●インタビュー前半
藤原:『OSAKAゆめネット』は、2006年4月に発足されたとのことですが、どんなメンバーで構成されているのですか?
浜田:歴史関係の5団体をはじめ、音楽関係の団体、歴史や音楽が好きな個人の方、ボランティア活動をされている方などで、現在70人の方がメンバーです。
藤原:歴史関係では五つの団体があるということですが…?
浜田:15年間活動を続けている『ドキドキ考古学』が主体となって、歴史ウォークをしているグループや歴史学習会をしている『フラットなにわ』、『大阪で遊ぼ』などのグループが参加しています。
藤原:『ドキドキ考古学』は、どんな団体なのですか?
浜田:古代史の市民学習会やボランティア活動などをしています。なにわの海の時空館に『なみはや』という古代船がありますが、現在はそこの清掃とガイドのボランティア活動も続けています。ネーミングは“土器の2乗”で“ドキドキ”とも言っているのですが、15年前に初めてガイドボランティアというものをしまして、その当時は珍しい活動だったものですから「ドキドキ、ワクワクするなあ」というようなところから『ドキドキ考古学』という名前が付きました。女性ばかり20人が参加しています。
藤原:『OSAKAゆめネット』を作ってからは、どんな活動をされましたか?
浜田:10月から大阪市教育委員会のネットワーク事業という支援を受けて、『百人よれば百の人生〜聞き書き、聞き取り調査体験講座』を行っています。最近では、それが一番大きな活動です。
藤原:“聞き書き”ですか?
浜田:“聞き書き”というのは、例えば 講座の時だと、“子どもの遊び”や“今のお母さんはどう?”などのテーマを決めて、隣に座った人からお話を聞いてまとめていくというものです。“聞き取り”というのは、町を歩いて、町のいろいろな方のお話を聞いてまとめていくものです。例えば、大阪天満宮界隈であれば、大阪天満宮の歴史も入れて、その周辺のお店の方のお話も聞いて、書いて取材し、記事にまとめて冊子を作ります。
藤原:すごいですね。教えてくれる人もいるのですか?
浜田:『ザ・おおさか』編集長の南野佳代子(みなみの かよこ)さんと、『天満人』編集長の井上彰(いのうえ あきら)さんのお二人に教えていただきました。
藤原:普段そういう本を作ってらっしゃる方に、ちゃんと教えてもらえるのですね。どうして、ネットワークを組もうと思われたのですか?
浜田:私は以前も、あるNPO法人の事務局長をしていたのですが、平行して『ドキドキ考古学』もずっと続けていく中で、NPOやそういうグループが発展していくためには、“汗”と “頭”と“人脈”だと思ったんです。それで、一個人、一団体ではなかなかできないことをみんなで協力して、もっと大きなところでやっていこうじゃないかと考えて、ネットワークを作りました。『OSAKAゆめネット』副理事長である、流通科学大学教授で歴史考古学がご専門の長山雅一(ながやま まさかず)先生から、段々と風化していくものが多いので、地域のことをもっと掘り下げて、一つのものにまとめて記録していくことが大切だと聞き、「今、聞いとかなあかん」という思いで、“聞き取り”調査もしました。
●スタジオ
藤原:“聞き書き、聞き取り”というお話がありましたが、事務所が天満の『天神繁盛亭』の近くにあるので、その大阪天満宮周辺の方にお話を伺って、町や人などのことをまとめて、冊子にしていくという活動をされています。
松本:確かに、“聞き書き”や“聞き取り”ということをちゃんとやらないと、こういうものは、どんどん、どんどん風化していきますからね。
藤原:そうなんです。他にも、例えば歴史のセミナーを開いたり、歴史にまつわるところを歩いてみたりしています。また、ボランティア活動として弥生織り(弥生時代の織り)のコースターを作っていて、見せてもらったのですが、ざっくりとした編み目ですごく暖かみがあるんです。そのコースターや勾玉づくりを子どもたちと一緒に行っています。その時に親御さんが来られたら、親御さんのほうが熱心に参加されるそうです。
松本:雰囲気、分かりますね。
藤原:映画学習会も行われています。天六にユニークなフリースペースの『音太小屋(ねたごや)』という場所がありますが、そこのオーナーが『OSAKAゆめネット』の会員なので、そこで古い映画の上映会もされているそうです。他にも交流会やイベントなど、本当にいろいろな活動をされています。
松本:やはり、ネットワークを組んでいるから、できることなのでしょうね。
藤原:後半は今後の夢などについて、伺っております。
●インタビュー後半
藤原:今年、2007年にしようと思われている夢はなんですか?
浜田:谷町四丁目に『難波宮(なにわのみや)旧址』という国の史跡公園があります。大阪の方は大体、“なんば旧址”、“なんばきゅう”とかと言われます。大阪人の2割ぐらいの方は知っておられるかなと思いますが、その名称も含め、なかなか広まっていません。歴史関係の方の間ではずっと前から言われていることなのですが、できれば7月28日の“なにわの日”に、その難波宮跡で何かしたいと。そして、それをずっと継続して続けていきたいというのが夢ですね。やっと「できるかな?」という感じにはなってきたので、今年から始動していきたいと思っています。
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藤原:大阪を舞台にネットワークを組まれている浜田さんにとって、大阪の良さや魅力とは、何ですか?
浜田:やっぱり人情味がある、庶民性があるということです。また、いろいろなものが混ざっている、混在している良さというのがありますね。歴史ウォークをしていると、ビルの谷間に歴史の跡があったり、神様も大阪ではみんな屋上へ上がっているんです。お地蔵さんや、お稲荷さんがあった所が開発されてビルが建つと、それを別の所に移動させるのでなく、自分のビルの上に上げます。ですので、大阪では上を向いて、屋上のほうを見て歩いてほしいなと思います。結構たくさんの神さんがありますので。
藤原:結構身近なところに、考古学につながるものがあるのですね。
浜田:そうですね。ある学芸員さんによると、考古学というのは古代史だけではなくて、昨日のことから考古学になっていくそうですよ。
藤原:まずは、7月28日のイベントを頑張ってください。
浜田:頑張ります。
藤原:今日はどうもありがとうございました。
浜田:ありがとうございました。
●スタジオ
藤原:7月28日なので、“なにわの日”。
松本:語呂合わせですね、これ。
藤原:そうなんです。『OSAKAゆめネット』が作った日で、一般的に言われていることではないのですが、「7な・2に・8わ」、もう覚えましたね。7月28日です。
松本:大阪にいても確かに、『難波宮』を“なにわのみや”と呼べる人は少ないです。やはり“なんば”のイメージが強いのですね。“なんばぐう”?“なんばみや”?“なんばきゅう”?とか、「どう読むんやろう」と思う方は多いと思います。
藤原:『難波宮(なにわのみや)』は身近なところにありますから、大阪市民の方には、どんどん知ってもらいたいなと思います。
『OSAKAゆめネット』の活動に興味を持たれた方は、ホームページをご覧ください。お問い合わせは、ホームページからメールを出してください。
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<お問い合わせ>
『OSAKAゆめネット』ホームページ
http://dokidoki.s86.xrea.com
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● 取材を終えて、感じたこと |
子どもたちへの講座でもある、弥生織りのコースターやデバター(アンコール遺跡群の遺跡壁面に残る女性像)の拓本などを見せてもらいました。古い歴史を、身近に感じることができました。
いろいろな団体が集まっているので、それぞれが得意分野でアイデアを出したり、また苦手分野は助けてもらったりして、『OSAKAゆめネット』は、これから何でもできちゃいそう!ますます面白くなりそう!と思いました。
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