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市民が感じた、確かな手応え。
大阪市平野区、明治橋。久々に見る大和川は、昔よりずいぶん水が澄んでる感じがします。周囲も大阪市内とは思えない、自然いっぱいの風景です。“汚れた川”というイメージが独り歩きしがちの大和川ですが、実際はとても奇麗になっていて、下流の浅瀬に近づくと、思わず入っていきたくなるほど水が透き通っています。今回は大和川に注目です。


  「プロジェクトY」、5年の成果。     <大和川の地図はこちら>
 


大和川

 大阪市東住吉区長居公園にある大阪市立自然史博物館、特別展「大和川の自然〜きたない川?にもこんなんいるで〜」の開催会場に来ました。川の中の生き物だけでなく、鳥や昆虫なども含めて数多く展示されています。学芸員の中条(なかじょう)武司さんに伺いました。
「 “汚い川”というイメージが非常に強い大和川は、どんな生き物が暮らしてるか全然分かっていなかったのですが、自然史博物館と自然史博物館友の会の人たちが中心になって『プロジェクトY』をつくり、2002年から5年近くかけて生き物から水質まで調べました。その成果を中心に展示しています。標本の数は5000点近く、水槽での生きた標本数は50種類ぐらいです」
 

特別展会場

 プロジェクトYの「Y」は、もちろん大和川のこと。
「大和川は、大阪や奈良に住んでる人には非常に身近で調査にも行きやすい川なので、小学生からご年配の方まで、180人ぐらいの友の会の人たちと一緒に調査をしました。すると、普通に川に住む生き物がたくさんいて、河口から源流まで、私たちの身近な所の自然を大和川が表していることを改めて実感できました。これまでも、国土交通省の『水辺の国勢調査』や大阪府、奈良県などの個別調査はありましたが、今回は行政の枠を越えて、河口から支流まで全部やっているのが一つの特徴です。また、博物館ですから標本などを中心にした情報を大事にした調査が二つ目のポイントだと思います14班に分かれて活動してきました」




大阪市住之江区での魚・貝調査
写真提供:プロジェクトY

 よくなったと言われる水質については、どうだったのでしょう。
「リン酸イオンや硝酸イオンなど、一般的に富栄養化を進めるようなものについて調べたんですけど、環境基準値を超えるような値はほとんど出て来なかったので、特別に奇麗ではないけど、びっくりするような汚さもありませんでした。必ずしも水質が悪いから生き物が少ないということでなく、もっと他のいろいろな理由があるということが、なんとなく分かってきましたね」

大和川にもいる特定外来種のカミツキガメ
 タイトルのように、「こんなんいるで」という生き物はいたのでしょうか。
「改めて『いるんだな』と思ったのは、アユが大和川をさかのぼってることです。何ヶ所かで見つかっていますし、春に上るような小さい個体から、秋に卵を産んだ後の落ちアユまで見つかってますので、放流ではなく、確実に海から上ってきたアユが卵を産んでるんじゃないかと考えています。大和川にしかいないという生き物はないんですが、レッドデータブックに載ってる、メダカ、二枚貝のマツカサガイ、それに卵を産むタナゴの仲間、草に巣を作るカヤネズミや植物のカワジシャなどがいます。大和川は、町中を流れている非常に身近な川ですから、そういう中にもこんな生き物がいるということを知ってもらい、身近な自然にもっと目を向けていただきたいと思います」

*今回の特別展は9月18日に終了しました


 

  大阪市立自然史博物館

 ■開館時間/9:00〜16:30 (入館は16:00 まで)
 ■休館日/月曜日(祝日の場合は翌日)
 ■入館料/大人300 円、高大生200 円
 *長居植物園にも入場可、特別展は別料金