今から20年以上前のことになりますが、カルガモの親子が国民的スターになったことがあります。親カルガモを先頭に、数羽の子カルガモが行列になってついていく、その様子が可愛らしくて、話題になりました。今回ご紹介する通称『かるがも隊』(正式名称は『かるがも警戒隊』)は、鳥のカルガモではなく、お年寄りが中心となった団体です。港区で子どもたちと心温まるふれあいの活動をしています。『かるがも隊』の井上榮一(いのうえ えいいち)さんにお話を伺います。
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松本:『かるがも隊』は、何をしている団体なのですか?
井上:港区の築港小学校の校区で、各交差点の近くに立って、毎朝、通学する子どもたちを見守っています。「おはようございます」とあいさつをすると、子どもたちからも「おはようございます」と返ってきます。そうすると「いってらっしゃい」と声を掛ける、そういった運動をしています。
松本:いいですねー、朝から、気持ちいいですよね。『かるがも隊』という名前は、どうして付けられたのですか?
井上:平成16年2月に、大阪府警港警察署生活安全課の警察官の方が私のところに来られて、子どもたちを見守る『子供を守る声掛け運動』の主旨について、いろいろ説明してくださいました。私は個人的には賛成しましたが、築港には老人クラブが3団体あるので、もう一度来てその3団体の役員の前で説明をしてもらい、みんなが賛同したのです。我々の老人クラブは、全国老人クラブ連合会三大運動である“健康”“友愛”“奉仕”をモットーに活動しておりまして、これはその一つ“奉仕”ですね。『かるがも隊』という名前は大阪府警が付けてくれました。
松本:ということは、大人と子どもが一緒に歩いている姿が、まさしくカルガモの親子に見えた、ということなのですか?
井上:そうですね。大阪府警が付けたので分かりませんが、そういうことだったのでしょうね。
松本:始めて2年半くらい経ったのですね?何人ぐらいでされているのですか?
井上:有志の方が集まっています。老人クラブには約200人いて、その中で元気な人が30%ぐらいなので、40人くらい集まります。
松本:いつ活動されているのですか?
井上:朝7時50分に、交差点の近くに立って、そこから直線で右左100mを監視できるようにしております。
松本:数人で分かれて、各ポイントに立っているわけですね。
井上:そうですね。交替で立っています。月曜日から金曜日まで、雨の日も風の日も、変わりなく立っています。
松本:毎日されていたら、そのうちに、子どもたちとの間に何か通じ合う部分を感じるのではないですか?
井上:はい。子どもたちと年1回、我々が子どものころにお手玉や折り紙、竹馬などで遊んだものを“昔あそび”と言って、一緒に行っています。
松本:今の子どもたちにはテレビゲームがありますから、なかなか“昔あそび”をしたり、教えてもらったりする機会はないので、うれしいでしょうね。
井上:そうですね。子どもたちは、本当に一生懸命で真剣ですよ。「おじいさん、カブトの折り方教えてー」と言ってきたら、「こうやって折るんだよ」と教えてあげます。
藤原:自分でおもちゃを作ることって、最近あまりないですよね。
井上:そうですね。でも、新聞紙でカブトを折る時に、私らが大雑把に折りますと、子どもたちはすぐに、「おじいさん、違う!きっちり角を合わせて!」と言います。教えられますよ。「やあやあ、悪かったね」と言ったりして(笑)。
松本:そういう言葉のやりとりができるのも、普段のあいさつの、声掛け運動の基礎があるからですよね。
井上:子どもたちが、私らの顔を知ってくれていますから。同じように1年に1回、南公園で、子どもたちと年寄りが一緒になって清掃もします。その時も、袋の結び方を知らない子どもが多いので、ちゃんと教えます。
松本:いいですね。そうした共同作業に、なかなか今の親御さんは子どもを参加させませんが、子どもたちはみんなですることを楽しんでますから。
井上:あー!!おっしゃる通りで、本当に楽しんでますよ。やっぱり“純真さ”ですかなぁ。
松本:そういう時に、みんなですることの喜びを教えたら、子どもたちは本当に変わってきますよね。子どもたちの真剣さや元気な姿を見ると、井上さんも逆に、子どもたちから元気をもらえるのではないですか?
井上:本当にほのぼのして、若返るというか、童心に返ったような気持ちになりますね。生きがいを感じます。ありがたいなー。本当に子どもたちに感謝していますよ。
松本:声掛け運動は、朝の登校時という話ですが、下校時間には立たないのですか?
井上:下校時間は、また別に『防犯レディース』というグループがあって、お家の近くまで送っていきます。『防犯レディース』の方々も頑張っていますよ。
松本:地域のみなさんで、登下校時の子どもたちを守っているということですね。
井上:そうです!
松本:井上さんも楽しそうに活動されているように思いますが。
井上:いやー、楽しいですよ(笑)。
松本:最後に、築港について「こんな町やで」と自慢してください。
井上:私は、昭和27年からここに住んでいます。
松本:そうですかー。55年くらいは住まれていますね。
井上:そうですね。その頃から、築港は犯罪のない町ですね。本当に平和で、みなさん、築港は住みやすいと言われます。
松本:世間を見渡すと、ギスギスしていて、殺伐とした感じがある中で「平和だな」と胸を張って言うことができる町なのですね。『かるがも隊』としても、子どもたちを育てる、いい環境を作っているわけですよね。
井上:そういう環境を作ったのは、社会福祉協議会や連合町会など、いろいろな団体です。11町会ある町会は特に、各町会長が毎月1度、会合を開いていますので、その時にいろいろな意見が出て、それを集約します。それを土台にして活動しています。
松本:なるほど。組織としても裏付けがあるということですね。いい町じゃないですか。
井上:本当にありがたい地域です。
松本:『かるがも隊』の活動、これからも続けていってください。
井上:はい。ありがとうございます。
松本・藤原:今日はどうもありがとうございました。
井上:こちらこそ、どうもありがとうございました
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井上榮一さん
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メンバーのみなさん
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元気に登校する子どもたち
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下校時には『防犯レディース』が
見送ります
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交差点に立つ『防犯レディース』
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たくさんの子どもたちを見送ります
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子どもたちと一緒に公園を掃除
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みんなで協力します
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お手玉に挑戦!
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福笑いって、知ってる?
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ゲートボールで交流
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プレーする子どもたち
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