<寝屋川の地図はこちら>
今、下りられるように。
寝屋川の起点に来た。寝屋川市寝屋。
たち川と北谷川の合流地点から一級河川・寝屋川が始まる。
かわいいガモがいる。
「カルガモが年中います。駅前にも寄ってくる場所があり、
冬にはマガモも一緒に藻をついばんでいます。
カルガモの餌は植物性のものなので、
川に水草などが育っているということです。
魚で多いのはフナやオイカワですが、
これらは汚れた水でも棲息出来ます。
しかし調査すると、腹びれが吸盤状でアシに登っていける
ヨシノボリもいますし、スジエビやテナガエビもいます。
ガマの群落もあります」
それらを見るため、さらに下る。京阪の寝屋川市駅前。
驚くほど水量が多い。藻がきれいだ。
「外来のオオカナダモ。この辺りでは一番多い藻の一つです。
白い花が一面に咲きます。水量が多いのは、
枚方の下水処理場の水がこの上で入っているためです。
淀川からの浄化用水と三次処理で相当きれいになった下水処理水で、
水量の確保ができています」
コイの産卵も見られる。
「春に、駅前から萱島にかけて何千匹とコイが藻に卵を産みつけます」
専門家に伺うと、コンクリートの護岸はやめるべきだという
方向の意見が多いが、上田さんはどのようにお考えなのだろう。
「すべてを自然に戻すには膨大なお金と時間がかかります。
これだけ豊かな自然があるのに、市民が親しめないのはおかしい。
だから、護岸が替えられてからではなく、今、川に下りられる
ようにするのがいい。水を引き入れた公園的な整備を駅前で行い、
水につかったり、ベンチで憩ったりする場にする提案をしています。
ワークショップで川歩きをして下りて川を見てもらったら、
皆さんの見る目が変わりましたね」
街の中の自然。
大東市との市境、治水緑地と呼ばれる公園に来た。ここまで来ると、
川は無表情で汚くてなにもない。
「寂しいですね。昔は野崎まいりの船で賑わったとこですけど。
1〜2H先が野崎観音です」
かつて大東水害があった地。治水緑地は洪水対策で整備された。
「ここと打上川の治水緑地との2カ所で水をカットします。
淀川への放水路もあります。日頃は淀川から水を取っていますが、
大水のときは逆に淀川へ流します。
3つの治水対策で対応するということです」
「寝屋川再生ワークショップ」は、これからどうしていくのだろう。
「キャッチフレーズは、 『寝屋川を市民に親しまれる、憩える、
自然豊かな川に』。今以上に自然が戻るためにどうすべきか、
浄化用水や下水処理水の放流の仕方も含めて考えなければいけません。
市民に、水や寝屋川に親しんでもらえるだけの資源はありますから。
自分の近くの川はコンクリートやから、土日は自然豊かな
郊外へ行くとなると、結局はその自然を荒らすことにもなります。
この街で日常的に自然に接することが出来る場所を見つけ、
市民の癒しの場所としていくことが必要です。
寝屋川はその一つになれると思います」
グランプリ獲得を弾みに、奮闘してほしい。

「寝屋川再生ワークショップ」の上田さんの案内で寝屋川を訪ねた。
寝屋川という川に目を向けて街を見ると、以前とは見方が変わってくる。
訪れた人たちには、そんな視点でもう一度この街を見つめ直してほしい。
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かわいらしいカルガモを発見

オオカナダモ

京阪・寝屋川市駅付近は「犬走り」のある中流域

寝屋川治水緑地
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