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大人も子供も、ホタルに夢中になる町。
ホタルを求めて、和歌山県貴志川町に来ました。紀の川支流の貴志川が、中央部を南から北へゆったりと流れるこの町は、かつてゲンジボタルが飛び交うことで有名でした。大阪からも大勢の人が訪れていたのですが、50年ほど前、一度、全く見られなくなりました。しかし、20数年前からの取り組みが実り、少しずつホタルが戻ってきています。


  ホタルの飼育が、確かな学力につながる。     <貴志川の地図はこちら>
 

貴志川
右下は貴志川町のキャラクター「ほた郎くん」

 6月6日、貴志川町生涯学習センターでは、ホタル自慢の全国10市町が集まる「2005ほたるサミットきしがわ」の2日目が開催され、地元東貴志(ひがしぎし)小学校4年生による発表演劇や6年生によるホタルの研究発表、さらには全校生徒196人によるホタルのオリジナル曲大合唱などが行われました。 ホタルサミットが終わり、貴志川町立東貴志小学校の米田崇(たかし)校長と、ホタルの飼育指導担当の木下敦美先生を訪ねました。東貴志小学校ではホタルをみんなで育て、授業でも取り上げているようです。まずは校長先生に伺いました。
「総合学習の時間で各学年とも年間10時間ぐらい、ホタルの勉強をしています。ホタルを通じ、命の大切さを学んで欲しいということから始まりました。昔は、たくさん自然にホタルが飛んでいて、服なんかにも止まるような状況でしたが、最近は見られなくなったため、こうした活動から始めています」

ほたるサミットでの大合唱
 命の尊さと並んで大切なのが自然環境です。
「そういう面での勉強も実践もしています。年に4回か5回、川だけじゃなく町も奇麗にということで、登校時に子供たちが袋を持ちまして、目についたごみを学校に持ってきて、分別しています」

 ただ、ホタル王国復活までには時間もかかるようです。
「例えば温度変化など、やはり自然にはどうしても人間が太刀打ちできないことがあります。逆に言えば、人間の力は自然にはかなわないということを知るのも、一つの勉強かなと考えています。教育の世界では、『確かな学力と豊かな心』と言われますが、私は『豊かな心、確かな学力』と順番が逆だと思っているんですね。豊かな心を培うためには、生き物や人間、友達などへの思いやりがまず大事であって、それができる子は学力面でも落ち着いて授業を聞くと思っています。ホタルの飼育を通じて、生き物すべてに対する思いやりの心を持って欲しい。それが一番の狙いです」


ほたるサミットでの発表演劇
 木下先生にはホタルの飼育指導について伺いました。
「平成12年、今の6年生の子が1年生の時に『ホタルの館』に何度も行き交流するなかで、『貴志川ゲンジボタルを育てる会』の入谷正義会長から、直接、幼虫を頂きました。その年は水槽で全部育てあげましたが、それが始まりです。飼育方法は、入谷先生をはじめ『貴志川ゲンジボタルを育てる会』の方や役場の方、本などあらゆる方面から資料を集めて出発しました。入谷先生には、紙芝居も見せていただき、飼育方法を学校まで来て教えていただきました」

ほたるサミットでの発表演劇

 ホタルを見つづけている子供たちの反応はどうでしょう。
「成虫が飛ぶ姿は知っていても、まず幼虫を見てこんな形だったんだという反応です。ゲジゲジみたいな形ですが、卵から見ているのですごく愛着を持ってくれるのが嬉しいですね。あとは、やっぱり川が奇麗でないとカワニナが育たないので、洗剤使い過ぎないように家の人に言おうというよ
うな小さな気付きから始まって、川を奇麗にしなくちゃいけないというとこまで心が育っていってると思います」