ラジオ大阪Bスタジオにて

私にとっての愛すべき大和川
〜番組リスナーと語る〜
2006年10月14・21日放送

<前半>

今回はラジオ大阪のスタジオに、3人の番組リスナーの方々に来て頂きました。大阪市西成区の山下隆一郎さん、奈良県大和郡山市の仲野武男さん、大阪市東住吉区の綱島喜久栄さんです。大和川について皆さんに自由に語り合って頂く訳ですが、質問や要望もあると思います。そこで、今の大和川について日本一詳しいであろうという方、国土交通省大和川河川事務所の元永所長にも来て頂きました。


子供の頃に泳いだ思い出
子供たちと遊んだ思い出

 まずは、皆さんの大和川や大和川支流との関わり、そして思い出についてお聞かせください。
山下 小学3年生ぐらいの時に、阪堺電車が通るちょうど下の辺りで泳いだ覚えがあります。シラスウナギがとれるような奇麗な川で、清流にしかすまないテナガエビを網ですくったりもしました。
仲野 私は生まれが堺市なんです。JR阪和線で浅香から天王寺の方へ行く時に見た「大きな川」という印象が今でも残っています。今は大和郡山市に住んで27年ほど。家の2階からは、富雄川が見えます。

 富雄川と言えば、大和川の支流ですもんね。
綱島 私は子供を遊ばすために、主人と大和川に行って、夏はアメンボとか、秋にはコオロギやバッタを網でとった思い出があります。子供のお友だちを連れていってあげた時も、みんな夢中になってました。

  元永所長は、大和川河川事務所に赴任されることになった時、大和川のどんな情報を聞かれてましたか?
元永 名前がすごく素敵なのに、その割に水質が悪いとかそういったイメージの方が強くて…。しかし、実際は聞いていた話とは違って、随分川らしい川だと思いました。生き物がいたり、いろんな人が休みの日に出掛けるような、本当にいい川だなと。何よりも応援団の方がたくさんいる川だと思いました。

 川を大切にしている方は全国にたくさんいますが、大和川に思いを持ち、大切にしようと活動している皆さんは、なんだかその執着の度合いが強いように感じられます。大和川は他の川とどう違うのか。大和川にしかない魅力など、ぜひ皆さんのご意見を。
山下 言い方が悪いかもしれませんが、汚い川というので関心を持つようになりました。いかにしたら、ちょっとでも良くなるのかと思って。
仲野 私の住む地域の富雄川は、上流に大きなダムや水源地がないので、雨が降ればすごい勢いで流れて来る。でも、雨が降らないと底がほとんど干上がってしまう。常に水が流れていれば、もう少し奇麗になるんじゃないかと思うんです。

 水量はやはり水質に関係してくるんですよね。
元永 そうですね。年間降水量が全国平均で1600〜1700o。大和川は1300oくらい。さらに流域には215万人の方が住み、その生活排水も大和川の水源の一つとなります。人との関わり合いによって良くも悪くもなる。我々の生活や心を映す鏡のような川だと思います。でも、20〜30年前には20を越えていたBODの値も、今は環境基準レベルの5前後です。中身はものすごく良くなっています。

川の水を預かる住人の責任
人との付き合いで変化する川

  皆さんは、「大和川が奇麗になった」という変化を実感されたことはありますか?
山下 下流の方ですが、大阪市電が通っていた頃は、ヘドロの臭いがしてましたけど、ここ5年くらいは、そんなのもないし、釣りをしてる人もいます。
仲野 大阪でいた頃は、大和川とただ思っていただけでした。でも、大和川には、奈良盆地の水が全部流れるわけですね。奈良に住むようになり、上流に住む者として、富雄川、佐保川、長谷川、飛鳥川といった川の水を、少しでも汚さないようにする責任があるんじゃないかなと思うようになりました。
綱島 先日、主人と大和川へ行ったんですが、コイやシラサギがいて、水も透明感があって、「良かった!」と思いました。昔はこんな汚い川へ子供を遊びに行かすのかなと思ってましたので。
元永 皆さんの声、うれしいですね。でも実は、昔も今も大和川自身は変わっていなくて、人との付き合い方で表情を変えてるだけだと思うんです。大和の水をすべて集めて流れる大和川の本当の復活までは、まだまだ頑張らなきゃいけない。奈良県の人にとっても、奈良県から恵みの水をもらう大阪府にとっても素晴らしい川でなければならないと思います。


山下さん

仲野さん

網島さん

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