今回は、『鶴見区だんじり保存会連絡協議会』の活動をご紹介いたします。だんじりと言いますと、岸和田があまりにも有名ですが、実は大阪市内にも、たくさんだんじりがあります。中でも、鶴見区では、だんじりのあるいくつかの地区が集まって、毎年、一緒にパレードをしているそうです。その集まりが、『鶴見区だんじり保存会連絡協議会』です。『鶴見区だんじり保存会連絡協議会』事務局長の樋口皓一(ひぐち こういち)さんにお話を伺います。
松本:『鶴見区だんじり保存会連絡協議会』は、鶴見区のどの地区の、どんな団体の集まりですか? 樋口さん(以下、樋口・敬称略):鶴見区の6町、諸口(もろくち)、横堤(よこづつみ)、中茶屋(なかんじゃや)、浜、今津、鶴見の6地区の、“地車(だんじり)”の保存会の集まりです。 松本:この6地区だけが、集まって協議会を作ろうということになった経緯をお教えください。 樋口:元々、諸口、横堤、中茶屋、浜、今津、鶴見の他に安田地区も入った7地区の若者の集まりで『鶴見区青年地車(じぐるま)連絡協議会』という団体がありました。ところが、鶴見区のだんじりをアピールするには、どうしても若い者だけではちょっと力不足。そこで、保存会の年配の方々や私ども中堅の人間に声が掛かり、平成9年に、“だんじり曳き”をずっと伝承していく目的で、この『鶴見区だんじり保存会連絡協議会』ができました。 松本:平成9年に結成された時は、何をされたのですか? 樋口:まず、とにかくアピールしようということで、6台のだんじりを1ヶ所に集め、イベントをしようということになりました。以前、この辺の祭りは、曜日に関係なく10月21日、22日という、日にちを中心とした祭りだったのですが、最近は参加者確保のために、第3土曜日、第3日曜日というような形で、開催している地区が多く、6台のだんじりを1ヶ所に集めるための日程調整は、比較的しやすかったんです。そこで、一度、やってみようかということになりました。 松本:今年はいつ行われるんですか? 樋口:今年は10月21日の第3土曜日に、通称“6町パレード”という“出会いとパレード”を実施します。 松本:どこからどこまで行くのですか? 樋口:毎年、鶴見区諸口1丁目付近にあるスーパーライフストアの東側の道路に午後7時ごろ集まって、出会いと大阪締めを行います。その後、今年は、諸口地区を6台が練り歩き、それが終わると、メイン道路をパレード。メイン道路というのは、鶴見区警察署前の交差点で鶴見通と、南北に縦断している道路です。そして、今津橋付近までずっと南下して行きます。周辺住民のみなさんには、大変ご迷惑をおかけしますが、どうぞ毎年のことですので、ご理解とご協力をお願いいたします。 松本:それは、何mぐらいあるんですか? 樋口:そうですね、200〜300 mいうところです。 松本:時間は? 樋口:メイン道路に入るのが8時15分頃から8時40分頃までのパレードという形になると思います。 松本:だんじりの行列は、どんな感じですか? 樋口:岸和田みたいに勇壮な“やり回し”というのではなく、どちらかと言えば岸和田の灯入り曳航(えいこう)、夜の曳航であるとか、それから天神さんに見られるような、大阪独特の“はんなり”しただんじり曳き、これが、鶴見のだんじり曳きですね。 松本:岸和田のような威勢のいい、ああいった感じではないのですね。 樋口:そうですね。岸和田のような“岸和田型”と言われるのが“下(しも)だんじり”。そして、この辺りはほとんどが“上(かみ)だんじり”と言われるものです。 松本:え?“上だんじり”、“下だんじり”ってどう違うんですか? 藤原:何か違うんですか? 樋口:“上だんじり”は、だんじりの上の部分、ちょうど人が乗る部分に彫り物が多くて、装飾が非常に目立つんです。岸和田はやっぱり勇壮な“やり回し”をするために、重心が下の方になければいけないんで、大体、下の方に彫り物が集中しています。こういった形のものが“岸和田型“、“下だんじり”と言われていますね。 松本:90度で、曲がったりすると重心が高かったら遠心力でひっくりがえりますもんね。 樋口:そうです。大体、大和川から北、堺周辺から南河内、中河内、北河内、ここらはずっと“上だんじり”の形が多くて、最近は堺や南河内のほうも“下だんじり”がちょっと増えてきたように思います。ただ、私の記憶している限りは、大阪市内で唯一“下だんじり”を持ってるのが『諸口だんじり保存会』なんですよ。
松本:6町集まった中の、諸口だけがそれを持っているわけですね。 樋口:そうですね。 松本:その“下だんじり”だったら岸和田風なんだけども、でも、だんじりの行列としては、はんなりとした感じなんですね? 樋口:そうですね。形態としては昔の形態をずっと引き継いで、なりこというお囃子も岸和田のようなものではなくて、どちらかと言えば大阪河内のものを中心にやっていますね。 松本:平成9年からということは、今年で区切りの10年。 樋口:もう10年目ですね。 松本:評判はどうなんですか? 樋口:毎年評判が高くなってきています。地域に“だんじりファン”がいて、最近はインターネットが普及してますので、みんな情報を集めて見に来られます。もちろん、老若男女を問わず、地域の者がみんな、だんじり曳きに参加してくれています。ギャラリーも、およそ2000〜3000人になってきている状況ですね。 松本:夜に出て行って見たら、奇麗でしょうしね。最後になりますが鶴見区の自慢をお願いします。 樋口:人口が10万人を超えて、増加率は多分大阪でもトップクラスだと思います。地下鉄鶴見緑地線ができまして非常に便利になりました。また、南にはJR学研都市線、東西線がありまして、都心へのアクセスも非常にええんちゃうかな、と。また、12月になると、ダイヤモンドシティが、椿本チェインの跡にできますので、おそらく益々活気のある区になると思っております。 藤原:緑も多いですしね。 樋口:はい。 松本:活気のある町、そしてその中に昔からの伝統を守るということで頑張っていただきたいと思います。これをお聞きのみなさんも岸和田のだんじりの勇壮さとはちょっと違う、もしかしたら幻想的かもしれない夜のだんじりをお楽しみください。また、頑張っていただきたいと思います。 樋口:ありがとうございます。 松本・藤原:今日は、どうもありがとうございました。 樋口:こちらこそ、どうも。失礼します。 藤原:なお、当日は大勢の方が楽しみにして来られます。迷惑駐車は絶対におやめください。地下鉄の横堤駅もすぐ近くですし、ぜひ、公共交通機関をご利用いただきたいと思います。『鶴見区だんじり祭り・出会いパレード』について、詳しくは、『鶴見区だんじり保存会連絡協議会』事務局へお問い合わせください。