●インタビュー前半
藤原:『ひょうきん倶楽部』とは、どのようなことをされている団体ですか?
堀さん(以下、堀・敬称略):様々な施設を訪問して、マジックや南京玉すだれ、物まねなどで慰問しているグループです。
藤原:堀さんご自身は、どんなことをされているのですか?
堀:私は、マジックと日本舞踊。創作舞踊の中にマジックを取り入れて、お年寄りの方たちに喜んでいただけるように、頑張っています。
藤原:踊りながらマジックというのは、ちょっとイメージしにくいのですが。
堀:大川栄作の「さざんかの宿」ってありますね。あれだったらお年寄りの方もみなご存じだと思いますので、それをマジックに合うように替え歌にし、それで鏡を出して、鏡の中に編み棒を通します。普通に考えると、鏡って何も通らないですよね。それが袋に入れて編み棒を通すと、通ってしまうんです。
藤原:えー!鏡って普通、そんなことできないはず・・・。
堀:その辺がマジックなんです。
藤原:そもそも、『ひょうきん倶楽部』の活動は、いつごろから、どのような経緯で始まったのですか?
堀:昭和51年頃に、私の主人が「自分は何もできないし、人前に出ても話もできないから何か・・・」というので、プロのマジシャンに入門しました。段々腕を上げて「自分の会を持ちたいなぁ」と言っていた時に、「素人名人会」に出場しました。西川きよしさんが司会をされていて、「うわー、大変ひょうきんなマジックですね」とおっしゃったんです。ちょうどその頃、作っていたマジッククラブの名前を「すっきやねん」か「ひょうきん」のどちらにしようか決めかねていたのですが、「これで決まりだ!」と。西川さんの一言で決まったようなわけです。
藤原:そこから『ひょうきん倶楽部』と名付けられたのですか。
堀:はい、そうです。
藤原:現在、メンバーは何人ぐらいいらっしゃるのですか?
堀:10人ぐらいです。
藤原:活動場所は?
堀:老人ホームや、幼稚園などの子どもの施設を回っています。
●スタジオ
藤原:お話にありましたように、単なるマジックだけでなく、大川栄作の「さざんかの宿」を替え歌にして、それを流しながらマジックをされるんです。
松本:いいですね。
藤原:私も聞かせていただいたのですが、鏡を自分の手作りの袋に入れて、「しまいます〜♪」と言いながら、編み棒で刺す。鏡だから突き刺さらないはずのところが、刺さったり、パタンと半分に折れてしまったりもする。近くで見ていても、仕掛けが分からなかったんですね。
松本:だからマジックでしょ(笑)。
藤原:その場で少し見せていただいたのですが、実際は着物も着て、日本舞踊の音楽に合わせて踊りながら、マジックをするのだとか。人とは違うことをしたいという、その表われがすごく楽しかったです。他にも簡単なもので、髪の毛をくくるゴムを二つ、手だけで知恵の輪みたいな感じでつなげて、外せそうもないものを外したりとか。できそうで、できないことをすぐ目の前でしてくださいます。行った先々で、大きな舞台がある時は、大きな見せ物を・・・。
松本:触れ合えるぐらいの距離の時には、手持ちの品でやってみる。
藤原:そうです。「どのようにして、マジックを覚えたのですか?」と伺いましたら、元々旦那さんがされていて、いろんな人に教えていくのを見て、堀さん自身も「できないかなぁ」と、見よう見まねで始められたのだとか。とくに詳しく教えてもらったわけではないけれども、旦那さんが人に教えるのを見ながら覚えていったそうです。でも、そんなご主人の勝治さんは、今年お亡くなりになられました。会の代表をされていたので、旦那さんがいなくなって、一時はやめようかと思ったそうですが、周りの方々から「そんなこと言わずに、やろうよ!」「やってくださいよ!」という後押しがあり、続けていらっしゃるそうです。旦那さんは、「素人名人会」で名人賞を取ったほど素晴らしい方です。表彰状もたくさんありました。もちろん様々な賞の表彰状もありましたが、地域の方々への貢献に対して贈られる賞状も多かったですね。後半部分もお聞きください。
●インタビュー後半
藤原:様々なところで活動されていると伺っていますが、今後の予定をお聞かせください。
堀:関西奇術連合会主催の発表会「奇術の祭典」が、6月11日に厚生年金会館でありますが、それにも出させていただきます。それから7月には「子どもカーニバル」に。
藤原:プログラムはどんな構成でされるのですか?
