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天然アユ遡上と清流を復活させた、地道な活動。
6月5日は国連の定める「世界環境デー」、日本国内では「環境の日」。今回はそれにふさわしい話題です。兵庫県新宮町を流れる揖保川。水質が劇的に改善して、毎年常連だった全国の一級河川水質ワースト5に、平成6年以降は一度も顔を出していません。平成9年には天然アユの遡上(そじょう)も40年ぶりに確認され、アユ釣りのメッカとして全国的に知られたその姿がよみがえろうとしています。


   アユ友釣りは、ここで生まれた。         <揖保川の地図はこちら>
 

揖保川

 新宮町、揖保川の東側にある揖保川漁協の「揖保川鮎種苗センター」に来ました。池が多く、その中で水車が回っていて、7cmぐらいのアユがたくさん元気に泳ぎ回っています。揖保川漁業協同組合の吉田忠弘さんにお伺いしました。
「池は井水を使っていて、揖保川の伏流水になります。アユの種苗とは稚アユのことで、親アユから卵を採り、受精、ふ化させて、稚アユを育てて放流する事業を行っております。稚魚まで育った中で一番成長が良くて放流しなかったものに加え、自然の中で生まれて翌年の4月ごろに遡上するアユを捕獲したものも親魚(しんぎょ)にします。人工アユばかりだと血が濃くなって生命力が弱くなるからです」

揖保川鮎種苗センター
 親アユから採卵するのはいつごろなのでしょう。
「10月上旬、雌から搾った卵に雄の精子をかけて人工授精を行います。卵を傷つけないよう鳥の羽根でかき混ぜ、シュロの皮で作ったブラシに付けて水槽に入れ、ふ化させます。アユは積算温度が200℃でふ化しますので、水温が17〜18℃の水槽に入れて約12〜13日、10月下旬に体長約6〜7mmでふ化します。約90〜100日海水で育て、大きくなった稚アユから順に淡水馴致(じゅんち)し、約7cm(10g)になるまで飼育します。放流量は単協では日本一の約24トン(240 万匹)で、解禁までに約60%放流します」

 揖保川は友釣り発祥地とのこと。
「約140年前、げた屋の甚平さんが木で作ったアユの尻尾に針を付けて友釣りしたと言われています。それは、(現在の)穴栗市山崎におられた『本多の殿様』が知恵を付けたことだとも言われています」

鮎種苗センターで育つ稚アユ
 揖保川が奇麗になってきたのはいつごろからなんでしょう。
「10年前に阪神・淡路大震災があって、暗い話ばっかり続いていたんですよね。そのころに天然アユが上がってきたというニュースが流れ、奇麗になってきました。浄化施設が出来、下水が普及して水が奇麗になり、産卵用のアユ放流を続けてきた結果が現れました。今後は、毎年多くの天然アユがそ上してくる川にしたいと思っております。釣り人を楽しませるだけなら人工アユ放流だけでいいんかも知れませんが、やはり川で産卵してふ化したアユが海に出て、また産卵に戻ってくるという再生産が増えなければならないと思っております。アユ解禁前や台風の後の清掃も、組合員一同で毎年行っています」

  吉田さんご自身もアユ釣りの名人クラスです。
「私ね、揖保川で生まれて揖保川で育ったんです。物心ついた時から、遊ぶ所といえば揖保川。暗くなるまで川で遊んだり、魚を取ったりといろんなことをしてましたね。趣味が仕事になったなと、みんなに言われております」


 

  揖保川アユ釣り
 ■テレホンサービス/0790-62-8989
 ■遊魚料/年券13000 円、日券3300円
         女性・身体障害者・70歳以上は各半額
         中学生以下は無料