●インタビュー前半
藤原:おしゃれなお店がたくさん入っている複合店舗の「練(れん)」は、もともとどのような建物だったのですか?
頼政さん(以下、頼政・敬称略):神戸の須磨あたりに大きなお屋敷、別荘として建っていたものです。
藤原:3年前に複合店舗にされたということですが、どんなお店が入っているのですか?
頼政:チョコレート屋、めがね屋、カフェなど色々なお店が入っています。
藤原:「salon de ありす」という場所でお話を伺っていますが、ここでは着物の着付け教室もされているとか?
頼政:着付け教室のほか、和裁の教室やお茶、お花、お琴の教室などを開講しています。
藤原:仕事として着付け教室もされていらっしゃいますが、どんなきっかけでNPO活動をしようと思われたのですか?
頼政:37年間着物に携わった仕事をしていますが、20年ぐらい前から、着物やタンス、火鉢などの古い物がどんどん捨てられていくようになりました。もう現在は作り手がいないような貴重な着物もどんどん捨てられていくことにとても胸が痛み、何らかの方法で集めなければいけないとずっと思っていました。着付け学院の方は娘が後を継いでくれることになりましたので、着物を残す活動や、日本の心を伝える礼法などを伝えていくボランティア活動に本腰を入れて取り組もうと、NPOを立ち上げました。
藤原:活動内容をくわしくお聞かせください。
頼政:「練」の2階を利用して、『きものdeからほり』という活動を月に1回、第3土曜日に開催しています。着物を着てここに集まり、三味線の演奏会を行ったり、お琴や鼓などの音楽会などを行ったりしています。
藤原:参加費はいくらですか?
頼政:日本の文化を、多くの方に気軽に親しんでもらいたいので、500円に設定しています。
藤原:会員の方限定ですか?
頼政:どなたでも参加いただけます。第3土曜日の5時から6時くらいに「練」の2階に来ていただいたら結構です。
●スタジオ
藤原:お話を伺ったのは、「練」という空堀にある建物で、100年以上前の長屋を再生したものです。その2階にある「salon de ありす」は、畳敷きになっています。この空間について頼政さんは、「ここは人が昔の着物を持って来て、新しい人が入ってきて、人の交流と物の循環がある場所です」とおっしゃっていました。後半は今後の動きなどについても伺っています。
●インタビュー後半
藤原:今後の展望などお聞かせ下さい。
頼政:来年は参加対象を子どもまで広げて、親子のマナー教室のようなものを開こうと考えています。例えば襖の開け閉めや座布団の座り方などについて、講習会をしたいと思っています。また、外国の方にも日本の文化を伝えてみたいとも思っています。今は日本の古い家屋が少なくなってきたため伝統的な礼法が伝わりにくくなりましたが、「次代に残したい伝統を伝えていく」ことが私どものテーマです。
藤原:『和文化伝承協会』は、会員制ですか?
頼政:会員制ですが、会費といっても年間500円です。
藤原:和文化を伝承している立場から、空堀の良さをあげていただけますか?
頼政:ここに入った当時は、“古い物は汚い”という感覚が、お年を召した人たちにはずいぶんありました。しかし、そうではないということを少しずつ、「古い物は残しましょう」「大切にしましょう」ということを、これからも伝えていきたいと思っています。
藤原:古い物の大切さはもちろん、それを伝えていらっしゃる頼政さんの表情やしぐさなど、和の礼法をわきまえていると美しいということを感じました。これからも活動がんばって下さい。
頼政:ありがとうございました。
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理事長
頼政惠美子さん |
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窓から見える風景は、少しの間だけ
現代社会の雑踏を忘れさせてくれる
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「和」がテーマのかわいい小物が
ズラリと並ぶ.
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「きものdeからほり」演奏会の様子
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「きものdeからほり」演奏会
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「きものdeからほり」町あるき
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