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子供たちの興味が川の未来につながる。
次に、実際、揖保川の水生生物の調査に取り組んでいる、
井口武一さんと坂本昌靖さんにお話を伺う。
井口さんは調査にどれぐらい前から関わっているのだろう。
「10年以上です。中学校で理科を指導していて、自然に親しむ
ことをカリキュラムに取り入れたいと考えていました。
氷ノ山から流れる引原川などは清流でしたが、キャンプが増え、
地元の人も川に関心を持たず、平気でごみを捨てる 。
自転車やガラスまで捨てられている。これではいかん、
川をきれいにという気運が高まってきたんです」
調査を続けてきて得たことは何だろう。
「川への関心が高まってきています。
ごみを川に捨ててはいかんという意識や、
上流で泳ぐ子供たちが危険のないように守っていこう
という気運が高まってきたように思います」
「主に夏休みに、グループや学年単位で調査しています。
虫を採って、学校へ持って帰って、立体顕微鏡などを使ってより
分けています。コドラートという50B四方にどれだけ虫がいるかを
調べる方法を使いながら、高学年の子が低学年の子を指導しつつ、
図鑑で調べたり、私たちに名前を聞いたりして、
図や表を書いて結果を残しています。参加して、そういうことを
知らなかった子が非常に興味を持つようになり、来年またやりたいと
言います。子供たちが川の虫に興味を持つことは、
自然を守ることにつながる大切なことです」
井口さんには、夢があるようだ。
「揖保川は川魚に親しめる川なので、魚の餌になる
カワゲラ類やカゲロウ類が多くて、魚が泳ぐきれいな
水になってほしいと思いますね」
一方の坂本さんにも伺った。
「揖保川の調査に関わったのは、つい最近です。
県立赤穂高等学校へ勤務していた頃、赤穂地区の小・中学校の先生が
集まって教育委員会に『千種川生物研究同好会』を設置したんです。
その会に、採取した昆虫を同定する応援を頼まれて調査に関わりました。
私は化学の教員で生物とは無縁でしたが、流域の街で育ち、
常に川は遊びの対象だったので、自然や生き物が子供の頃から大好き。
趣味が高じて足を突っ込んだわけです」
揖保川の調査で目についた虫は何だろうか。
「ヒラタドロムシやチャバネヒゲナガカワトビケラといった 、
地元でカワムシと呼ぶイモムシに似た虫です。
程度の汚れの流域に棲息する水生昆虫です」
揖保川はきれいになったんだろうか。
「下水道や集落排水の完備で、きれいになっていると思います。
でも、温暖化で夏の雨量が極端に少なくなり、河川水が減少して水温が上昇、
生物の種類が限定されてきています。カゲロウ類、カワゲラ類などの
個体数が、今年はとくに減少しているようです。流量減少による
水温上昇の影響でしょう。川は一定の水量があってこそきれいに
保たれるわけで、水量の減少で川が汚れるのは否めない事実です」
来年は千種川で川サミットが開かれる。川にどんな未来を期待するんだろう。
「川は流域の人たちの心を映す鏡だといえます。
川がきれいということは、流域に住む人たちの心もきれいということ。
いつまでも美しくあって欲しいと思います」
2人には、まだまだ揖保川に関わる仕事が山積しているようだ。

今回は、兵庫県新宮町から「第9回兵庫の川サミット」の様子を伝えた。
揖保川に寄せる多くの人の熱意や愛情を感じた。
とくに、子供たちがずっと調査を続けていることで、
揖保川の未来が見えてくる気がした。
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つり橋より下流方向の揖保川

揖保川を遊びの対象にして欲しい

山崎水生生物調査会副会長 井口武一さん

山崎水生生物調査会副会長 坂本昌靖さん
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