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他人任せからの脱却。
中間とりまとめで治水分野を担当の今本さんに、
淀川の堤防が本当に大丈夫かどうかを伺った。
「そう言い切れません。
淀川の堤防は立派に見えますが、ほとんどが砂。
堤防は土堤原則といって、土で造るのが原則。
土は時間と共に強度が増すからです。
しかし、前の川の砂を盛っただけというのが、
一般的なのです。淀川の堤防は、
今ではずいぶん高くなりましたが、
高くするとそれなりに安全ではあるものの、
切れたときの被害は大きくなります。
淀川で昭和28年以降に大きな被害がないのは、
一つは河川改修のお陰ですが、
昭和34年の『伊勢湾台風』以降、
超大型台風がまったく来ていないこともあります。
多分、かなりの部分はもつものの、
来てみないと分からない面もあります」
治水には、私たち住民も無関心ではいられない。
「被害に遭うのは住民の方。備えておけば被害は減ります。
昭和20年代には、毎年、何千人もが亡くなっていました。
最近は100人を切る年が続いているものの、
被害額では減っていません。
我々が住む提内地の資産が増加して、
少しでも被害があれば被害額は大きくなるのです」
今本さんは、委員会で水需要管理のまとめ役でもある。
「水利権には2種類あり、一つは昔からの農業用水利権で、
『慣行水利権』として手を付けてきませんでした。
もう一つは工業用水や飲み水などの許可水利権利で、
要求があると新たにダムを造って対応してきました。
好例が琵琶湖総合開発で、琵琶湖の水をコントロールして
下流域の水需要を補いました。
しかし今後は、これ以上いくら欲しいといっても、
むやみに取れるものではないので、水需要を見直して、
取水をなんとかくい止める河川管理が必要です。
例えば、農業用水は需要が減少しています。
農業用水路の環境形成など、必要ないわけではありませんが、
工業用水が必要なとき、
使われなくなった農業用水に 手を付けないのも
問題じゃないかという視点の管理が必要なのです」
水は無尽蔵じゃない。
「中間とりまとめのキャッチフレーズは、
『他人任せからの脱却』。
川のことは河川管理者の役所に任せておけばいいという、
『あなた任せ』をやめようと。
水害を防止してくれと言うだけではなくて、
万一起きたときに自分たちでどう対応するのかを
考えてほしいのです」
淀川水系流域委員会
■ホームページ/http://www.yodoriver.org
■資料請求/三菱総合研究所関西研究センター淀川水系流域委員会係
Tel.06-6341-5983 ※要コピー代、郵送料

河川の近代土木工事は淀川から始まった。
そして、今また淀川から河川行政が大きく変わろうとしている。
私たちにとって川とはなにか、生活の中で淀川は
どんな意味を持っているのか、もう一度考えたい。
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明治時代に淀川改修をした沖野忠雄の胸像

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木村真弓
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