●“コミュニティアート”の実践
『ココルーム』は“アートNPO”です。絵や舞台を鑑賞することだけではなく、コミュニケーションを大事にした活動もアートだと考えています。私はそれを“コミュニティアート”と呼び、『ココルーム』は、その“コミュニティアート”を実践しています。2003年からフェスティバルゲートで活動を行ってきました。
●“ニート”と“アート”を支援して
2004年ごろから“ニート”という言葉がよく聞かれるようになりましたが、その“ニート”の方たちの就労支援や精神障がいのある方が社会と接することができるような居場所づくり、また、障がいのある方と交流を深め、一緒に舞台作品を作るなどの事業を行ってきました。“ニート”と“アート”は紙一重だと思っています。実際、アートをしている人は“ニート”の人が多く、“ニート”と呼ばれる人たちは、この社会の中で自分らしく生きるためにもがいています。“ニート”の方たちの問題が他人事とは思えませんでした。
●共に語り合う場を作ろう!
私もそうでしたが、“アート”表現することを仕事にできればと思い、最初は、アートをしている“ニート”の人たちの発表の機会を作ったりマネジメントを手伝ったりして、環境を整えていこうとしました。ところが、社会の状況はさらに厳しくなってきて、私たちの場所にも、特にアートが好きではないけれどボランティアを希望して参加される人が増えてきました。その人たちも仕事や人生のことで悩んでいて、他者とつながる場を求めていたのですね。共に語り合う場を作ろうと思ったのです。
●“インフォショップ・カフェ”とは
“インフォショップ・カフェ”は、東京には4軒ほどあるそうですが、大阪にはありませんでした。大阪では『ココルーム』が最初です。“インフォショップ”というのは、テレビやラジオのような大きなメディアが取り上げないような小さなニュースや、社会的な問題などの情報が流通する場所です。お客さん同士が出会って、語り合う場所でもあります。非正規雇用やフリーランスの方、NPO団体の方、行政の方など、多様な立場の人が来られます。また、『ココルーム』ではさまざまなイベントも開催しています。
●『むすびプロジェクト』
『むすび』は、あいりん地区・釜ヶ崎で路上生活の経験もあるおじいちゃんたちによる紙芝居劇のユニットです。平均年齢は74歳!手づくりのお面や小物を使った紙芝居には、歌やパフォーマンスも入ります。紙芝居は、既存の物語以外にオリジナル作品も製作し発表しています。いろいろな経験をされている人たちならではのパフォーマンスです。2007年7月にはロンドン公演も実現しました。『ココルーム』では『むすび』の活躍を促進し継続をはかるために、バックアップ事務局をたちあげ、マネージャーやアーティストの派遣、広報や公演機会の提供などの支援を行っています。
●『ちんどんチャンス!』の試み
現在、『ちんどんチャンス!』というプロジェクトを行っています。もともとは障がいのある人たちと舞台芸術を行うプロジェクトだったのですが、『障害者自立支援法』が改定され、障がい者の方たちが外出する時にお金がかかってしまうようになり、活動の継続が難しくなりました。そこで、「お出掛けをしてお金が稼げる仕組みはないか?」と考えて、「ちんどん屋さんになろう」と思ったのです。『ちんどん通信社』というプロの方や、イラストレーター、音楽の専門家などに来てもらい、障がいをもつ人とヘルパーさんが共にちんどん屋さんを勉強しました。体に不自由があると重いものが持てないので、ダンボールやペットボトルで楽器を作りました。上手に音が出るわけではないのですが、その“奥ゆかしさ”も魅力だと思うのです。3月27日(木)の12時15分から、大阪府庁の玄関前をスタートして口上のパフォーマンスをした後、路上に出て約1時間ねり歩く予定です。
<お問い合わせ> インフォショップ・カフェ『ココルーム』
TEL 06-6636-1612
http://www.kanayo-net.com/cocoroom/
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