱状節理」が特徴です。その前を流れる円山川は、ゆったりと落ちついた表情。この川の水が、今年も新米を育てました。今回はまず、ここ豊岡市で、自然放鳥後1年を経たコウノトリに会いに行きます。


   38年ぶりに野生で産卵。     <鎌谷川の地図はこちら>
 


円山川

 玄武洞から、円山川を南の上流方向に上り、支流の鎌谷(かまたに)川を東の上流方向に上って、「兵庫県立コウノトリの郷公園」に来ました。展示館のテラスからは、たくさんのコウノトリが観察できます。副園長の畑野実さんにお話をお伺いました。ここで人工飼育されていたコウノトリが、1年前に初めて自然に帰されました。
「鳥を放つ方法には、野生に帰った時に餌を上手に取れるよう訓練してから一気に放すハードリリースと、拠点にある程度居つくようなじませてから放鳥するソフトリリース(段階的放鳥)があります」

 


 


昨年放鳥されたコウノトリ
写真提供:兵庫県立コウノトリの郷公園

 昨年、ハードリリースされたのは5羽です。
「昨年9月24日、公園の前まで移送箱で運び、そこから1羽ずつ飛び立たせました。上手に飛んでくれたので感動し、周囲からも拍手がわきました。その後、5羽はこの公園を中心に行動していましたが、昨年12月ごろでしたか、ようやくここから出石の辺りまで飛び出し、1月と3月には、島根県、若狭、大阪方面にも行くようになりました。一番長くて530〜540kmの行程を飛んでいました」

 公園に戻ってきたコウノトリは、自然の木以外にも止まるようです。
「人工巣塔や電柱、飼育ゲージの屋根にも止まったりします。多分、飼育下のことが忘れられないんでしょうね。我々としては、自然の中で松など普通の木に巣を作ってほしいのですが。なんとか自立させなといけませんからね。ここに来られた皆さんは、コウノトリにおってほしい、たくさん見たいと思われますが、野生復帰という点では、この辺の田んぼに出てくれるのが望ましいですね」


人工巣塔
(今年産卵が見られたものとは別の塔)

 放鳥後の繁殖については、どうなのでしょう。
「繁殖期は3月、4月あたりなんですが、今年、ここから少し南西の六方(ろっぽう)田んぼの百合地(ゆりじ)というところで、電柱に巣を作りました。感電や停電事故を恐れ、その巣を取り除いて少し手を加えた上で、人工巣塔に乗せてやりました。そしたら、コウノトリが来てくれて、2羽が下から枝を運んで我々が作ったものに手を加え、巣を作りましてね。ようやく交尾したんです。そして、カメラを設置する時に、卵があるのが確認できました。野生での産卵は38年ぶりのことで、本当にうれしかったですね。しかし、残念ながら2個の卵は、巣の横の方にずれてしまいました。自分で追いやったのか、目を離した時にカラスなどの野生生物にいたずらされたのかは分かりませんが、2〜3日後には下に落ちてしまいました」

野生のハチゴロウ
写真提供:兵庫県立コウノトリの郷公園

 ソフトリリースしたコウノトリは、どうなったのでしょう。
「ソフトリリースは二つしました。一つは、野上(のじょう)にあるコウノトリ保護増殖センターを拠点に何羽かの雌を放し、平成14年から飛来している野生の雄のコウノトリ『ハチゴロウ』とカップリングすることを目指しました。もう一つは、この公園前の田んぼのところに、羽切りした2羽のペアをソフトリリースして産卵を目指しましたが、5月にひなが誕生しました」

 今年も放鳥が行われるとのこと。
「9月23日に円山川の河川敷で3羽、ハードリリースをする予定です。また、ソフトリリースは六方田んぼの河谷(こうだに)で6月に着手していて、9月24日にその4羽を開放する予定です」
 

   兵庫県立コウノトリの郷公園
 
 ■開園時間/9:00〜17:00

 ■休園日/月曜日(祝日の場合は翌日)
 
■入園料/無料
 
■TEL /0796-23-5666