●インタビュー前半
藤原:ビールを飲みながら国際交流をしているNPO法人と伺っていますが、どんなきっかけで活動が始まったのでしょう?
柳原さん(以下、柳原・敬称略):私が勤めていましたドイツ総領事館は長らく神戸にあったのですが、1995年の阪神淡路大震災で崩壊したため、その年の夏に大阪の梅田スカイビルに移りました。それを契機に、在阪の新聞社、テレビ局の方々との交流が増えて、ドイツ特派員経験者の方々が、当時のドイツ人領事フィーツェと私に「ドイツ総領事館が中心になって、いろんな国の外交官に声をかけ、お国自慢のビールを持ってきてもらい、みんなで飲もう!ビールサミットというものをやろう!」と提案してきたのです。いわゆる報道関係だけで飲むのではなく、せっかくだから大阪市民にも参加してもらって、みんなで楽しもうじゃないかというのが、最初のきっかけです。
藤原:そのビールサミットについて、詳しくお聞かせください。
柳原:1回目は大阪の海遊館の映画館を借り切って基調講演とパネルディスカッションをし、その後、場所を近くの税関の検査所に移して、50種類ぐらいの外国ビールの試飲という形でスタートしました。約340〜350人ぐらい参加したと思います。
藤原:いつのことですか?
柳原:10年前の1996年5月です。
藤原:第2回は、どこで開催されたのですか?
柳原:2回目は、大阪市と一緒に、10月の御堂筋パレードの時期にATCでやろうと思っていました。ところが、その夏に堺市でO−157が発生し、子どもたちが苦しんでいる時に、すぐ近くのATCで大人がビールを楽しんでいるのはいかがなものかと、大阪市が辞退。急きょ、領事館が地震で被災した後に移った梅田スカイビルでできないかと積水ハウスさんに打診したところ、快諾を得、第2回目以降からは梅田スカイビルでの開催となり今に至っています。
藤原:1回目と2回目では、ガラッと雰囲気が変わったでしょうね。
柳原:変わりました。1回目は基調講演やパネルディスカッションが主体でした。ドイツ領事、アメリカ領事、小西酒造の小西さん、それに日本の地ビールの草分け的存在である日本地ビール協会の小田さんたちの話を聞いてパネルディスカッションがメインでしたが、2回目からは、野外の巨大な立食パーティという趣向ですね。ビールの数も80種類ぐらいに増え、御堂筋パレードに参加している外国のダンシングチームも参加して盛り上げてくれ、来場者が2日間で、一挙に5千人ぐらいになりました。
藤原:3回目以降は、どうなったのでしょう?
柳原:3回目以降は、さらに、日本の地ビールも出して、“世界の地ビール”、“日本の地ビール”ということでやりました。2回目の時は料理が少なく、周りのコンビニの物がなくなる、地下のレストランも満杯になるという状況でしたので、食事を充実させようと、インド料理等料理のレパートリーも増やしたところ、来場者も1万人ぐらいに増えました。
藤原:お客さんも増えて、宣伝効果もあったわけですね。
柳原:私たちは宣伝に使う費用はなかったので、ドイツ総領事館が中心になって、アメリカやベルギーなどいろんな国の総領事館に協力体制を築いてもらいました。チェコはビールの本場ですが、大阪にはチェコの領事館がないので、東京にあるチェコの大使館にもお願いしました。報道関係者が言い出しっぺですので、新聞に告知記事を書いてもらい、テレビ局も取材に来たりして、口コミで広がったようですね。
●スタジオ
藤原:1980年代から1990年代前半ぐらいまで、日本のビールって、キリン、アサヒ、サントリー、サッポロの4社しかない。プラス沖縄のビールぐらい。そのことが「なんか寂しいなぁ」って、外国のビール事情を知っている人が思われたそうです。ドイツなら5千種類ぐらいあるのにと。今でこそ日本は地ビールがたくさんありますけどね。ビール党の方は、様々な国や地域のビールを飲んで、そこから文化にも触れ合えるのがいいのでしょうね。
松本:ビールそのものを酒の肴にするのですから、こんなイベント、他にはないですよ。
藤原:「インターナショナル・ビール&ワインサミット」について、まだまだ聞いています。
●インタビュー後半
藤原:大阪だからこそ、活動が成り立っているという要素はありますか?
柳原:具体例を挙げると、外国人の方が非常に大勢参加してくださっています。こんなにも外国人がいるのかっていうぐらいね。
藤原:大阪中の外国人がみんな集まったみたいに、ですか?
柳原:本当にそうです。それで、最初は大阪市民のために、外国のアトラクションを用意していたのですが、外国人向けのイベントもということで、九州から小倉祇園太鼓を呼んだりしました。ステージが終わった後で彼らが、「柳原さん、これは面白い祭りだ!」と。何が面白いかと聞くと、「これ、九州じゃ、けんかになります」と言うんです。
藤原:どうしてですか?
柳原:大阪の人は見ず知らずの人のテーブルにも「いいですかー?」と言いながら気軽にやって来て、「これ、何ですか?」「美味しそう、どこで売ってるんですか?」と話しかけます。でも、同じことを九州でやったら、「なんだー!」と、けんかになると彼らは言うんですね。大阪の人はすぐ親しくなって、打ち解ける。そういうところが大阪らしさかなと思います。
藤原:そのあたりが大阪でやる魅力のひとつですね。
柳原:そうですね。
●スタジオ
藤原:「インターナショナル・ビール&ワインサミット」には、ぜひ行ってみたいですよね。
松本:サミットの話をされている、柳原さんの声もどんどんテンションが上がってきているのが分かりますね。
藤原:本当にビールがお好きなのが、よく伝わりました。
松本:「インターナショナル・ビール&ワインサミット」には、誰でも参加できるのですか?
藤原:誰でも参加できて、入場も無料です。ただし、ビールや食事は有料です。あらかじめインターネットを通じて、前売りチケットを買っていただくと、ちょっとお得なんです。前売りチケットは3000円分がセットになっています。それをインターネットで申し込み、会場で3000円払って3000円分の食券をもらいます。プラス500 円で、本来は販売しているその年のオリジナル特製ビアグラスをもらえたりといった特典があるそうですので、行かれる方は、ぜひインターネットで予めチェックしてください。「インターナショナル・ビール&ワインサミット」は、毎年10月に行われます。御堂筋パレードが行われる週末にあるということですから、開催時期は大体は決まっているのですが、今年の日程はまだ未定です。ホームページで発表されるそうですので、行きたい方は、ぜひともホームページをチェックしてください。
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理事長 柳原 初樹さん |
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3月に行われた
「花もだんごも。中之島WEST」では、
各国のビールを出店しました
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