<飛鳥川の地図はこちら>
がき大将が遊ぶ川に。
159段、石段を上って来た。
さらに坂道と石段を上って、やっと本殿に到着した。
「飛鳥川上座宇須多伎比売命(あすかかわかみにいます
うすたきひめのみこと)神社です。
大国主命の奥さんをお祀りしています」
たくさんの巨木が取り囲んでいる。
「お社も大きいでしょう。子供の時には、この下に蔵があり
その中に雨乞い踊りの絵馬がありました。その踊りが10数年
前に復活し、行事の度に行なわれています。絵馬にあるような
素朴な雨乞いの本踊りが、ここで行われました」
石段を下り、もう一度、飛鳥川のほとりに出た。
1キロほど川上の、川をはさんだ山と山の間に、綱が張られている。
「栢森の綱掛けです。ここが女綱(めづな)。
下流の稲淵には男綱(おづな)があります」
山と山の間は50mほど。綱はたるんだようになっていて、
中央に蜂の巣のようなものがあり、聖域を表す御幣もぶら下がっている。
「ここからは、病気や悪い人、悪い気が入ってこない。
それを止める所です。神社のしめ縄と同じです。
ひとつかみのわらを3本寄り合わせて、三つ編みにしてあります。
毎年、1月11日に行われます」
中央の蜂の巣のようなものは何だろう。
「女性のシンボル。悪い病気が入ってこない、
あわせて子孫繁栄ということで。稲淵のは、
真ん中に男性のシンボルがぶら下がっています」
歴史を伝えるものが残り、飛鳥川が流れている。
森川さん自身も思い出がおありだろう。
「子供の時の川を取り戻したいと、飛鳥川上座宇須多
伎比売命神社から集落の入り口までの間を、万葉集に
出てくるイメージの飛鳥川にできたらと考えています。
飛鳥を訪れる人たちに来てもらえ、都会の人や子供た
ちにも、危なくなく川に入って楽しんでもらえるも
のを造る。栢森は、今では3分の1が空き家。
来てもらうことで、活気を取り戻せればと思います。
5年ぐらいはかかりますが、我々が川づくりの
委員会で知事に答申したものが出来上がれば、
全国でも珍しい川づくりということになろうかと思います。
がき大将が遊ぶ川になれば嬉しい」

飛鳥川源流の旅。最後に来たのは、飛鳥川の飛び石。
すぐ脇に、万葉集研究家・犬養孝さんの石碑がある。
明日香川 明日も渡らむ石橋の 遠き心は思ほえぬかも
飛び石を渡る者は、足元の石だけを見るのではなく先を見通す。
しかし、恋する者は遠くを見ることが出来ず、今この時の恋に
悩む心を石橋(飛び石)に託す、と詠っている。
万葉のころ、こんなロマチックな歌が詠まれた場所だ。
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飛鳥川上座宇須多伎比売命神社

女綱の中央にぶらさがる女性のシンボル

飛鳥川の飛び石
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