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奈良に“わき出る”、若狭・遠敷(おにゅう)川の水。
遠敷(おにゅう)川が福井県小浜市を流れていることを知っている人は、大阪では多くないかも知れませんが、東大寺のお水取りのことは誰でも知っています。そのお水取の水が、この遠敷川の水であると言われています。ただし、奈良から小浜までくみに来るのではありません。どうやら、“秘密の地下通路”を通って、東大寺まで行っているようです。もちろん、伝説上のお話ですが。


  遅刻した神様のプレゼント。     <鵜の瀬の地図はこちら>
 


鵜の瀬

 小浜の市街地から遠敷川に沿って南の山の方へ。環境省の名水百選にも選ばれている史跡「鵜(う)の瀬」には、水深が浅そうで流れが早く、小さな滝のようなところもありますが、淀んで池のようになっているところもあります。水はもう実に奇麗で、地元の子供たちが気持ち良さそうに水遊びをしています。
 道路側の鳥居にも反対側の森にもしめ縄があり、ここが神聖なエリアであることが分かります。毎年3月2日、東大寺二月堂のお水取りの10日前、ここでは「お水送り」が行われます。2kmほど離れた神宮寺の井戸で取った「閼伽(あか)水」を、たいまつを手にした3000人もの人たちがここまで運び、この遠敷川に流すというものです。

  その水が地下を通って二月堂の「若狭井」まで届く、そう信じられるようになった伝説があります。インドの僧侶の実忠(じっちゅう)は神宮寺へと渡り、後に奈良で東大寺二月堂を建てました。そして、大仏開眼の2ヶ月前から、二月堂で14日間にわたる「祈りの行法」をし、日本国中の神様たちを二月堂に招いたものの、若狭の遠敷明神だけが漁に夢中で遅刻をしてしまいました。遠敷明神がおわびとして二月堂の本尊にお供えする閼伽水の献上を約束すると、二月堂の地下から白と黒のウが飛び出し、その穴から泉がわき出てきました。これが若狭井の始まりだと言われています。
 
  森と川と海の関係。
 

森林の水PR館

 遠敷川の下流方面に2km少し、若狭森林組合の「森林(もり)の水PR館」に来ました。お水送りに使われるほどの遠敷川の名水を生み出す母なる森も、さぞかし素晴らしいに違いありません。若狭森林組合の池上成志(なるし)さんにお話を伺いました。
「遠敷川上流には、この辺りで一番高い『百里(ひゃくり)ケ岳』という山があり、林野庁の『水源の森百選』に選ばれています。お水送りが行われているように、古来から良質の水がわき出ている地域でもあります。若狭は、山や森から海までの距離がすごく接近していて、海と山が一体となっているのが特徴の一つです。この隣の比古比賣(ひこひめ)神社も、農耕神である水源の神であり、若狭湾漁民の守護神である海の神です。その両面を備えていることも、当地を象徴するようで興味深い話です」


お水送りコーナー
 若狭は天皇に食べ物を献上する「御食国(みけつくに)」の一つでした。おいしい食べ物と水の関係について伺いました。
「若狭湾はとくに魚がおいしいと有名ですが、小浜市長も大変に興味を持ち、小浜にある福井県立大学の海洋系学科に、おいしい理由の科学的証明を依頼しました。その結果、どうも若狭湾の海底から大量の地下水がわき出ていて、それが若狭の魚がおいしい原因らしいというのが分かってきたようです」

  この施設を入った正面には、人形が立ち、水がちょろちょろ流れています。
「遠敷川のお水送り神事での送水の儀式をモニュメント化したものです。皆さんに飲んでいただけるよう、鵜の瀬の名水をお出ししています。お茶を入れるのに適している水だと、喜ばれています」

 アユの串焼きも気になります。
「川魚といえばアユですよね。遠敷川にいるアユを皆さんに食べていただこうと、そこの水槽に少し飼っていて、要望があるとこの流れてる川に放して、子供たちにつかみ取りを楽しんでいただく企画をやっています。生ビールを片手にアユの串焼きをほおばったら、そりゃあもう最高ですわ」
 

  森林の水PR館
 
 ■開館時間/9:00〜20:00
          (11月以降は17:00 まで)

 ■定休日/水曜日、祝日

 ■入館料/無料
 ■TEL /0770-56-5606