藤原 ではまず組織についてお伺いしますが、ＮＰＯ法人『コリアＮＧＯセンター』というのは、元々は、どんな団体なのでしょうか。
鄭さん（以下：鄭・敬称略）
これは昨年できたばかりなのですが、三つの団体がひとつになった団体です。そのひとつがワンコリアフェスティバルをしている「ワンコリアフェスティバル実行委員会」。そして20年以上活動している「在日韓国民主人権協議会」があり、これは在日の人権問題とか韓日のＮＧＯ交流、そういう活動で実績があります。そしてもうひとつは、「民族教育文化センター」といって、日本の公立の学校の中で学ぶ在日コリアンのための民族学級です。その民族学級の教育の制度の保障とか内容について支援している、そういう団体なんですけど、この三つの団体がひとつになりました。
藤原 では鄭さんはずっとされてきた「ワンコリアフェスティバル」は、どんな風に始められたイベントなのですか。
鄭 今から20年前の1985年８月15日。日本では終戦記念日にあたるこの日は、コリアでは解放記念日といい、その40周年を機に始めました。ご存じのように今、韓国と北朝鮮は、二つの国に分かれています。けれど元々同じ一つの国なのです。この国が二つに分かれているだけではなくて、この国を支持する団体がまた在日の中で二つに分かれて、ずっと争ってきたんです。そういうことをいつまでもしているのはやっぱり恥ずかしいことです。南北には38度線がありますが、それは軍事境界線なので自由に行ったり来たりできません。しかし、在日は北を支持する人であれ、韓国を支持する人であれ、いつでも会えるわけです。なぜワンコリアと言ったかというと、そういう日本に住んでいる僕らだけでも、「せめて一つになりましょうよ」ということで、「ではお祭りではどうですか」ということで始めました。
藤原 注目を浴びてきたのは、いつごろになりますか。
鄭 初めてのことで、なかなか皆さんに理解されなかったんですけど、ラジオ大阪さんがまだ３回目の、まだこれが海のもんとも山のもんとも知れないような時に、初めて日本のマスコミのメディアでは後援をしてくれたんですよ。ポスターなどに名前を出して。それから、次の年から段々、いろんなメディアの方も関心を持っていただいて、また後援もしてくれるようになって、徐々に広がってきて、４回目、５回目とどんどん認知度が上がってきました。
●スタジオにて
第１回目の「ワンコリアフェスティバル」というのが、なんと参加者が200人足らずだったらしいのですが、去年は２万５千人来られたらしんですよ。だから、それだけ今、人気のイベントになっています。
そして今年で21回目を迎えるというこのイベントですが、韓国の文化について語るトークイベントをはじめ、日本からは黒田征太郎さん、近藤等則さんが来られたり、また在日コリアンアーティストをお迎えして、ステージで歌があったり、演奏があったりと、すごい楽しそうなんですよ。そしてステージ以外では韓国のお料理、例えばチヂミだったり、キムチだったり、有名店も出店されるということで、韓国料理だけじゃなくて、アジア全般の飲食店が出るらしいんですよ。これ、なかなか美味しそうです。焼き肉も出るんですよ！
そのほかに物販もありますが、子どもさん達が遊ぶところもあったり、65歳以上の方にはサムゲタン試食の無料招待もあります。サムゲタンというと、鳥のお腹の中に餅米とかナツメとかを詰めた、体の温まる美味しいものです。2000食も用意してくれるということですから、ぜひ、お出かけいただきたいと思います。後半部分もいろいろとお聞きしています。お聞きください。
インタビュー・後半
藤原 今年の21回目のワンコリアフェスティバルについて、お聞かせください。
鄭 今年は、韓流をテーマにするのですが、なぜ韓流をテーマにしているかというと、韓国だけじゃなくて南北の統一、そしてアジアの平和。そしてなにより、僕たち目の前にいる在日コリアンにも、もっと関心を持っていただこうということで結びつけることにしたというのが主旨なんです。韓流ということで、韓国から今回はたくさんの韓流スターとかＫ−ＰＯＰの歌手とかたくさん来ます。
藤原 その中でも目玉といいますと、どういったところですか。
