今回は、港区を拠点に活動している『日本民謡 隆勢(りゅうせい)会』会主の田所隆子(たどころ たかこ)さんにお話を伺います。田所さんは、2006年の『第41回産経民謡大賞』で、大賞に輝いた方です。民謡コンクールの中でも、最も長い歴史、権威を持つ、草分け的な賞です。そんなすごい方が、小さな子どもたちに歌や三味線を教えていらっしゃることには、深い理由と信念があるようです。
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松本:何歳ぐらいの子どもたちを教えていらっしゃるのですか?
田所:今は、幼稚園年少組の3歳児から、年長組の5歳児、小学校は1年生から5年生まで、高校生も教えております。
松本:それは、高校生になってもまだやりたい、教えてほしいという子どもたちなのですね?
田所:そうです。
松本:田所さんは、日々、民謡に携わっていますが、子どもたちに教えることになった理由は何ですか?
田所:子どもたちに三味線や太鼓などの和楽器を教えて、それを継承していってほしいと、前々から思っておりました。私の子どもが通っておりました港区にある幼稚園の理事長さんに、その気持ちをお話したところ、課外授業の機会を与えてくださいました。それがきっかけです。その時はうれしかったですね。
松本:最初に希望した子どもは何人でしたか?
田所:3人からのスタートでした。
松本:まず何から教えたのですか?
田所:一応、決め事をして、毎週水曜日に園の中で『ちびっこ民謡教室』として始めました。まずはお歌から指導しました。ただ、長時間の単調な稽古では物足りなくて、小さな子ども用の小さな太鼓を叩かせたり、鳴子を持って踊ったり、それから私の三味線を直に聞かせてみるといったことをしました。
松本:子どもたちは、鳴子も三味線も見る機会はないでしょうし、太鼓と言っても、ブラスバンドの太鼓ではなくて和太鼓ですから、初めはびっくりするでしょうね?音の響きも違いますしね。
田所:子どもたちはじーっと聞いていますね。また段々、私の弾いている三味線に興味を持ち始めて、「私もやってみたい」と言う子どもたちが出てくるようになりました。
松本:田所さんの三味線では、子どもたちには大きいですよね。子ども用の三味線というものはあるのですか?
田所:私は地唄用の三味線を使っているのですが、高い音が出る“短ざお”という三味線があります。地唄用の三味線は幼稚園の子にはちょっと大きいので、その“短ざお”を使ってもらっています。
松本:それなら、子どもでもなんとか使いこなせるのですか?
田所:ええ。一番左に押さえるつぼがありまして、そこに指が届いて押さえることができればOKです。
松本:子どもたちも、自分で三味線を触れるとは思っていなかったでしょうね。また、「こんな音もあるのか」といった新しい発見もあるでしょうね。
田所:そうですね。
松本:三味線を演奏するからには楽譜が必要だと思いますが、子どもたちには難しくないのですか?
田所:もちろん初めは、手ほどき程度の簡単な楽譜からスタートしています。難しい曲は、私が簡単な楽譜に書き換えています。
松本:そうすると、やっぱり小さい子どもでもできるわけですね。
田所:ええ。でも、やっぱり民謡の曲には、独特の間(ま)やリズムがあるので、小学校1、2年生では難しいです。子どもたちが今、知っているような童謡や沖縄民謡など、そういうものを手づくりの楽譜で教えております。
松本:なるほど。民謡の伸ばすところとか、こぶしをきかすようなところは、何回も何回も聞いて、体で覚えるものなのでしょうね。いきなりは分からないですね。
田所:そうなんです。童謡は本当に分かりやすくて、それを三味線の楽譜に直してやっております。
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会主
田所隆子さん
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三味線の練習風景 みんな真剣!
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日輪学園の運動会では、
盆踊りの演奏を担当
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和太鼓、木琴などの楽器とも共演
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毎年開催されている
『隆勢会みんよう発表会』
(港区民センター)
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日輪学園の学芸会にて(幕間に演奏)
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