●“クリニクラウン”とは
簡単に言うと、入院している子どもたちと心を通わせて徹底的に遊ぶのが“クリニクラウン”です。クラウン(道化師)ですから、子どもが興味を持つような服装はしていますが、衣裳の問題や衛生面の管理がきちんとしていないと病院には入れませんので、エンターテインメントのピエロとは少し雰囲気が違います。でも、奇想天外な動きなどの面白さには、共通項があるかもしれません。
●小児病棟の子どもたち
小児病棟に長期入院している0〜18歳くらいの子どもたちを対象としています。病棟によって、いろいろな症状の子どもがいます。
●子どもたちが主役
病棟では子どもたちが中心ですので、極力子どもたちが受け身にならないように、“クリニクラウン”が芸を次々と見せないことがポイントです。“クリニクラウン”が主人公になって次々と楽しいパフォーマンスをしてしまうと、子どもたちはベッドの上で観客になってしまいます。逆に何もしないでいて、「えっ、何もしてくれないの?」というふうに子どもたちの興味を引き出すようにします。病院での活動では、まず、子どもたちが何を求めていて、何を必要としているのかを注意深く見ることが大切になってきます。
●子どもたちに大切な、人との関わり
“クリニクラウン”の基本スタイルは、どんな状況でも2人1組です。また、病院のロビーや廊下ではなく、直接子どもの部屋を訪問するようにしています。そこで毎週、1人の子どもに対して約10分の関わり合いをもちます。 “クリニクラウン”が行くことで病室の空気が変わり、子どもたちが確実に、人と関わることに興味を持ってくれたら、それで十分なので、時間は短くても構わないと思っています。
●“クリニクラウン”活動の歴史
道化師が病院を訪問する活動は世界各地にありますが、“クリニクラウン”という名称を使って活発に活動している国はオランダです。日本の活動は歴史が浅いのですが、2年前、オランダ大阪神戸総領事館が“オランダの文化”として“クリニクラウン”を紹介したのを受けて、この活動が具体的になりました。受け入れてくれる病院も増えてきましたが、まだまだ「医療の中に笑いやユーモアが本当に必要なの?」という意見もないわけではありません。理解してもらうために、日々、頑張っているというのが正直なところです。
●日本における“クリニクラウン”
“クリニクラウン”になって「子どもたちの役に立ちたい」という方はたくさんいらっしゃいます。この2年間でオーディションに270人の応募があったのですが、現在日本で“クリニクラウン”として活動しているのは、10人です。オーディションに合格した後、養成トレーニング、臨床研修、認定試験を経て正規の“クリニクラウン”になります。現在、15人が研修を受けています。
●“クリニクラウン”の難しさ
“クリニクラウン”には台本もプログラムもなく、小児病棟の子どもたちが相手ですので、リハーサルもできません。子ども1人1人の個性にも、対応しなければなりません。また、一番気を使うのは、病室への出入りです。「最初に受け入れてもらえるか」が重要で、「どれだけ中途半端に終わらせて出てくるか」は、もっと重要です。きれいに終わらせてきたら、子どもたちにとっては、あまりよくないのです。「あれぇ、もう帰るの?」と思ってもらうことが、次に会う期待感につながるので、ストーリー性やパフォーマンスは二の次です。
●お知らせ
『日本クリニクラウン協会』では、会員になってくれる方、寄付をしてくれる方、宣伝や広報、派遣費用のサポートをしてくれる企業や団体を大募集しています。詳しくはホームページをご覧ください。
<お問い合わせ> NPO法人『日本クリニクラウン協会』
TEL 06-6575-5592
http://www.cliniclowns.jp
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