●インタビュー前半
藤原:『水都の会』を始められたきっかけは何ですか?
藤井:4年程前、たまたま仕事の関係で、大阪を水の都に再生させる計画を検討することがありました。その時、参考に若者の意見なども聞きたいと思い、北区・中崎町にある古い民家を再生させたカフェで意見交換会を行いました。
藤原:その時の参加者はどんな方々だったのですか?
藤井:参加者は、“水都再生”関係の活動をしている人や“水都再生”に関心をお持ちの一般市民の方などです。大した宣伝はしていなかったのですが、30人以上もの参加者が集まり、大変な熱気で議論が始まりました。夜の11時半を回っても議論が終わらないような状況が続き、こうした社会的ニーズがあるなら、それに応えたいと思い、月例で勉強会を行ったのが会の始まりです。
藤原:毎月、勉強会をすることになったのですね。どんなことをされたのですか?
藤井:最初は、「水都の再生とは一体どういうことか」を、みんなで議論しました。その後、実際に活動している人をゲストに呼んで、お話を聞いたり、水辺でフィールドワークをしたりするなど、勉強会を1年くらい続けた頃に、「いくら会の名前が『水都大阪を考える会』だからといって、いつまで“考えて”ばかりいるんだ」、というような話になりました。そこで、例会の一環として、“水の文化創造の町づくり”を目的としたフィールドワークを、中津で行いました。その時に、偶然、さまざまな出会いがあり、中津で何かイベントをしようということになったのです。地元のライブハウスの店主が委員長に、私が副委員長になって、二人で実行委員会を立ち上げました。それが今年で3回目になる『中津deまつり』の始まりです。
藤原:『中津deまつり』では、どんなことをされたのですか?
藤井:フィールドワークをする少し前に、ペルーで葦舟造りを学んで来た人が千葉県におられることを知りました。葦舟造りを核としたイベントをしようということは、以前から考えていたので、『中津deまつり』の目玉イベントとして、会場のど真ん中で、市民参加によって葦舟を組み立てようということになったのです。
藤原:そんな簡単にできるものなのですか?
藤井:延べ200人が参加したのですが、最初、2月から3月にかけて、『水都の会』の会員と中津の住民で、淀川でアシを刈りました。そして『中津deまつり』の当日、1日で舟を組み立てました。その葦舟で、昔あった淀川の“十三の渡し”を再現しようと、中津から十三へ向けて淀川で進水させました。
●スタジオ
藤原:この葦舟は二つあるのですが、大きいほうは、5人乗りで7.7mもあります。相当大きいですよね。小さいほうでも、3人乗りで6.6mもあるので、かなり大きいです。
松本:アシというのは、ストローみたいに中が空洞になっている植物ですよね。
藤原:そうです。西中島に生えているアシを刈って作ったそうです。
松本:人が乗れるというのがすごいですね。
藤原:かなり丈夫にできているそうで、水の上に浮かべても4年は使えるそうです。修理はしないといけないのですが、「材料費はタダやからいい」とおっしゃっていました。川の上を舟で走るだけでも、すごくロマンチックで素敵なことですよね。
松本:夢、ロマンがありますね。
藤原:景色がいい場所や天気がいい日の様子など、とっても素敵な写真をいろいろ見せてもらって、私も乗りたいなぁと思いました。その葦舟ですが、重たいので、まず川にはクレーンで下ろすそうです。そして、引き上げる時は水で重たくなっているので、さらに大変です。
松本:そうか。最初は乾燥しているアシの舟だけど、水を含みますからね。
藤原:でも、いろいろな方が協力して造っていますので、楽しいでしょうね。みんなで造った舟に、自分も乗れますから。藤井さんも多くの理解者、協力者がいるからこそ、自分たちの活動が成り立つんだとおっしゃっていました。
●インタビュー後半
藤原:『水都の会』は、他にどんなことをされているのですか?
藤井:『とんぼりリバーウォーク』のある道頓堀や南港など、いろいろな所でイベントを行っています。クルーズ形式で『水都の会』の忘年会をやって、道頓堀川を通った時に、せっかく立派な『とんぼりリバーウォーク』ができたのに、「少し寂しいな」と実感したのです。そこで、『とんぼりリバーウォーク』をもっと活性化させようという提言を『水都の会』でまとめて、葦舟に乗って、提言書を道頓堀商店会まで届けに行ったりしました。
藤原:今後、どのような活動をしようとお考えですか?
藤井:アシというのは、か細いものですが、1本で年間2トンの水を浄化できると言われています。“水都再生”を志す市民団体として、ささやかでも環境問題や町づくりなどに、継続的に取り組んでいきたいと考えております。
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●スタジオ
藤原:いろいろな写真を見せていただいたのですが、どれも素敵でした。にぎやかな道頓堀川を悠々と走っていくというのは、想像するだけでも、うらやましいですね。普段見ている風景も、水の上から見ると、また違った目線で見えるでしょうね。
松本:子どもの頃、草で作った笹舟を川に流し、それをいつまでも追いかけていたことを覚えています。その笹舟が、葦舟になって夢を実現させている、そんなロマンを藤井さんの話を聞きながら感じていました。
藤原:本当にロマンいっぱいですよね。この『水都の会』に興味を持たれた方は、メーリングリストに登録してください。イベントなどの案内が送られてきます。会員になるのは、誰でもOK。会費は一切かかりません。登録希望の方は、藤井さんまでメールをしてください。
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<お問い合わせ>
『水都の会』代表 藤井薫
k.fujii@excite.co.jp
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● 取材を終えて、感じたこと |
自然に生えているアシを使った、自分たちの手作り舟!!それだけでも素敵なのに、実際に川を走るなんてすごすぎます。
「ぜひ、一緒に今度乗ってください」とお誘いをいただきましたが、むしろ「今度作る時は、ぜひ一緒に作らせてください」とお願いしたくなりました。
葦舟は、みんなのロマンと温かい心を、しっかりと編みこんでいるに違いありません。
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