当事者同士が話し合い、解決策を考える。
世界水フォーラムでは、世界水フォーラム市民ネット
ワークもいくつか分科会を開催する。
「水で困っている当事者の参加が重要なので、
アジア、アフリカ、ラテンアメリカの人たちを
多く招待できるよう準備しました。
誰がどう取り組むかも大事で、これまでは国際機関や
政府、企業がやってくれるという議論が多かったん
ですが、地域の人たちが自分たちでどう解決できる
のか考えることがポイントです。
『流域単位の住民主体の水管理』という分科会には、
例えばフォーラム開催地の大津・京都・大阪でいうなら、
琵琶湖淀川流域という川の流れに沿って、
当事者同士が問題解決に向けて考えていくのが大事だ
というメッセージが込められています。
タンザニア、インド、中国、タイ、また日本の他の
河川の流域からも来てもらい、それぞれの地域や流
での活動の経験交流をして、何が大事かを
話し合いたいと思っています」
流域住民の連携の実例を挙げていただいた。
「例えば、スリランカは伝統的な水の使い方が
発達しています。タンクというため池を中心に、
地域の人たちが実にうまく水を使う工夫を、
何百年も重ねています。この琵琶湖淀川流域も
そうですが、決まりごとがある流域は多く、
そこに問題解決のヒントがあったりします。
日本はこの100年、技術力で大きな施設を造り、
大規模に水を送り処理することがいいと考えてきました。
しかし、環境への影響が大きく、費用がかかり、
うまく管理できないケースもあます。
これをアフリカやアジアの国々に持ち込んでも、
うまくいかないことが多いんです。
それぞれの地域ごとに管理できるサイズや金銭負担の
限界に見合った『適正技術』を尊重し、元々そこにある
技術をちょっと改良して、うまく水を供給するような
方法を見直す、そんな分科会も予定しています。
アジアやアフリカの暮らしは貧しいわけではなく、
豊かな知恵や技術、営みがあります。
それを知ることで、日本に昔からある地域の
技術の見直しにつながっていくかもしれません」
水の自由化や民営化を考える分科会も、予定されているようだ。
「日本では水は蛇口をひねれば自由に使えると
思われていますが、実際は誰がどう使うか、
使用量などが水利権で決められ、そのほとんどが公営です。
今、世界中で民営化の議論が起こっており、
英仏を中心としたヨーロッパの国々や、
それらの国々の企業が参入しているフィリピンのマニラ、
インドネシアのジャカルタなどは既に民営化されています。
民営化で水道料金が安くなるところもありますが、
値上がりや水質が落ちるところもあって、
そういう地域の人は民営化反対となる。
NGOの間でも賛否分かれていますが、
賛成派と反対派が一緒に議論して、お互いに理解し
あう場を作りたい。多様な選択肢のなか、
地域ごと流域ごとに決めていけばいいのです」
最後に、第3回世界水フォーラムへの期待を伺った。
「いろいろな意見を出し合えればと思います。
解決策は多種多様です。地域、流域の特性に
あわせた解決策を尊重し、推進する仕組みが 出来る
きっかけになれば、会議は成功と言えると思います」
*第3回世界水フォーラムは、 2003年3月16日~23日まで
京都、滋賀、大阪で開催されました。
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取材日は満開の梅と雪のコンビーネーションが美しかった
鴨川に浮かべられた巨大な「看板」
右は星野祐美子
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