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清流揖川

第二章 
薄口醤油は水と知恵の「賜物」

うすくち龍野醤油資料館 館長  正田富夫さんのお話

街の中心部、揖保川近くにある
「うすくち龍野醤油資料館」。
その資料館にある「北大路魯山人の薄口醤油」には、
「一言で言うと、関西割烹だの上方の料理だのは、
薄口醤油がないと成立しないということです」
という魯山人の言葉が見える。

 「関西ではもともと醤油で煮しめたような味が
  好まれなかった。
  内海の魚や京野菜など、素材に恵まれているから、
  素材そのものの色彩、風味、香りなどを
  生かした料理が好み。
  そういう好みに合わせた醤油を造る工夫によって、
  薄口が生まれた。そういうことなんでしょうね。

  醤油の色の素はメラニン。水の中の鉄分が酸化を
  促進する触媒として働き、醤油がどんどん黒っぽくなる。
  しかし、龍野の水は非常に鉄分が少ない軟水で、
  しかもダシからしっかり旨みを引き出すことのできる水、
  そんな揖保川の水に龍野は恵まれているんですよ」

今や世界のソースである醤油は、濃口であれ薄口であれ
原材料は同じなのだろうか。

  「濃口醤油は小麦と大豆で麹をつくります。米は使わない。
  薄口醤油は、そこに米からつくった甘酒を加える。
  一工程多いんです。1年余りの醸造期間、この間が
  一番、色が進みやすい時です。その間にメラニンが
  あまりできないようにするために、仕込みに使う
  食塩水の濃度をやや高めにする。必然的に
  出来上がりはしょっぱい。その辛さをやわらげるために
  甘酒を入れる。これも先達のノウハウで
  伝統的に行われている手法のひとつなんですよ」

竜野では、お土産を売っている所にみんな
甘酒が置いてある理由が納得できた。

 

 「うすくち龍野醤油資料館」

■施設案内/江戸から明治の醤油造りに使用された
道具類を展示。近くには古い醤油蔵が立ち並ぶ
■開館時間/9:00〜17:00(入館は16:30まで)
■休館日/毎週月曜日(祝日と重なる場合は開館して翌日休館)
■入場料/10円(別館と共通)
■TEL./0791-63-4573 ※県指定有形民俗文化財。別館もあり

 

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館長正田富夫

  館長 正田富夫さん 館内を案内

   うすくち龍野醤油資料館にて

 軟水の揖保川の水が薄口醤油に向いている


取材を終えて

龍野市から少し下った揖保川町のせせらぎ公園の一角に来た。目の前を本当に水かさの多い揖保川が音をたてて流れている。
1年前と比べてきれいになったなというのが実感。この揖保川が“清流”揖保川になっていると言っても過言ではないと思う。
桜の季節が終わって1ヵ月もすれば、若アユのぴちぴちした姿が見られるだろう。



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