初代はお坊様。
門前町御用達、伝統の“手打ち”。
日吉大社の鳥居のすぐ近く、
「本家 鶴喜そば」の上延節子さんのお話。
「創業300年に、もうちょっとというところです。
八代吉宗将軍のころに、山で僧侶をしていた先祖が下りて、
そば屋を始めたということです。私の主人で8代目。
息子もそばを打っていますので、9代目です。
8代目と9代目の“親子そば”ですね」
手打ちのそばにはコシがあり、ダシもおいしい。
ところで、そば打ちに大事なのは水。
坂本は山からの水が流れてきて、街中、
水の音がずっとしている。
「使っていたのは、嫁いできてからずっと山の水でした。
おいしいお水だったんですよ、冷たくてね。
最近は、保健所の指導により山の水は使用禁止なんですが」
「お坊様も、なにかというとおそばですね。
ケーブルがないころは、生のそばを背負って
山を上ったそうです。
上でお湯を沸かしてもらって湯がいたとか。
天台宗には千日回峰行という厳しい行もありますが、
断食をなさっていて、胃を慣らすのには、
最初にそば粉をそばがきみたいにして食べます。
五穀断ちをなさいますけど、
そば粉は五穀に入っていないみたいです」
山王祭については、よそからたくさん来ていただく、
いいお祭りだとのこと。
「すごいですよ。宵宮落しの時に、
神輿を担ぐ方が生源寺の境内に集まって、
読み上げといって、『何々組、どこどこの誰々』と、
組ごとに勢ぞろいして名前を読みあげはるんです。
呼ばはったら“おぉーっ”と返事をして。
白装束で短いももひき、勇ましい格好でね。
それで、合図で一斉に神輿の方へ、
わーっと走らはるんです。すごく勇壮です」
山王祭は何日もある。いろいろな行事があり、
街中が盛り上がってくるんだろう。春の坂本は忙しい。
「本家 鶴喜そば」
滋賀県大津市坂本4-11-4
TEL.077-578-0002
●営業時間/10:00 〜18:00
10:00 〜20:00 (夏季)
第3金曜日定休
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