夏の終わりを告げるお盆の行事が各地で行われた。精霊を送る「灯ろう流し」。
川で行なわれるものでは日本一といわれる九頭竜川の「大灯ろう流し」を訪ねて、
中流域の福井県永平寺町に来た。驚くほど水がきれいだ。アユを求めて、たくさんの竿が立っている。
さざ波が“日本の川”の風情を醸し出す。ここで、大灯ろう流しが行われる。

 

 

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精霊を送る「灯ろう流し」。


福井県の川といえば「九頭竜川」。
岐阜県との県境から北西に流れ出す九頭竜川は、
大野盆地を経て越前平野に入り、福井市をかすめて日本海に注ぐ。
長さ約116H、流域面積2930平方H、福井県の7割、
若狭地方を除く県のほぼ全域を流域とする巨大な川だ。
「崩れ川」と呼ばれ、氾濫を繰り返してきた。
それが豊かな土壌を生み、かつては春日大社の荘園もあった。

日本屈指の修行の場、曹洞宗大本山「永平寺」では、
200人ほどの雲水たちが厳しい修行に励んでいる。
副監院の木村励雲さんを訪ねた。門から少し入ると木立が涼しい。
今年は、開祖・道元禅師の750回忌にあたる。
お盆に先祖の霊を迎え、送り出す。通年行事だ。
信心のある人もない人も、故郷に帰り先祖を祀る。
お盆の意味を改めて伺った。
 「お盆の免職行事は、憲法で決められているわけではありません。
 しかし、慣習でどんな企業にもお盆休みがある。嬉しいことです。
 12日か13日に家に帰るご先祖様が、寺や墓に途中下車をする。
 そこで、ちょうちん、灯ろうでご先祖様を
 お迎えに行くということです」
送り出しにもまた火を使う。
 「火はご先祖様の魂だと考えています。そして、水辺、
 海辺からお送りをする。火が道案内をし、火が消えるところで、
 ご先祖様が現世(うつしよ)から極楽に進行方向を向けます。
 火は魂であると共に、灯台の役もしています」
盆踊りには、どういう意味があるのだろう。
「お盆は、亡き人を思い出すのが本命。
 おかげさまで健康ですという、ひとつの表現です。
 永平寺の雲水も、白い鉢巻きにもんぺで盆踊りをします。
 灯ろう流しについては、大勢の人が申し込んでくださっています。
 永平寺も、手の空いている雲水は、川施食(かわせじき)
 という大施食を一座勤めてから、灯ろう流しを始めます」

曹洞宗大本山「永平寺」
■拝観料/一般400 円、中・高校生300 円、小学生100 円
■TEL /0776-63-3102

 

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曹洞宗大本山「永平寺」


「永平寺」副監院・木村励雲さん


灯ろう流しの前に行われた「川施食」


ラジオ大阪