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日本は世界一の水の輸入国。
水問題について、日本人にはまだまだ深刻さの実感がない。
その分、水をぜいたくに使っているのだろう。
「雨の多い日本では、水田に象徴されるように、
水をたくさん使う文化が育まれてきました。
水田は、そこに降る雨だけでなく、上流や森に降った雨
の水も使い、それを下流の田んぼに流して循環利用します。
ただ、水田を使う他の東南アジアの国々と比べると、 やはり多いんです。
経済的に成長すると、どうしても水をたくさん使うようになります」
1日、どれだけの水を使っているんだろう。
「飲み水は、せいぜい1日1.5 リットルぐらいですが、トイレ、炊事、
洗濯、風呂など、家庭で1日250 リットル使っていると推計されます。
多分、ヨーロッパ人より多いし、150 ~170 リットルというアジアの
平均よりかなり多い。アフリカでは、50~60 リットルです。
日本人も、30~40年前は今の半分だったんですが、銭湯が内風呂、
たらいが洗濯機になって増えてました。
技術革新で、全自動洗濯機の水の使用量が減ってきたし、
食器洗い機を使うと水の使用量が減ります。
今の世界的な問題はむしろ、トイレに飲める水を使っていることです。
水に流すのではなく、資源として再利用する循環型社会が
研究されています」
日本人のぜいたくな水の使用は、世界の水不足に無関係ではなさそうだ。
「日本人は、国内の水だけを使っているのではありません。
ミネラルウォーターの輸入は、せいぜい年間1人ペットボトル
1本分ですが、3千万~4千万トン輸入している穀物や肉類に
含まれる水は、ペットボトルの10倍から100倍です。
さらに、それらを作るのにも、水が大量に投入されます。
日本の食糧自給率は、カロリーベースで40%程度。
60%は輸入なので、それらを作るために使われた水は、
国内より海外の方が多いぐらいなんです。それらの水も、
一緒に輸入していると考えた方がいい。
水が大量に投入された食糧を買っているんです。
『バーチャルウォーター(仮想水)』と呼ばれる間接的な水ですね」
日本は“見えない水”の輸入大国なんだろうか。
「世界一だと推計されます。例えば、牛の飼料用の穀物を
作るためにも、水が大量に必要です。我々の推計では、
100gの肉に対してその2万倍である2千トンの水が
投入されています」
問題は大きく、深い。自分たちの生活ベースで出来る
ことはあるんだろうか。
「無駄なものは買わない、食べ残しを出さない。
自分の水のことだけを考えるのではなく、食べ物や工業製品に
多くの水が使われていることを認識して、水が足りないとき、
何が出来るのかを考えて行動することです」
人間は、とかく少し先、せいぜい一生分の水のことしか考えないが、
沖さんは、どれぐつい先のことまで考えているのだろう。
「千年後の社会がどうなればいいかを考えるのが楽しいですね。
京都は千年の都。千年後にも水があり、食べ物もあり、
幸せに暮らせるのがいいじゃないですか。そのための技術開発や
社会の仕組みを考えるのがいいと思います」
「第3回世界水フォーラム」
■開催期間/2003年3月16日~23日
■開催場所/京都、滋賀、大阪
■第3回世界水フォーラム事務局/03-5212-1645

グローバルな水問題を伺った。2003年の今、
京都で千年後を考えた研究が進んでいるとは素晴らしい。
遠い未来の地球に思いを馳せることが出来た。
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