●伝統文化の町
『東成区コミュニティ協会』のキャッチフレーズは、“伝統文化の薫り高い、人情味豊かなまち”です。東成区の伝統文化としてまず思い浮かべるものは、“菅笠(すげがさ)”と“白瓜(しろうり)”です。菅笠は、保存会もあり、ずっと途切れることなく継承されています。白瓜は、かつて大阪名物の一つで、漬け物として玉造で売られていました。一旦途切れていましたが、それを伝統野菜として復活させようと取り組んでいます。
●ものづくりの町
オルファ株式会社の世界初“折る刃式カッターナイフ”や、映画『E.T』に出てくる空飛ぶ自転車も、東成区で作られました。また、文房具のコクヨ株式会社も東成区にあります。その他にも、東大阪市まで広がる“ものづくりの町”として、ねじや鉄関係を扱う企業が多くあります。
●区民が集まってこその事業
『東成区コミュニティ協会』の力だけでは何もできませんので、区民のみなさんと一緒になって一つのものを作りあげています。『東成区民まつり』には地域の団体の大半が参加して、いろいろな物を持ち寄ってコーナーを作っています。また、『こどもカーニバル』は『東成区コミュニティ協会』の事務局がある東成会館をメイン会場に、すぐ裏手にある新橋通り商店街と協働で開催しています。新橋通り商店街は閑散として寂れている印象が強かったのですが、約7年前から『こどもカーニバル』を開催し、2007年12月の『こどもカーニバル』には、300メートル程の新橋通り商店街に2千人もの人が集まり、大成功でした。広報費などはほとんどかけず、ポスターを貼ったり、チラシを配るなどの地道な活動により、『こどもカーニバル』が地域のみなさんに知られてきたということなのかもしれません。
●伝統文化を守っていく人材育成
伝統文化に着目し、伝統ある上方舞(かみがたまい)を広めていこうと、子どもを対象にした『上方舞こども教室』を始めました。また、区内には『東成区地車(じぐるま)保存会』(2007/8/4放送)があり、だんじりを保存する活動を行っています。地域によって微妙に異なるだんじりのおはやしをじっくり聞いてもらおうと、東成区民ホールを会場におはやしの交流会も開催しています。そうした活動を通して、これから伝統文化を守っていく若い人を育てる事業を進めていきたいと思っています。
●『ひむがし寄席』
『東成区コミュニティ協会』独自の事業の一つに、東成会館の和室を使って開催している『ひむがし寄席』があります。今里駅を中心としたエリアに、プロの若手落語家が多く住まれていることもあり、東成区は落語が盛んです。
●文化サークルの活動
『東成区コミュニティ協会』では、東成会館と玉津会館を管理しています。この二つの会館を利用して文化的な活動をしているグループの作品や演芸発表の場として、2007年10月に『コミュニティ協会文化のつどい』を玉津会館で開催しました。また、3月には区内のいろいろなサークルを一堂に集めた『文化サークル発表会』を予定しています。
●1〜2月の催し
1月には、子供会と協働で、区内の小学生を対象に和紙と竹ひごを使った日本古来のたこづくりを行う『たこづくり教室』を開催します。そして、2月11日には作ったたこを持ち寄り『たこあげ大会』を実施し、たこあげの競技やデザイン、模擬店などで楽しんでいただけます。
●“暗越奈良街道(くらがりごえならかいどう)”と東成区の伝統文化
“藤原宏美の大阪知りつくし24(トゥエンティフォー)”では、各区の魅力的なスポットを実際に案内していただきます。今回は、東成区を通っている“暗越奈良街道”と、東成区の伝統文化に関する二つのスポットを案内していただきました。
●“暗越奈良街道”
東成区内で説明すると、西はJR玉造駅から奈良へ向かって東に延びている街道が“暗越奈良街道”です。その“暗越奈良街道”と今里筋が交差する地点へ来ました。7〜8年前、ここのビルのオーナーが、“暗越奈良街道”の存在を知らせる大きな銅板を寄付してくださいました。かつて一番多い時で、1日約7万人がここを通ったといわれています。
●深江稲荷神社のだんじり
深江稲荷神社の車庫には、昔ながらのだんじりが保存されています。『深江地車保存会』世話役の宮崎博(みやざき ひろし)さんにお話を伺います。
宮崎さん「深江のだんじりは、高さ4メートル、重さは2〜3トンあります。もともと1881(明治14)年頃に住吉で買ったものですが、1990(平成2)年に修復しました。現在『深江地車保存会』では、祭りには約80人が参加しています。祭りの日の夜は、たくさんの人が集まって賑やかです」
●深江の菅田(すげた)を伝える
南深江公園へやって来ました。東成区といえば菅笠です。昔、深江は菅の産地で、その菅を利用して菅細工を作り、暗越奈良街道では菅笠が売れました。現在は東成区に菅田は無く、菅を復活させるために『深江菅田保存会』が立ちあがりました。『深江菅田保存会』の会長で、深江連合会長でもある吉村公一(よしむら こういち)さんにお話を伺います。
吉村さん「ここにある菅田はミニチュアですが、菅の復活を願って作りました。管理上の問題で公園が一番適切だということで、この場所になりました。約1.5メートル四方の田に、この10月に植えた菅がびっしり並んでいます。最終的には人間の背丈くらいの高さまで伸び、夏には刈り取りを行います。なぜ菅田が多かったかと言うと、もともと深江は地盤の低い湿地が多かったので、米づくりができないところには菅を植えていたのですが、戦後都市化が進み、田が無くなりました。この深江の菅の歴史を紹介するには、言葉で説明するより、実物の菅を見てもらうのが一番いいと思って育てています。南深江公園へ来ていただければいつでも見ることができますよ」
<お問い合わせ> 東成区コミュニティ協会
TEL 06-6972-0717
http://www.osakacommunity.jp/higashinari/
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