紀の川(桃山町)の地図はこちら


手軽さが段引きの魅力。


釣り人にお話を伺った。大阪市内から来た湊幸二郎さん。
毎年、紀の川に来るという。
 「生まれが、この上の葛城町ですからね。
 アユ釣りは30年ほど前からやっています。
 今日は、朝早くに15〜16掛かったんですが、
 それからはだめですね。朝のうちにバタバタっと釣っただけです。
 ちょうど今日みたいに解禁日と日曜日が重なった20年ぐらい前、
 30ぐらい釣ったんです。それに比べたらね…」
これだけ釣って少々ご不満の様子とは、うらやましい。
 「段引きの面白さは、手軽に釣れることですかね。
 友釣りは1回やったことがあるんですけど、難しいですね。
 おとりアユに鼻輪を通すときに弱らせたりしてね。
 段引きは手軽に出来ます。
 でも、やっぱり紀の川はいいですね。 私の古里ですし。
 自然がいっぱいあります。朝方、タヌキがいました。
 しばらくじっとしてて、それから中の方へ隠れていきました」

ここにおるな、やっぱりおった。

続いて、仲間3人で来たという薮下勝一さん。
たくさん釣れているようだ。
 「数は知れとるよ。去年よりも、ちょっとましかな」
釣ったアユの大きさから、これぐらいなら塩焼きよりも
唐揚げだろうとのこと。きっと、釣ったものの味は格別だろう。
 「釣り人はそんなに食べへんで。今年初めての漁やさかいに、
 隣近所に分けて食べるわ」
同じ仲間で、友釣の得意な横野輝雄さん。
アユ釣りのキャリアは25年ほどだ。
 「アユは紀の川ばっかり。よそへ行ったら、
 ポイントが変わるから川の状況が分からんやろ。
 紀の川のことなら、岩陵から上和、馬の背、
 吉野川との境目まで知っとる。川がどないになってるか」
この25年間の紀の川の変わり様はどうだろうか。
 「汚のうなったよ。昔はもうちょっと石ころがゴロゴロしてな。
 石がなくなって、砂地が多なってきた。アユも大きかった。
 川の瀬があると大きなんねん。逆ろうて上ろうとするさかい。
 背中がごっつう高うなるんや。
 握ってつかめんぐらいの『シャクアユ(尺鮎)』がとれたんや。
 今は長細うなってもうて、そんなアユ捕れん」
アユ釣りの一番の魅力はなんだろう。
 「感触やな。さおに伝わる感触が違う。 友釣りで泳がしておくと、
 アユがコンコンと追いかけてくるのが分かる。
 あ、今ここにおるな、やっぱりここにおった、
 と自己満足するわけや」
友釣りと段引きとの味わいの違いについても、話してくれた。
 「友釣はアユが大きいさかい、シャクアユぐらいのが掛かったら、
 20〜30メートル下らなあかん、たったか、たったかと。
 そないなったらたまらんよ。それが好きで来てるんやから。
 けど、今日は解禁日で日曜日と重なって混んでるさかい、
 友釣はやめてん」
ということは、友釣りの場所は静かな所なんだろうか。
 「ごろた石がようけある専用区域や。ごろた石いうのは、
 ちっちゃい玉砂利と違って、もっと大きい石。
 友釣り専用区にはみなある。
 石にコケが付くやろ、そうするとアユが寄りつくさかい」


「紀ノ川漁業協同組合」
■問い合せ/0736-66-9111
■テレホンサービス/0736-66-9777
■アユ遊漁料
 ・1年間 10,500円
   身体障害者/小学生 5,250円
 ・日釣り 3,150円
   現場で監視員が徴収する場合は4,150円



今回は、5月26日に解禁日を迎えた和歌山県桃山町と
その周辺を訪ねて、アユ釣りを楽しむ人たちの姿を追った。
今まで食べるアユについてしか知らなかったが、
今日は稚アユや釣り方もいろいろあることを知った。
今年の夏は、また一層おいしくアユをいただけるかと思う。


<前のページに戻る>


 


大阪市の湊幸二郎さん(左は今西令子)

高野口町の藪下勝一さん


藪下さんの釣果


堺市の横野輝雄さん


 2002 April All right reserved.