
京都市内を流れる桂川、どんなイメージだろう。
桂離宮あたりの桂川、保津峡下りの保津川、
あるいは渡月橋を映す大堰川。すべて一級河川・桂川になる。
その桂川の源流をご存知だろうか。
京都から花背峠を越えた北側、広河原という地域を流れる、
幅5〜6メートルの小川のような川だ。
農家がぽつんと畑の向こうにある。
少し消えかかった字で「一級河川桂川起点」と書かれている。
今日は、京都の若者たちのグループ、
そして「淀川愛好会」の方たちと、
この桂川の最上流から日吉町までをご一緒することになった。
桂川の流れに沿って下りていった。花背(京都市左京区)に、
「京都山村都市交流の森」がある。
木工工房、宿泊棟などの施設があり、眼下を桂川が流れる。
ここで地元・上桂川の女性グループが作ってくれた、
山菜のお弁当をいただいた。コゴミやタラノメの天ぷらがおいしい。
美山町、京北町、鞍馬、そして久多の人たちで成り立っている
このグループは、「上桂川をきれいに」を出発点に、
20年という息の長い活動を続けている。
その主張は、「水の原点は山」。以前、桂川、宇治川、木津川の
三川合流地点あたりの人たちから、
「上桂川をきれいにしている皆さんによる水の恩恵に浴している。
恩返しに出来ることはないか」と質問されたという。
彼女たちは、「水をきれいにするためには、
山にもっと注意を向けてほしい。山を整備するお助けマンに
なってください」と答えたそうだ。
いろいろな願い、いろいろな“E”。
「京都山村都市交流の森」を出て、2カ所に立ち寄った。
最初は、明治43年に出来たクラシックな黒田発電所。
樹齢70年を越える見事な桜が、桂川上流から移植されている。
次は山国神社。ここでは、傭兵として各地へ戦争に行って命を
落とした人が祀られている。京都の時代祭の先頭を飾る鼓笛隊は、
このエリアの山国隊だそうだ。
宇津峡に来た。山と山が迫り、「世木ダム」という古いダムがある。
ダム湖がずっと続く。
ここで、本日のメインイベント「Eボート」に乗る。
まずはEボートの組み立てを見学。アルミパイプと、
やはり金属製のものを、 ジョイントごとに組み合わせていく。
想像より長く、7メートルくらいはある。
骨組みに着せるように分厚いビニールシートのような素材をかぶせ 、
空気を入れたら完成。
このEボートの「E」ってなんだろう。
「淀川愛好会」主宰、Eボートの言い出しっぺ、
澤井健二摂南大学教授に“講義”を受けた。
「Eボートの『E』は、いろんな願いを込めたアルファベットの
Eです。まず『交流』。交流は英語でエクスチェンジ。
その頭文字から「Eボート」と呼んでいます。
他にも、いろんな思いがあって、乗る時に川の環境を見て欲しい、
環境に優しい生活をして欲しいとう、エコライフのE。
教育にもいいと思って、エデュケーションのE。
もちろんエンジョイのEや、いろいろなEがあっていいと思うんです」
乗っている人はまだ少ないようだ。
「ボートが出来たのは5年ほど前。
それから全国的に普及しています。とくに北上川が盛んで、
川崎村(岩手県)では10台ほど持っていて、
毎年イベントをやっています。東京、北海道、九州でも盛んです。
関西は私たちが最初で、いま関西で5艇。今日は勢ぞろいしています」
定員は10人程度、手漕ぎ。大変なんだろうか。
「乗ってしまえば簡単。安定性もいいし、スピードも出ます。
お願いしたいのは、事故がないようにということ。マナーを守る。
ライフジャケットの着用はもちろん、片側に寄らず必ず座って乗ること。
上手く乗るコツは、おのずとわかってきます」
大体、40〜50分。 若い人たちや年輩の女性など、
いろいろな人が一つのボートに乗り、
同じように湖を見つめ、自然のことを考えたひとときだった。
Eボートに乗っているだけで交流が出来る。
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