藤原 『大阪・九条下町ツアー』は、どんな活動をしているのか教えてください。
谷口さん(以下:谷口・敬称略)
“大阪の代表的な下町九条の素顔の大阪を見ていただこう! ”という活動をしています。「立派な大阪ドームのある町は、実はめちゃくちゃ庶民的な町やねんで」と、ぜひ素顔の大阪を見て欲しいということで、このツアーをおこなっています。
USJゲートウェイ入り口の環状線の西九条駅がスタート。このスタートから、ある工事現場が見えてくるんです。その工事現場のところで、ふたつの音を聞いていただきます。
最初に聞いていただくのは、この音です。
〜SLの音〜
これは電車というよりも、スチームロコモーション・・・SLです。
これが、ひとつめの音です。
ふたつめの音は、皆さんご存じの六甲おろしを、ポンポンポ〜ンと歌ってメガホンを叩きます。そして、衣装もハッピを着用します。ツアーのお客様にもタイガースのハッピを着てもらいます。
なんでこの工事現場で六甲おろしを歌うか分かります?
藤原 いや〜分からないです。
谷口 この工事現場は阪神電車です。現在、この線は西九条までで止っています。それが近い将来、私たちの九条を通って近鉄線なんば駅と繋がります。そしたら、ここは西から阪神電車、東から近鉄電車が来て、総合乗り入れすることで阪神電車の関連のタイガースが強くなるように、「阪神電車、頑張って電車付けてくれ〜!」ということの現場なんです。
藤原 じゃあ、いきなりツアーに参加して、音は聞かなあかんは、阪神の応援はせなあかんはで忙しいですね。
谷口 だから地方から来た方は、いきなりタイガースの歌を歌わされるで、びっくりしはりますよ。歌だけじゃなくて、衣装も全部着て、歌ってもらいますので、「うわ〜!これでやっと大阪へ来た!」というような感じで、修学旅行の方なんか喜んでいただけるんです。
藤原 その後はどちらに行くのですか。
谷口 その後は、此花区西九条の町に流れる安治川という川のほうに行きます。その川の底には、昭和19年の太平洋戦争真最中にできた世界でも珍しい安治川川底トンネルがあります。ここは地下18mにあるので、夏は涼しくて、冬は暖かいのです。幅が約80mありますけど、その下を最新式のエレベーターで下りて川底を歩いて、川を越えると(大阪市此花区西九条から)大阪市西区九条に到着するのです。
谷口 実は、九条は私が3歳から育った町なので、穴場中の穴場をツアーに来た人たちにご紹介していこうと、そういうことになっております。
藤原 なるほど。
●スタジオにて
藤原 なかなか楽しそうなツアーと思いませんか?いきなり「この音聞いてください!」って言われて「何かな?」と思ったら、SLが出てくるとは思いませんでしたね。
町を歩いている時に、鉄を扱う会社の中にポンとSLが見えたら、面白いですよね。「さっき聞いた音はコレやったんや! 」とイメージが湧きますし、「貴婦人C57」っていう、SLマニアにはすごくたまらないSLらしいですよ。実は、地下鉄中央線の九条あたりを車で走っていてもSLが展示みたいに見えます。「なんでこんな所にSLがあるんやろ?」と。そして、ツアーを続けていくと小学校の裏が公園になっていて今度は、お手製の紙芝居がおこなわれます。これは谷口さんが大阪の町を色々と描いた紙芝居で、九条や大阪の町を想像しながら再びツアーを続けて、最終的には大阪ドームに到着します。このような、大変ユニークなツアーになっています。
●インタビュー後半
藤原 もともと何がきっかけでこのツアーは始まったんですか。
谷口 さきほど阪神電車の話が出ましたが、もう38年も前から阪神電車と近鉄と繋がるっていうこの計画がありました。ところが、駅の位置とかいろんな利害関係で流れてしまったんです。一旦、流れたのち、九条の町がめちゃめちゃ寂しくなったんで、「僕らの同級生が九条の町はなんでこんなに元気がなくなってん」「そりゃやっぱり昔計画があった阪神電車が来なくなったのが原因だろう」ということで、「それやったら阪神呼び戻そうやないか」ということがこのツアーの前身なんです。
藤原 それはいつ頃になるんですか。
谷口 昭和42年ですから、もう38年前の話です。その後、阪神を応援するイベントはいっぱいやりました。ひとつは“阪神タイガース寄席”。これはタイガースのファンの落語家を商店街のおそば屋さんの2階に呼んで寄席をおこなうものです。その寄席は、阪神タイガースのファンの落語家にひとりだけ巨人ファンの落語家を呼ぶんです。それで、小話をして、最終的には巨人の落語家を痛めつけるという寄席です。タイガース寄席は6回ほど、おこないました。
藤原 ツアーの参加費は、おいくらですか。
谷口 参加費は1000円です。その中には5つのいわゆるB級グルメや下町グルメ・・・たこ焼、(USJにちなんで)ジョーズ(サメ)型のお好み焼き、ぶたまん、そしてシュークリーム、大阪名物の粟おこしとガイド料も入って2時間半で1000円。こんな面白いツアーが1000円で満喫できるんです。
藤原 谷口さんにとって、九条に代表される大阪の魅力を教えてください。
谷口 私どものキャッチフレーズなのですが、「大阪繁盛、九条、人情、あんじょう、九条!九条は、よろしおまっせ〜」こん中に集約していると思います。
●スタジオにて
藤原 大阪市主催のコンテストのようなもので“隠れた大阪の魅力を再発見しよう”という「大阪魅力百貨」というがあるんですが、なんとこの大阪・九条ツアーは優秀賞を受賞されたそうです。このツアーは、毎年春と秋の2回にわけてツアーを募集されているそうです。秋のツアーは今月の10月29日(土)におこなわれます。興味のある方は体験してほしいと思います。ぜったい損はしませんので、ぜひ参加してください。
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大阪・九条
下町ツアー主宰
谷口 靖弘さん
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鉄の町・九条のシンボル「SL館」。鉄道マニアの憧れの蒸気機関車「貴婦人」は好評です。 |
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「たこ焼き」の試食は、ツアーの楽しみのひとつ。
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ジョーズ(サメ)の顔をした、「上手お好み焼き」。大阪人らしいネーミングです。
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冬は暖かく、夏は涼しい「安治川川底トンネル」は、世界的にも珍しい建造物。 |
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大阪ドームで、阪神タイガースとオリックスバッファローズの日本シリーズが開催されることを祈願して「ドーム弁当」を披露!
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商店街内の各所には、阪神タイガースとオリックスバッファローズの日本シリーズ開催を大々的に応援する懸垂幕がある。 |
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