鄭 韓国の若手歌手で “バラードの皇太子”と呼ばれているテイという人がいるんですけど、テイさんはこの前、日本でもグランキューブ大阪を２日とも満員にしましたので、非常に注目されていて、これからどんどん注目されていくと思います。その方が一人、目玉といえると思います。また若手でイ・アンという女性歌手。この方は「長今（チャングム）の誓い」というＮＨＫの衛星放送でやっている韓国宮廷の世界を描いたドラマがありますが、これが今度いよいよ地上波でくるそうで、冬のソナタに次ぐすごい人気を再び集めてるんです。この主題歌を歌っているイ・アンさんです。彼女は、この主題歌でデビューしたんですよ。
藤原 そうですか。
鄭 また韓国の大学がソウル大学、ヨンセ大学、高麗大学・・・日本でいう東大、早稲田、慶応というような大学ですが、21校の大学が日本に来て、ブースを置いて「私たちの大学はこんなに魅力がありますよ」と皆さんがアピールして日本の若者に「ぜひ留学に来てください」というようなコーナーもあるんです。
藤原 では今度は、コリアＮＧＯセンターの日常的な活動をお聞かせください。
鄭 ＮＧＯ同士の交流というものを活発にやっております。今年も夏に韓国のＮＧＯと交流するプログラムを日本の市民団体も一緒にやったり、それがまた関係して、今年ワンコリアフェスティバルでもＮＧＯの交流があるわけですけど、そういう活動も一つの柱。そしてまた人権研修という形で主に修学旅行生を対象にしているんですけれども、鶴橋にコリアタウンがありますよね。このコリアタウンでフィールドワークをするんですよ。古代から現代までの日本とコリアの関係をいろいろ分かりやすく説明しながら、体験では朝鮮の楽器をやったり、ハングルひと口入門講座とか、あるいはキムチを実際に作ってみるとか。そういういろんな体験学習もやっています。
●スタジオにて
本当にいろんな体験学習があったりだとか、あとハングルを教えたり、日本と韓国が本当に一つになったらいいという、その思いが本当に根底にあるんですよね。すごくそれがよく分かるんです。韓流ブームをブームだけに終わらせてはいけませんもんね。今はたまたま、このようにブームになってますけど、本当にちょうどいいきっかけだと思うんです。鄭さんのお話を聞いていて本当にそう思いました。
そして始まりますワンコリアフェスティバル、今回21回目を迎えるということで、今、お話にありましたように、いろんな方が来られます。「冬のソナタ」ですごく人気のありましたチェ・ジウの大学の先輩で、設計事務所の同僚役をされたパク・ヒョンスクさん。それからまた「冬ソナ」で、コミカルな演技が好評で日本でも大人気となりましたキム次長役のクォン・ヘヒョさん、その他、「長今（チャングム）の誓い」でチュンジョン役で出演しているイム・ホさん。この「長今（チャングム）の誓い」は韓国時代劇ドラマで韓国では連日50％を越える高視聴率だったというすごく人気のあるドラマで、その中のセリフまで披露していただけるということで、楽しみですね。
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代表理事
鄭甲寿さん |
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シンボルマークとロゴは、イラストレーターの黒田征太郎さんが創られた作品です。
シンボルマークはアジア全体を視野に入れながら、それぞれ個性を持った３つの団体が一つになり、勢いよく発展していくことを象徴しています。また、ロゴは自由で活発な精神を表しています。
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食のコーナーは、いつでも大人気です
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人気のサムゲタンは、2000食準備。
65歳以上の方に無料で配られる
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多民族・多文化共生社会の
実現に向けて活動
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生野コリアタウンの
フィールドワークの様子
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ライブを通して、アジアがひとつに！
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生野コリアタウンを舞台にした
人権研修プログラムを実施しています |
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