堀:一番初めに、ご祝儀舞とも言える踊りを軽く入れて、それからマジックに入ります。マジックでも同じことをしていると、飽きられるので、物まねの寅さんが入ったり、いろいろ組み合わせて、一人大体5分単位ぐらいで区切ってやっています。
藤原:一人5分単位ということは、全体でどのくらいの時間ですか?
堀:大体50分から1時間。
藤原:ずっと座って見ていても、マジックだったり、物まねだったり、踊りだったり、いろいろあると飽きないでしょうね。
堀:お年寄りの方は、大変心待ちにされています。
藤原:行った先で喜ばれるんじゃないですか。
堀:喜ばれて、本当にうれしいです。
藤原:これまで、失敗や感動したことなど、いろんなことがあったと思います。どんなことがあったか、教えてください。
堀:全然違う品物が、後ろと前と反対になって出てきたり、舞台ですべって転んだり(笑)。
藤原:みんな爆笑じゃないですか。
堀:爆笑です。マジックよりも、そのほうが喜ばれる場合があります(笑)。
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代表
堀 睦子さん |
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平成2年、鶴見緑地公園で行われた
「花と緑の博覧会」にゲスト出演
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「素人名人会」に出場し、名人賞受賞。
これが「ひょうきん倶楽部」の始まり
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子ども達は、興味津々で
「ひょうきん倶楽部」のマジックに
くぎ付けです
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人が楽しむことなら、マジック、
物まね、踊り、なんでもしています
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藤原宏美も、マジックに挑戦!
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堀さん「これを、こうして・・・」
藤原「えっ?こうですか?」
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堀さん・藤原「できたぁ〜!!」
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●スタジオ
松本:人柄がよく分かりますね。
藤原:失敗しても、技術だけが目的じゃなくて、それでも喜んでもらえるという人柄がね。
松本:この人柄ですと、ステージや出し物自体に明るい雰囲気がありますよね。
藤原:本当に“ひょうきん”っていう名前の通りです。もちろん技術も素晴らしいのですが、発想のアイデアも素晴らしい。また、全部ボランティアで行かれています。
松本:ボランティアなんですか。
藤原:「本職にされたらどうですか?」って伺ったんですけどね。
松本:サービス精神旺盛ですもんね。
藤原:お金をもらってやると、楽しみが減ると。自分が楽しいからさせてもらっているんだと、ニコニコしながらおっしゃっていました。いろんな所に慰問に行かれますので、みなさんと一体になれるように、ある工夫をされているそうです。それは、鳴子。鳴子をみんなに渡してあげるのだとか。これを手拍子の代わりに鳴らすのもいいし、どう使ってもらってもいいんですって。自分の好きなように、もちろん鳴らしてもいいし、持っているだけでもいい、振り回してもらってもいい。みんなが同じものを同じような形で持って、それで触れ合えるということを目的にされているようです。また、堀さんは、京橋で中華料理のお店をされています。活動とは別に昔から京橋でお店をされているのですが、昔からお店をやっていると、段々とマンションも増えてきて、交流がちょっと薄れていっているような気がする。それが寂しいんだとおっしゃっていました。でも、私が取材に伺った時には、20代や30代の若い方が歩いて来られて、「おばちゃ〜ん、久し振り〜っ!」とか「○○ちゃん、どこ行くの?気を付けて行っておいでや〜」という会話を普通にされていらっしゃいました。
松本:いわゆる昔から町内に誰か一人ぐらいは居るというおばちゃんですよね。町の潤滑油、つなぎ役。
藤原:まさにその通りです。だから、さみしくなっている反面、心と心の触れ合いは、いつまでも続くところでは続いていく。また、続いていかないとだめなんだなぁと感じました。
『ひょうきん倶楽部』について、詳しくは、都島区社会福祉協議会「ふれあいセンター都島」までお問い合わせください。
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お問い合わせ/
都島区社会福祉協議会「ふれあいセンター都島」
TEL:06-6929-9500
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● 取材を終えて、感じたこと |
名前はひょうきん、活動も一風変わった手品などひょうきんそのものなのですが、慰問先では迷惑をかけないようにと、カセットやマイクを借りるだけで、手作りの幕を持っていき自分達でステージの準備をしたり後片付けの掃除までしたりする!と徹底した気の遣いよう。
そうした会の特色でもある心配りは、パフォーマンスの中にも存分に盛り込まれているのでしょう。
演者とお客さんがひとつになり、気持ちの良いステージである事、間違いないです。
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