琵琶湖に流れ混む一級河川125本のうちの1本、「草津川」が付け替えで新しくなった。
近畿では古くから行われてきた、大掛かりな川の付け替え。
江戸時代の大和川、明治に入ってからの新淀川。
今度の新しい「草津川」は、6月14日から試験通水が行われている。
現在の河川整備の目的には、治水と利水だけでなく「環境」もあるが、
新草津川はこの考えに基づき、平成になって近畿で初めて造られた川だ。


       <草津川の地図はこちら>


一人ひとりが、この川を守っていく。

 旧草津川から新草津川へ流れ込む地点に
「ステッププール」がある。
プール状の水たまりが傾斜状に並んだものだ。
全体が210メートルで、
1メートルずつの落差がついたプールが八つある。
つまり全体で7メートルの落差。ゆったりと流れている。
出来上がったばかりだが、5年もたつと土砂が流れてくるそうだ。
草も生える。どんな姿になるのだろう。

現代土木技術の粋を結集した新しい草津川の管理は、
地元の方の手に委ねられることになる。
取り組みなどを、草津市志津地区の自治連合会会長、
高岡實さんに伺った。
 「通水が始まったばかりが、
 地域で頑張って管理していきたいと思っています。
 潤いある川にしたいというのが願いです。
 このあたり、ずっと以前はほとんど平地だったそうですが、
 土砂がだんだん上流から来て、やがて天井川になりました。
 その当時、川を守るのに大変だったという記録が残っています。
 洪水も何度もありました。上流に行くと、
 右にも左にも堤防の周辺に小高い畑地がたくさんあります。
 堤防が切れて、流れ出た土砂が集積し、
 そこを畑にしたそうです」
旧草津川は2階の屋根のような高さがある。
 「昔は、川越しに琵琶湖が見渡せたという記録が残って いますが、
 天井川になり堤防が高くなって見えなくなりました」
草津川の付け替えは、29年も前に計画され、
20年前に着工。そして出来上がった。
 「ありがたいことです。毎年、運動会で綱引きをしますが、
 いつも堤防沿いの町内の人が優勝するんです。
 『草津川の坪取り』といって、1人1坪分、
 砂を担いで持って上がって、この堤防を造ったんですよ。
 だから力持ちなんです。そういう昔の苦労を思いながら、
 この環境を守っていくことが大事だと思います」
具体的な計画はお持ちなのだろうか。
 「春にイベントをしました。
 上流と下流それぞれから清掃をしつつやって来て、
 中間地点で握手をしてイベントをしたわけです。
 下流からの人は、桜の植樹もして上がってきました。
 その桜は、個人がお金を出し、
 オーナーになって管理するものです」
管理も自分でするとは責任が重い。
でも、その集まりが新草津川の景観につながっていくわけだ。
 「いろんなことにぶち当たっていくと思います。
 だから、みんなで検討し、改善していくことが必要です。
 とりあえず住民でやっていこうという
 気分を盛り上げてスタートです」

 

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ステッププール

高岡實さん


天井川だった旧草津川


ラジオ大阪