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2006年6月24日(土)放送
幻のなにわ伝統野菜“玉造黒門越瓜”を、今に復活させる。〜『玉造黒門越瓜出隊(たまつくりくろもんしろうりだしたい)』〜

今回は、『玉造黒門越瓜出隊(たまつくり くろもん しろうりだしたい)』の活動をご紹介します。玉造稲荷神社の境内に畑を作り、なにわ伝統の野菜の一つ、玉造黒門越瓜を復活させる活動をしています。玉造稲荷神社の禰宜の鈴木伸廣(すずき のぶひろ)さんが代表を、陶芸家の曽我部努(そがべ つとむ)さんが副代表を務めていらっしゃいます。今回は上町台地でCafe ca Bar(カフェ カ バー)というカフェを経営されている長谷川泰子(はせがわ やすこ)さんも交え、3人にお話をお聞きしました。




●インタビュー前半

藤原:玉造黒門越瓜というのは、どんなウリですか?
鈴木さん(以下、鈴木・敬称略):8条の線が入っている大きな緑色のウリです。

藤原:8本の線が入っているんですね。大きいって、どれぐらい大きいんですか?
鈴木:大きいものだと30cmほどあると思います。中国の越(えつ)という国から入ってきたウリなので、越瓜と書いて「シロウリ」と読みます。

藤原:いつ頃伝わってきたのでしょう?
鈴木:玉造に入ったのは、1700年代と考えられています。

藤原:それから、ずっと玉造の付近で作られてきたのですか?
鈴木:そうですね、ずっと作られていました。

藤原:でも、正直あんまり名前を聞いたことがありませんが、一旦廃れてしまったのでしょうか
鈴木:明治時代に廃れてなくなっています。

藤原:それを復活させようと活動されているのですね。いつ頃から、どのように活動を始められたのですか?
鈴木:平成14年に、こちらのほうへ種が戻ってきたということで、そこから活動が始まりました。

藤原:曽我部さんにお聞きしますが、越瓜というのは、江戸時代のいつ頃から栽培されていたのでしょう?
曽我部さん(以下、曽我部・敬称略):狂歌や古い文献によると、1700年前半に、玉造でこのウリが作られて、販売されていたということが分かっています。それ以前、1582年に豊臣秀吉にウリを献上したことから始まる越(白)瓜市場(しろうりいちば)が玉造平野口町にありました。

藤原:江戸時代の全盛ぶりって、どんな感じだったんでしょう?
曽我部:玉造は伊勢への街道筋にあたり、江戸時代に流行った「おかげまいり」の旅人で市場は大変賑わったということです。江戸中頃の玉造には、多くの酒蔵が集まり、その酒粕と名物の黒門越瓜がもとになって、奈良漬けが生まれたということです。

藤原:奈良漬けってそんな歴史があったんですね。
曽我部:そうなんですよ。



●スタジオ

藤原:前半部分は鈴木さんと曽我部さんに伺いました。玉造黒門というのは、大阪城の三の丸の玉造門が、今の玉造にあったそうです。当時の玉造門が黒かったから、黒門とも呼ばれていたのだとか。その黒門は、のちに天王寺の一心寺に移されたのですが、途中、現在の黒門市場の所に仮に置かれていた時期があったので、あの辺りは今、黒門と呼ばれるのだそうです。

松本:そういう歴史があるわけですね。

藤原:そうなんですよ、びっくりしましたね。育っている越瓜を実際に見せていただきました。秋から冬に実るのだろうと、最初に種をもらわれた時には思われたそうですが、それは間違いで、実際は3月頃の最高気温が20度を超える暖かい日にまいて、7月の半ばから9月の初めまでの間に収穫する。

松本:夏の一番暑い、最盛期ですね。

藤原:30cmぐらいの大きさになるらしいんですが、今はまだ、全然で。え?どこに?これ大きくなるんですか?みたいな状況でした。

松本:これからどんどん伸ばしていく時期です。

藤原:松本さんもウリを育てていらっしゃるから、詳しいですね。

松本:うちのもむちゃくちゃデカイわけじゃないですが、これからですからね。

藤原:それで、頃合いをみて一気に大きくなるんですって。すごいですよね。食べたことあります?越瓜。

松本:越瓜だということで食べた覚えはないですね。

藤原:果肉が分厚くって、シャキシャキ感があるから、歯ごたえがあって、おいしいらしいですよ。まあ、ウリと同じように思っていただいたらいいそうですが、ウリにしては、若干甘みが強いので、よりおいしく、アクも少ないので料理にも使いやすいそうです。食べ方は、何でもいいんですって。

松本:そうなんですか。

藤原:スープにしてもいいし、炊いてもおいしいし、ジャムにしてパンに塗って食べても、おいしいよとおっしゃっていました。

松本:こんなに便利なウリが、なぜ廃れたのか不思議ですね。

藤原:ほんとに悲しいですね。さまざまな料理にも応用が利きますし、栄養面でも、これからの夏バテ予防になったり、成人病の予防にも役立ったりするそうです。さあ、後半部分は、こんな何にでもおいしく変身する越瓜を、なんとクッキーにしたというお話。

松本:クッキーですか?

