今回は、都島区で活動されている『環かんネットワーク』をご紹介いたします。『環かんネットワーク』代表の伊地知正行(いぢち まさゆき)さんは、大阪市が、市民や企業などと一緒になって作っているNPO法人『ごみゼロネット大阪』の理事もされています。伊地知正行さんに活動について、詳しいお話を伺います。
松本:『環かんネットワーク』の活動内容を教えてください。 伊地知さん(以下、伊地知・敬称略):今から12〜13年ぐらい前からアルミ缶のリサイクル運動をやっていて、最初は、名称のひらがなの“かん”の部分にはアルミ缶の“缶”をあてていました。 松本:そうなんですか。 伊地知:10年続けたところでちょっとストップし、今はフリーマーケットの開催や牛乳パックの工作教室をやっています。 松本:具体的には、どういうことをされているのですか? 伊地知:牛乳パックの工作教室では、子どもたちにおもちゃ作りで、まず楽しんでもらって、牛乳パックの資源としての大切さに気付いてもらう。また、11月23日に、内代(うちんだい)公園で、フリーマーケットを開催します。“ものを大切にする”ことを訴えるために、フリーマーケットの開催を呼びかけ、50ブースが出店します。その他にも、三田の農家の方に無農薬野菜を提供していただき販売し、環境を考えてもらおうというイベントもします。 松本:年に一度のフリーマーケットと牛乳パック教室などもされているということですね。 伊地知:はい。牛乳パック教室は、環境事業局などからの要請で、年間10回ぐらい行っています。 松本:先程、アルミ缶の話が出ましたが、この活動はいつ頃から始まったんですか? 伊地知:アルミ缶の回収はもう15年ぐらい前になりますかね。 松本:それはどういうところから始まったのですか? 伊地知:カラオケに行った時にアルミ缶が出てきたので、「これはどうされてるんですか?」って聞くと、「捨ててる」と言うので、「じゃあ、くださいませんか?」ということから、アルミ缶を再生するのに役立てようということに…。 松本:アルミ缶を集めて、どうされたのですか? 伊地知:アルミ缶を集めて、最初は仲間みんなで足でつぶしていたのですが、夜になると足がむくんで、ものすごく腫れるんです。そこで、環境事業局に相談すると、アルミ缶圧縮機を貸し出ししてくれました。そのつぶした缶をためて、廃品回収の方に引き取ってもらって、お金にして、その利益で公共施設へ車椅子贈呈を開始しました。 松本:アルミ缶回収をして、それを処分したお金で車椅子を寄贈するという活動をされていたわけですね。およそ10年で車椅子をどれぐらい寄贈することができたんですか? 伊地知:車椅子は福祉施設などいろいろなところへ、25台ぐらい寄贈しました。アルミ缶回収は地元の方に協力をいただいていたので、地元に還元できないかと思いまして、連合町会に「何か必要なものがあったら『環かんネットワーク』から贈呈したい」と申し入れたら、運動会などで使うテントや、お祝い事に使う紅白幕などが欲しいということで、途中から地域の連合町会への贈呈運動に切り替えました。 松本:なるほどね。実質10年ぐらいアルミ缶のリサイクル活動をされて、それを経て今、フリーマーケットや工作教室などをされているということですが、そこに移行されていった一番の理由は何ですか? 伊地知:メンバーも地域の人もそうですが、地域の人も、活動をやるほうも、してもらうほうも、すべてにおいて楽しくなければ持続できないということで、いかにして楽しくできるものを探すかっていうのを見つけるのがちょっと大変でしたね。 松本:最初のとっかかりは何だったんですか? 伊地知:牛乳パックの工作教室ですね。それから、大阪市環境事業局から『ごみゼロリーダー』の委嘱を受け、その活動の中にフリーマーケットの開催がありました。「このフリーマーケットの開催だったらできそうだな」ということで、環境事業局や公園愛護会など、いろいろな方たちにお願いして、フリーマーケットの呼びかけをしました。すると、段々、地域のふれあいの場、イベントの形になって、地域の人が和やかに笑顔で集ってくれるようになりました。10年以上アルミ缶のリサイクル活動をやっていましたので、『環かんネットワーク』ということで信用してもらって、地域の人が近づいて来てくれるっていうのがありますね。
松本:一つきっかけ、とっかかりがあると、どんどん活動の幅って広がっていくんですね。 伊地知:そうですね。 松本:その最初のとっかかりをどこに見つけ出すかっていうのが、結構難しい。 伊地知:特にアルミ缶をやめてから2年、3年それを探すのにいろいろと考えましたね。 松本:考え方としては、あまり体力を使わなくて、いろいろな人にやってもらえる、楽しくできることから、ということですね? 伊地知:はい。 松本:家族で楽しむこともできますしね。 伊地知:そうです。フリーマーケットで一番うれしかったのが、あるお母さんからの申し出です。「子どもたちが、いらなくなったおもちゃや絵本には振り向かなくなった。でも、それを子どもたちにフリーマーケットで販売させたい。それは自分にとっていらなくなった物だけど、大切にしてフリーマーケットで必要な人に分けてあげるんだよ、という教育をしたいからフリーマーケットに出させてほしい」と。その声を聞いた時に「やったー!」と思いましたね。最高の願いやなあと。 松本:忘れかけていたね、それも環境にも影響しますしね。 伊地知:そうです。そして、2年目にそのお母さんから「子どもたちがいらない物を大切に大切にして、また次もフリーマーケットに、これを持って行くんだと言って、使わないけれども大切に保管するようになった」という返事を聞きまして、とてもうれしかったですね。 松本:地球にやさしく、家族にも、ものにもやさしいという活動につながりますね。最後になりましたが、地元の自慢をお願いしたいと思います。 伊地知:内代はすごくお祭りや行事が多いところで、だんじり祭りや盆踊りがあり、内代公園というすごく大きな公園で、子どもたちがいつもにぎやかに遊んでいます。内代連合、あるいは内代町会という住みやすい、交通の便利な、そして静かな、いいところで、地域の人々にもやさしく接してもらっていますので、ありがたい地域だと思っています。 松本:これからもみんなが楽しくやっていけるような、そんなイベントを、どんどん広げていっていただきたいと思います。 伊地知:はい、頑張ります。 松本・藤原:今日は、どうもありがとうございました。 伊地知:ありがとうございました。 藤原:『環かんネットワーク』の活動について、詳しくは、都島区民センターにお問い合わせください。