今回は、平野区で活動中の『ひらの混声合唱団』をご紹介いたします。これまでにも、混声を含めて、地域の合唱団のみなさんをご紹介してきましたが、『ひらの混声合唱団』は、活動が年に一度だけというユニークな合唱団です。 その日のためにだけ、しかも、ある曲を歌うためだけに、一年間ひたすら練習をしているそうです。副団長の井上朗(いのうえ あきら)さんに詳しいお話を伺います。
松本:人前で歌うのは年に一度だけだと伺っていますが、どこでどんな歌を歌われるのですか? 井上さん(以下、井上・敬称略):平野区の平野区民センターで12月の年末にベートーベンの第九、合唱付きというのを歌うために、みなさん熱心に集まって練習しています。 松本:いわゆるあの、『よろこびの歌』ですね。 井上:ええ、『歓喜の歌』です。 松本:それを歌うために、ずーっとずっと練習していらっしゃるのですか。 井上:はい、そうなんです。 松本:毎年されているのですか? 井上:はい。もう5年続きまして、今年が6回目になるんです。 松本:メンバーの方は、どんな方が多いのですか? 井上:地域を中心に20歳から70歳代までの方で、結構初心者の方もお見えになっていますね。 松本:何人ぐらいいらっしゃるんですか? 井上:現在は約70名で活動しています。 松本:男性、女性の割合は、どれぐらいですか? 井上:男性が20名足らずで、女性の方が多いですね。 松本:どのくらいの割合が理想ですか? 井上:合唱団としての声のバランスがありますので、全体としては150 名ぐらいの中で男性は50〜60名ぐらいになれば、非常に立派な合唱団になるんじゃないかと思っています。 松本:ということは、少なくとも今の倍ぐらいの男性がいてほしいと。 井上:はい。これからどんどん活動をしまして、団員のみなさんに来ていただきたいと思います。 松本:『ひらの混声合唱団』は、いつ頃、どんなことがきっかけで、結成されたのですか? 井上:平成12年ですから、6年前ですね。大阪市ゆとりとみどり振興局からの声掛けで、平野区でクリスマスコンサートをしようということになり、『テレマン室内管弦楽団』にお越しいただきました。その時に指揮者の延原武春(のぶはら たけはる)先生から「観客の方と一緒に第九を歌いませんか?」と呼び掛けていただいたのがきっかけになりました。 松本:第九を歌うというのがスタートだったわけなんですね。 井上:そうですね。みなさん第九に対する思いに特別なものがおありのようですね。 松本:初めての方もいらっしゃるという話が出ましたが、そういう方は、我々と同じように楽譜が読めないのですか? 藤原:私、読めませんけど。 井上:ええ、そうですね。中には高齢者の方もいらっしゃいまして、もちろんドイツ語も発音ができない、楽譜も読めないといったような方々の集まりだったんですけれども。 松本:ちょっと待ってください。『よろこびの歌』って、「晴れたる青空〜♪」っていう歌ですよね。日本語ではないのですね。 井上:ええ、そうなんですよ。 松本:ドイツ語で歌ってるわけですね。 藤原:すごい。 松本:あの歌詞を覚えるだけで、大変じゃないですか。 井上:そうですね。 松本:この曲だけにかかりっきりになるのも分かりますね。本格的には、いつ歌えるようになったんですか? 井上:平成13年に第1回の発表会をしたんですけれども、その時は第九のごく一部しか歌えなかったんですね。それで、毎年練習を増やして、歌える部分を増やし、5年がかりで、去年やっと全曲を通して歌えるようになったんです。 松本:過去5回やっているというお話でしたが、その時は一部で、どんどん増やしていって、実際にフルで歌ったのは去年が初めてなんですか? 井上:そういうことなんですよ。 松本:全曲通して歌えるようになったのは去年なんですね。 井上:はい。そうなんです。
松本:最初楽譜が読めない、ドイツ語もまったく分からないっていう人が、『よろこびの歌』を全部歌えるようになった時っていうのは、大変な喜びだったでしょうね。 井上:ええ、そうですね。5年がかりで、全曲通して歌えるようになったわけですからね。しかも、『テレマン室内管弦楽団』のお客さんが満員に入った会場で、通して歌った時は、もうすごく感動いたしました。 松本:練習はどのぐらいのペースでやっていらっしゃるのですか? 井上:今年の4月から毎週水曜日の夜7時から9時までの2時間練習しています。 松本:ということは、月に4回ぐらいですね。メンバーは今でも募集中なんですか? 井上:募集していまして、地下鉄谷町線の天王寺駅から南にある各駅にチラシなども貼らせていただいています。平野区以外から、大阪市以外からでも興味のある方はお集まりいただきたいと思います。 松本:目標は、150人以上ということでしょうからね。最後に平野区の自慢をお願いいたします。 井上:平野には加美や長原などの遺跡群があり、また、戦火を免れた数少ない大阪の地で、江戸時代の古い町家、庄屋、蔵屋敷なども残っています。また、河内木綿の集散地としての平野郷、環濠という商業都市の名残が随所にあり、住民の方の自主的な『町ぐるみ博物館』など、町おこしの活動も活発に繰り広げています。ぜひ、お気軽に遊びに来ていただければ、うれしいなと思っています。 松本:5年間かけて、第九を完成させた。完成という言葉を使いましたが、歌を歌う上での完成ってないですよね。 井上:ええ、そうですね。 松本:全部歌えたからって、完成じゃないですもんね。 井上:はい。まだまだ先をめざして、実力を付けて、来ていただけるみなさんと感動を共に分かち合いたいというように考えています。 松本:レパートリーを増やすのも目標だけれども、第九自体をもっと成熟した歌にするというのもね。 藤原:メンバーを増やすのもですね。 松本:そこが一番かもしれませんね。今後も活動を頑張っていただきたいと思います。 井上:ありがとうございました 松本・藤原:今日は、どうもありがとうございました。 藤原:『ひらの混声合唱団』の活動に興味のある方や、入団したいという方は、平野区民センターにお問い合わせください。