●古い歴史の残る町
古くは、太古に生存していたと言われるナウマン象の足跡や臼歯が平野区内で発見されています。縄文・弥生時代から現代にいたるまで、中学校の歴史の教科書に出てくる歴史的な事象は、平野区でたいてい説明できると聞いています。また、長吉地区では地下鉄谷町線延伸工事の際、旧石器時代から室町時代にかけての住居跡や墳墓、水田跡が発見され、長原遺跡と呼ばれています。
●学問、文化、宗教の盛んな地
現在の平野区は、昔の摂津国の“平野”と“喜連(きれ)”、河内の国の“加美(かみ)”、“瓜破(うりわり)”、“長吉(ながよし)”という五つの地域があり、それぞれがユニークな特性を持っていて、特に、学問、文化、宗教の盛んな地として伝統があります。杭全神社や大念佛寺(だいねんぶつじ)など神社仏閣も多く、“含翠堂(がんすいどう)”と呼ばれた町民が作った町民のための学問所もあり、“懐徳堂(かいとくどう)”など江戸時代の大坂の民間教育施設の先駆けになりました。
●“町ぐるみ博物館”と“HOPEゾーン事業”
平野区の古い町並みや文化などを、地元住民が意識して保存していく取り組みが行われています。例えば、“町ぐるみ博物館”というユニークな取り組みがあります。自分の家や店を、そのまま博物館として開放していただいているものです。また、戦災を免れた平野区の町並みを残し、活かそうという“HOPEゾーン事業”も行われています。平野区は“だんじり”が有名ですので、「祭り提灯が似合う町並み」を合言葉に、古い町並みを活かした改修や新築などには大阪市から費用の一部補助を受け、さらに魅力的な住宅地をめざしています。
●“人”という宝を大切に!
平野区は大阪市で一番人口の多い区で、約20万人の方が住まれていて、多種多芸に秀でた人たちがたくさんいらっしゃいます。そこでご自分の得意分野をボランティアとして活かす場を求めておられる方に、『イベントサポート平野』という“人材バンク”に登録していただき、必要とするみなさんのために活動してもらっています。例えば、夏休みには、子どもたちに、夏休みの宿題や、絵画や書道、工作などを教えていただいています。その他にも、着付け、茶道、絵手紙、中国語、英語、編み物など、コミュニティ協会で開催しているいろいろな講座のほとんどを、『イベントサポート平野』に登録していただいている方のボランティアの方で行っています。
●『ひらの混声合唱団』と『連続歴史講座』
毎年末には、『ひらの混声合唱団』が『テレマン室内管弦楽団』との共演で、“第九”を原語で歌うなどの『平野区クリスマスコンサート』を開催しています。本番に向けて、毎週水曜日の夜、大変熱心に練習されています。また、『連続歴史講座』にも力を入れています。平成17年に、区制30周年を迎えたことを記念して刊行した『平野区誌』を教材に、『大阪歴史博物館』や『大阪市文化財協会』の学芸員の方を講師にお迎えして、毎年5〜6回の講座を組んでいます。お年寄りの方をはじめ、毎回100人を超える熱心な参加者があります。「研究中で、まだこれは発表していませんが…」というようなことも教えていただけて、楽しいです。
●みんなで作った“平野区いろはかるた”
毎年お正月には、かるた大会を開催しています。“平野いろはかるた”を作って8年目になりますが、子どもにも大人にも大人気で、たくさんの人が集まります。“平野いろはかるた”は、読み札も絵も、すべて地域の方々に募集して作ったものです。かるた大会も、地域の方が手伝ってくださっています。本当にたくさんの人が参加するので、予選は6〜7人で一つのグループになり10数組をを3回、入れ替えて行います。
●これからの予定
新しい取り組みとして、“英語リトミック”を予定しています。親子で、リズムに合わせて英語の単語を言っていくというものです。また、音楽による青少年国際交流を11月3日に予定しています。詳しいことは未定ですが、フィリピンの『ミンダナオ子ども図書館』の奨学生が、民俗楽器“クリンタン”を持ってきてくれるとのことですので、その青年たちと平野区の青少年たちの、音楽を通じた交流を考えています。
●平野区民ホールから、歌声が…
「懐かしい歌をみんなで歌おう」という取り組みです。毎月、第1・第3火曜日に行っています。アコーディオンとピアノによる生伴奏付きで、ピアノの先生には指導もしていただいています。
●“平野郷”を案内していただきました!
“藤原宏美の大阪知りつくし24(トゥエンティフォー)”では、各区の魅力的なスポットを実際に案内していただきます。今回は、“町ぐるみ博物館”や“HOPEゾーン”で古い町並みや文化を残す“平野郷”を案内していただきました。
●平野のまちづくり
“平野郷”はもともと環濠(かんごう)都市です。集落への出入口が13ヶ所あり、その傍らに立っていたお地蔵さんが現存しています。古い町並みを活かして、格子戸や漆喰(しっくい)の壁を昔のまま残している建物や、再現している建物があります。道路は、自然色アスファルト舗装で柔らかくなっているため歩きやすく、見た目にもきれいで、「住む人も見る人も楽しい町」になるように工夫されています。
●『平野映像博物館』
染と織の『まつや』さんは、“町ぐるみ博物館”の一つ『平野映像博物館』となっています。店主の松村長二郎(まつむら ちょうじろう)さんが、50数年間、撮り続けてきた映像が、たくさん置かれています。“開館日”の毎月第4日曜日には、見たい映像をリクエストして、見せてもらえます。平野の昔の町並みを映した映像や、平野の町並みがたまたま映っている作品もあります。27年前になくなった南海の路面電車が映っている映像もあり、「あの電車の映像が見たい」と指定してくる人もいるそうです。
●『おも路地』
『おも路地』は、全興寺(せんこうじ)のご住職・川口良仁(かわぐち りょうにん)さんが、子どもたちのために作っている“遊びの空間”です。昔はベーゴマや平野では“ベッタン”と言うメンコ、女の子ならオジャミや鞠つきといった遊びがあり、子どもたちが路地やお寺の境内などで遊んでいました。それを、もう一度再現しようと、子どもも大人も関係なく、みんなで一緒に遊べる場所になっています。平野では、子どもが安心して遊べるような町づくりが、住民の手によって行われています。
●平野区へどうぞ
平野区には、他にも町の“博物館”がたくさんありますが、“開館日”は不定期です。第4日曜日の“開館”が多いようですが、詳しくは『平野区コミュニティ協会』までお問い合わせください。
<お問い合わせ> 『平野区コミュニティ協会』
TEL 06-6790-4000
http://www.osakacommunity.jp/hirano/index.html
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