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熊野川でよみがえるもの、続いていること。
河口からほど近い熊野川は、驚くほど広い河原を有する雄大な姿を見せ、対岸には三重県紀宝町の町並をのぞかせます。この熊野川は、熊野参詣の折、熊野古道として使われました。熊野本宮大社から熊野速玉大社までは、陸路よりも川で移動する人が多かったためです。去年、その区間が世界遺産になりましたが、9月からは昔ながらに船で下ることができるようになります。


   昔ながらの川下り、復活。        <熊野川の地図はこちら>
 

熊野川(和歌山県熊野川町)

 新宮市の隣、熊野川町に来ました。ここで、新宮市役所にある「熊野学情報センター準備室」の北畑(きたはた)直也さんに、昔ながらの川下り復活について伺いました。
「ここ道の駅『瀞峡(どろきょう)街道 熊野川』から、河口より約2km上流にある熊野速玉大社近くの河原まで、約16kmを川下りするという計画です。熊野古道にはいくつかルートがあり、大阪から海岸沿いに通って田辺から山へ入る『中辺路』、そのまま海岸沿いを通る『大辺路』、高野山から山深いところを歩いてくる『小辺路』、伊勢から西国札所や熊野三山へ参る『伊勢路』などのコースのうち、最もポピュラーだったのが中辺路と言われています。これを通ると、まず熊野本宮大社に着きますが、次の熊野速玉大社までの約40kmは川舟で下ったということで、今回、『川の熊野古道』を復活させようと川下りの計画を進めております」


2005年7月7日に行われた
世界遺産登録1周年記念の熊野川下り

写真提供:熊野学情報センター準備室
 どんな船を使うのでしょうか。
「熊野川独特の平船です。お客さん12人に船頭さんと語り部さんが乗る最大14人乗り、長さ約8.6m、一番広い部分の幅1.8mの船で、この地域で取れるスギを使って4隻新造しますが、現在のところ2隻出来上がっています。音の静かな4サイクル18馬力のエンジンを付けますが、エンジンを止めてゆっくりとさおを使う所もありますので、さおさばきの様子も見ていただきたいと思っております。9月25日から運航予定で、大人3900円、子供2000円。予約運航に限ります。今回下るのは16kmで、ただ下るだけなら40〜50分ですが、語り部さんの説明などを入れて1時間半〜2時間で下ります」


川下りの出発地点に建つ世界遺産の記念碑
「熊野川」の文字は故5代目桂文枝筆
写真提供:熊野学情報センター準備室

 
  どんな景色が楽しめるのでしょう。
「両岸の山々の素晴らしさに加えて、川岸に点在する奇岩や島、そこに残る言い伝えなどが楽しめます。例えば、『昼嶋』は天照大神(あまてらすおおみかみ)が熊野権現と囲碁をしたところと言われていて、上から見ると碁盤の目のようになっております。釣鐘の形をした岩がある所は、熊野川で一番深くて10数mあると言われており、川舟を泊めてゆっくり観賞していただこうと思っています」


神倉神社の「お燈まつり」
写真提供:熊野学情報センター準備室


  川下りが始まっている秋には、ビッグなお祭りもあります。
「熊野速玉大社の例大祭が、10月15日と16日に開催されます。とくに、16日には熊野川での早船競漕による『御船まつり』があります。また、来年2月6日には、熊野速玉大社の元宮である神倉神社で『お燈(とう)まつり』があります。538段の急な石段を、たいまつを持って一気に駆け下りる勇壮な祭りです」


写真提供:熊野学情報センター準備室

  熊野川 舟下り
 
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 ■TEL /0735-44-0987