藤原:詳しいお話を長谷川さんに伺います。



●インタビュー後半

藤原:長谷川さんは、越瓜を使ったクッキー作りに携わられたと伺っています。これ、可愛いらしいですね、ちょうど二つ折りの携帯ぐらいの大きさで、ちゃんとウリの形をしていて、目が薄い緑色でとても奇麗ですね。
長谷川:去年の夏から地元の高校生たちと一緒に、地元の野菜を使っている中で、伝統野菜というものが地元にもあるということを知り、高校生たちと一緒に作り上げたクッキーです。

藤原:伝統野菜っていろいろありますが、どうして越瓜クッキーでないと駄目だったんですか?
長谷川:自分たちの足元の玉造で昔、玉造黒門越瓜というウリが栽培されていたことを知ったのですが、誰もその存在を知らなかった。私も知りませんでしたし、高校生たちも知らなかった。それを実際に玉造稲荷神社で作られているのを知って、「これは私たち自身も知ったからには、誰かに伝えないと!」というふうに思いましたので、みんなで作ろうっていうことになりました。

代表の鈴木伸廣さん(右)
副代表の曽我部努さん(左)
カフェ カ バーの長谷川泰子さん(中)

大阪の町中に今も
昔のままの姿を残す玉造稲荷神社

境内に祀られている末社

越瓜は、こんなに可愛くて、
奇麗な花が咲きます

畑ではみるみる
大きくなっていきます

収穫された越瓜

越瓜の形をした大徳利

越瓜を使ったクッキーのパッケージ

目が緑色で可愛い!



藤原:とても色が奇麗ですが、どうやって作るんですか?
長谷川:どうしてもこのウリの奇麗な緑色を伝えたかったので、ウリを皮のままミキサーで擦りおろして、ピューレ状にして、それをジャムにしたものを目の部分に乗せたのと、あとは全体にも、ちょっとですけどウリも混ぜています。

藤原:皮の部分って普通だったら、捨てる部分と思いますが。
長谷川:私も初め、捨てていたんですが、中身は奇麗な白色になっていますので、ウリのイメージとはかけ離れてしまいます。じゃあ、皮を擦りおろしてみたらどうだろうって思って、ミキサーでやってみたら、ほんとに奇麗な色が出たんですね。「もうこれだ!」って思いました。

藤原:このクッキーを、清水谷高校の人たちと一緒に研究して作って、何か賞を取られたそうですね?
長谷川:地元の商店、神社、他にも大阪市の方とか、いろいろたくさんの方に協力していただいて、高校生が自分たちで動いて、商品にしていったという経緯と、自分たちも何千枚も焼いてレシピを作り上げたという成果が評価されて、文部科学大臣賞を今年の1月に東京で受賞しました。



●スタジオ

藤原:長谷川さんがカフェでこのクッキーを販売されているそうです。今日、持ってきたので、よかったら召し上がってください。

松本:ちゃんと、一つ一つパッケージされていて、可愛らしい顔をしていますね。

藤原:そうなんです。いかがですか?

松本:サクサク感はありますが、中は結構しっとりとした感じのクッキーですね。

藤原:香りはどうですか?

松本:ウリの胴体の部分を食べていると、普通のクッキーですね。目の部分のペーストにした緑の部分ありますね。

藤原:ウリのジャムが入っているそうです。

松本:ここは、ちょっとウリの風味が残っているという感じですね。

藤原:すごいアイデアですよね。ウリをクッキーにしてしまうっていうのがね。

松本:いや、おいしいですね、これ、ほんとに。

藤原:本当においしいですよね。このパッケージも、とっても可愛くって、高校生の方がウリを可愛らしく、みんなに分かってもらいやすいようなイメージでと言って、それをデザイナーさんが考えて作ったそうです。ほんとに手作りの越瓜の伝統野菜を使ったクッキーです。

松本:はい。

藤原:クッキーは買っていただくことになりますが、ウリを実際に食べてみたいという方は、7月15日に玉造稲荷神社で、採れたウリを調理して無料で振る舞うという「食味祭(しょくみさい)」というお祭りが行われます。数に限りがありますので、どうぞお早めに行っていただきたいと思います。『玉造黒門しろうり食味祭(しょくみさい)』は、玉造稲荷神社で、7月15日 午後6時から行われます。なお、詳しくは、玉造稲荷神社の『玉造黒門越瓜出隊』までお問い合わせください。


お問い合わせ/
玉造稲荷神社内「玉造黒門越瓜出隊」事務局
TEL:06-6941-3821
http://www.inari.or.jp


● 取材を終えて、感じたこと
中国の越の国から伝わったものなので、越瓜(シロウリ)と書くのですね(白瓜とも表記するそうです)。一度は衰えた黒門越瓜の復活を願い、栄養満点で良質の越瓜を広く伝えようと、畑から自分達で作ったり、おいしく食べてもらえるように工夫をしたり、みんなに親しんでもらえるようにお祭りを開催したりするなど、会の方々の努力は涙ぐましいものがあります。
歯ごたえがあり、どんな食材とも合うという黒門越瓜。一度食べてみたいですね!

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