藤原 まず、「もうひとつの旅クラブ」ですが、どんなことをしている団体なのか、教えてください。
李さん(以下:李・敬称略)
一般的に旅行に行ったり旅に出たりとかということじゃなくて、自分たちの町を旅人のような客観的な視線で見つめ直して、こうしたらもう少し良くなるんじゃないかとか、こうしたら本当に旅人がまた来てくれて、いろんな人が喜んでくれる町になるんじゃないのかなという意味で、「もうひとつの旅クラブ」という名前を付けたんです。
藤原 具体的にはどういった活動をされてるんですか。
李 なにわ野菜を食べてみて大阪の町を考えてみたり・・・。例えば大阪城天守閣という我々が理解してるのは、なんとなく“城”と思ってるんですが、あの天守閣も実は大阪城方式と言われるぐらい博物館としての価値もすごく高い天守閣なんですね。で、学芸員の先生が4人ほどで、毎年ちゃんとした企画展を天守閣の中でやっておられます。だから大阪の町の歴史を学ぶということにも、非常に優れた展示をやってられるのも、大阪城の天守閣と。だから我々がなんとなく触れて知っているこの町なんだけれども、本当はもう一枚ペロッとめくると、もっともっと意味深く興味深いものがたくさんこの町の中に、残念ながら今や埋もれてしまっておるというところを、ちょっと一枚ずつペロっとペロっとはがして。引き出していくわけです。
藤原 それは展示みたいな、それかどこかに行くような形なんですかね。
李 だから行ったりもしますし、我々の展示もできるようなことの活動という意味でいえば、「旅のカードブック」ということで、我々自身の目で、これは興味深いなと思ったことを写真で切り取って、絵はがきにもなるんですけど、それがストックされていくと、本にもなるっていう風な、そういったものも我々の会員の中で、自主制作して作ったりしてます。それは今、20何点ありますから、展示したりすることもあります。
藤原 なるほど。
藤原 さて今日はバラ園でお話をお伺いしております。隣の川にも先ほどから船が通っていますけど、今日こちらでお話をお伺いしている理由なんですけど、桟橋ができるんですって。
李 桟橋っていうか、10月8日から約1カ月間、まさにこの場所を大阪市ゆとりみどり(振興局文化集客部集客観光課)さんからお貸しいただいておこないます。我々だけでやるんじゃなくて、2008年に中之島の新線っていうものが、まさにこの地下に完成しますので、ビジネスマンの町だと思われがちだった中之島とか御堂筋ではなくて、そういった新線ができた時に、なんか人もまさにさっき言ったような、旅に出てくるような、遊びに出てくるような、そんな今語でいえばコンテンツみたいなものをみんなで一度研究してみて、2008年にこの中之島の地下に新しい鉄道が走った時には、中之島が日本を代表するような観光地になっておったらいいなと一つのきっかけみたいなものを今回やらしていただく訳なんです。この港には名前がついてまして、「中之島ローズポート」、これ舟屋なんですけれど、およそ1カ月間、10月8日から限定で出発します。
藤原 この辺り、淀屋橋ですとか、北浜など、市役所も近いですから、ビジネスマンの方も非常に多いですけれども、今、こちらにお邪魔してるライオン橋のところは、本当に川との距離が近いですよね。
李 通称、俗称で「ライオン橋」といいまして、正式な名前は「難波橋」っていうんですけど、まさに大阪を象徴する非常に美しい橋なんですね。で、このバラ園のまさにこの場所っていうのが、日本の大都市の都心の中でも非常に珍しい地形をしてまして、何かっていいますと、水面とこの土地の地面の高さがほぼ同じ目線で存在していると、非常に豊かっていいますか、水の恵みとか「水都大阪」って言われることの意味がこの場所に立つと、本当に「あっ、そうなんや」と改めて感じる場所だと思います。
藤原 ここに桟橋というか、港ができると思ったらいいんですか。
李 そうです。10畳ぐらいの屋内空間を持った仮設の本当に小屋みたいなもんなんですけど、そこで昔、中之島に全国諸藩の蔵屋敷が建っておった頃のイメージをしながら、船に乗って、大阪城に行ったり中之島を一周したり、それからフラッグシップっていうんですか、その1ヶ月間の期間中に「スーパーマジカルショーボート」って、これも知り合いなんですけど、最近ごっつう売れてはる近所のマジシャンの方に船に乗っていただいて、
藤原 その方は中之島の方なんですか。
李 この近所なんですよ。堀川小学校のPTAで一緒やったんですけど。
藤原 マジックパフォーマンス?
李 そうです。それも無理矢理のネタじゃなくて、例えばこの川沿いには、造幣局ってありますよね。その明治維新にヨーロッパ欧米からの近代文化を近代技術を学んで、コインを造るための工場ができたんですね。その前では、コインのマジックをやってもらったりとか。
藤原 いろいろ関連があって面白そうですね。
李 ここは土佐堀川なんですけど、向こうの堂島川をちょっと上がっていくと、朝日新聞とかちょっと移転しましたが、毎日新聞とか、日本の一般大衆紙のあけぼのっていうのは、この堂島から起こったんですね。その辺に行くと、今度は、新聞使ったマジックをしてもらうとか。また、造幣局のところではコインのマジックとかやるんですよ。
船の中に乗って、外の景色を見るのも楽しいですし、その港自体のつくりもなかなかかっこいい小屋が建てられる、完成の図を見せていただいたんですけど、バリアフリーで、やっぱり車椅子の方でも気軽に来ていただきたいということで、自分たちのメンバーも年齢や国籍も問わず、ウエルカムですから、お客さん自体もどんな方でも利用して欲しいという思いがあって、すごいかっこいいバリアフリーの港になっているんです。
でその陸上の船屋では、どんなことをするのかといいますと、これもまたユニークで、例えば食文化の起点というか、若狭おばまウィーク、「サバ街道の終着駅は大阪だった!?」通説でいうと。京都の出町柳まで福井県の小浜から京都の出町柳までという風に言われてるですが、実は、そのサバは大阪まで運ばれていたんじゃないかっていうのがあって、それに基づいて、そこで試食も兼ねて、ちょうど旬ですから美味しいサバがいただけるんじゃないかな、なんて考えながら活動しているんですよ(笑)。
このNPO法人もうひとつの旅クラブの活動に興味を持たれた方は、もうひとつ旅クラブ事務局までお問い合わせください。
とてもユニークな方なので、ぜひ、お問い合わせください。 |
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NPO法人「もうひとつの旅クラブ」
代表
李 有師さん
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中之島バラ園
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中之島・堂島川と土佐堀川を結ぶ世界でいちばん小さな運河(!?)
いつかは、名前をつけて公表したいのだとか。 |
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水上バスに乗っている方にも、緑垣などの障害物なく美しい大阪の町を見てほしい。
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この場所に、桟橋・中之島ローズポートができる予定。
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