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もう一度、プールから川へ。
揖保川は、鳥取県との県境から瀬戸内海にそそぐ70キロもの河川。
上流部には豊かな自然が残る。河口から20キロ上流、
「第9回兵庫の川サミット」会場の新宮町民センターに来た。
ほぼ満席のホールでシンポジウムが開かれている。
揖保川流域の調査資料や写真、兵庫県の川に関する官民の取り組み、
子供たちが描いた川遊びの絵が展示されている。
シンポジウムのコーディネーターを務めた芳野俊通さんにお話を伺った。
「親の代から食堂をやっていて、他で料理の修行をして帰って来て、
店を継ぎました。当時、商工会青年部が街づくりに意気盛んで、
担ぎ出されて議会に席を置いていました。20年ほど前です。
今は街づくりは卒業で、『壺中庵』という会席料理の店とギャラリーを
持って焼き物ざんまいのありがたい人生を送らせてもらっています」
揖保川の調査は、どういういきさつで始まったのだろうか。
「20年前の揖保川は、全国ワースト2の汚れた川でした。
流域下水道の整備が必要なので、揖保川水系地域の議員が集まって
話しあうなかから、水生生物の調査をすることになり、
15年前に流域の2市8町で一斉に始めました。
最上流の波賀町から最下流の御津町まで、すべての街が揖保川の自然を
再度見直そうと。川に足を入れるという体験が新鮮で、水生生物よりも、
こんなに汚れていたのかという印象が強かったですね。
そこで、まずは自分たちの街を流れる揖保川の状況を知ってもらうために、
それぞれの街で何らかの呼びかけをしてもらおうということにしました。
私は新宮町ライオンズクラブに水生生物の調査を依頼。
それが今日まで、15年間続いています」
少しずつでも、川は改善されているのだろうか。
「河川の改修方法も変わり、流域下水も完備されつつあります。
変わってきたと思います。きれいな水を呼び戻すため一番大切なのは、
やはり護岸を整備して親水性を高めること。誰でも川に入っていけて、
川をもっと身近にすることです。そうしたらごみを捨てる人も減るでしょう。
川にどんな生物がいるか知らない子供たちも多いので、
もう一度、プールから身近な川へと、遊び場が戻ってほしいですね」
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揖保川に架かるつり橋

シンポジウムはほぼ満席

子供たちが描いた川の絵

芳野俊通さん
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