松本:『たつみスホーツクラブ』は、どのように誕生したのでしょう?
山野さん(以下、山野・敬称略):平成14年4月から学校が週休2日になるということで、地域で暇をもてあました子どもたちの受け皿として、スポーツクラブを立ち上げようということになりました。
松本:ゆとり教育の影響もあったわけですね。
山野:そうですね。賛同して集まったメンバーがPTA前会長、元会長、次期会長、あるいは地域でいろんな役をやっている人たちだったので、「ぜひそれは子どもたちのために使わなければ」と。もちろん高齢者の方々にも、スポーツを楽しんでいただこう。よくスポーツクラブっていうと、お金を払ってお客さんになるイメージがありますが、私たちのスポーツクラブは、全部手作りで、自分たちですべてやろう。競技をするためのスポーツクラブではなく、スポーツをしているのを横から見ている人、そういった方々の肩をちょっと押して、スポーツを一緒にやりませんかという、そういうクラブを目ざしています。
松本:総合型地域スポーツクラブとして認定されたのは、いつですか?
山野:平成14年4月から始め、10月に大阪市の認定基準をクリアしているということで、認定されました。
松本:そこに至るまでには、地域がいろいろ抱えているスポーツ面での問題点とか課題など、いろいろあったのではありませんか?
山野:今までは、学校でPTAがスポーツをしているというのを横目で見る方がけっこう多かった。どうすれば施設を使えるのかということが周知されていなかった状態ですから。私どもの町会の回覧板であるとか、あるいは地域の掲示板、学校のポスター、そういったありとあらゆる機会を使い、できるだけ地域のみなさんの参加を呼びかけました。高齢者のためのスポーツ施設っていうのはあまりないですから、急にバレーボールやバスケットをどうぞって言われても、高齢者の方は参加できません。ですから、太極拳などの高齢者向けのスポーツも用意し、地域の方に「みなさんご参加ください」と広めていきました。
松本:総合型地域スポーツとして、最初は何種目から始めたのですか?
山野:大人の部が9種目、子どもの部が3種目ですね。
松本:大人の部では、具体的にどんな事をされているのですか?
山野:バレーボール、バスケットボール、バドミントン、さわやかリズム体操、卓球、テニス、ソフトボール、ソフトバレーボール、それに後から健康太極拳もすぐ入りました。また今では、さわやかリズム体操がなくなった代わりに、健康体操という種目も増えました。
松本:小学生の方はどんな種目?
山野:最初は卓球、バスケットボール、バレーボールの3種類でしたけど、その後すぐに子どものためのテニス教室も始まりました。
松本:参加されている方は、何名ぐらいになりますか?
山野:今、大体200名から300名超えるぐらいですね。4月から募集をかけ、3月いっぱいで一応、年度替わりという形になりますので、スタートは200名超えたぐらいからで、ぼちぼち人数が増えて300名超えるぐらいという形になっています。
松本:参加の条件なんて、あるのでしょうか?
山野:巽小学校に徒歩あるいは自転車で来られる方、というのが条件です。車でわざわざ来ていただくには、ちょっと場所もございませんし、手作りのスポーツクラブですから、シャワーの施設とか、そういうのもありません。だから、汗をかいたら、そのままおうちへ帰って、シャワーを浴びてくださいという、趣旨に合致する方ですね。
松本:山野さんご自身もスポーツをされているのですか?
山野:普段はしていなかったんですが、こういうスポーツクラブが始まり、同居しているおばあちゃんは太極拳に行っていますし、私も嫁さんもバドミントンで汗をかき、下の子は卓球をしています。あまりスポーツに縁がなかった一家なんですが、今では家族揃って、楽しんでいます。
松本:いつの間にかスポーツ一家になってしまったのですね。
山野:そうですね。ただまあ、なかなか、行く時間が取れないのが残念なんですが。
松本:活動は何曜日にされているのですか?
山野:学校の施設を借りていますので、基本的には、平日は夜です。月曜日が健康太極拳、火曜日は中学生、高校生の卓球とママさんバレー。水曜日はソフトバレーボール。木曜日がバスケットボールと健康体操、金曜日はバドミントン。土曜日は朝から学校のグラウンドも借りていますので、グラウンドで朝は大人のテニス、夕方から体育館でバレーボール。そして、晩には卓球。また土曜日は学校が休みで、子どもたちの受け皿ということで活動していますので、子どもたちの種目として朝から卓球、バスケットボール、バレーボール、夕方からグラウンドでテニス。こういうふうにほとんど、ずっと使っています。
松本:日替わりで、緻密にプログラムを組まれているのですね。
山野:それと日曜日はソフトボールですね。
松本:ということは、使える時間帯は、有効にほとんど使われている。
山野:そうです。加えて、巽小学校の場合は、スポーツクラブ以外にもPTAの方で、子どもたちに運動場を開放しています。校庭開放という形で、土曜日、日曜日に遊ぶところがない地域の子どもたちに、運動場で遊びなさいという形での開放とかもやっています。
松本:そういう活動以外にも、何かされているのでしょうか?
山野:以前、ミズノさんから依頼があり、いわゆる協力を得て、ウォーキング教室をやったり。現在は、ライフスポーツ財団から援助を受け、子どもたちのスキーツアーを催したり、秋には未就学の子どもたちのキッズスポーツまで活動を広げようとしています。これは、ライフスポーツから補助金を頂いています。向こうも子どもたちのスポーツ活動を積極的に応援しようということで、ちょうど『たつみスポーツクラブ』の目的と合ったということで、援助を頂いています。
松本:段々、小学校とか中学校という枠から、どんどん広げていっていらっしゃるのですね。
山野:そうです。
松本:生野区の巽地区の良さを最後にPRしてください。
山野:子どもたちを大切にしようという雰囲気があります。だから、地域で子どもたちを見守っていこうという雰囲気もありますし、高齢者の方の中には地域の福祉の話が出た時に、「わしら至れり尽くせりやってもらってるから、あんたら、もうちょっと子どもらのために使たってや」というふうにまで言ってくださる方もいるとかね。そういうふうに、非常に子どもたちを見守る雰囲気のある世代間の交流の進んだ地域ですね。
松本:そういう非常に雰囲気のいい土地柄の中で、またさらにスポーツの活動をしていらっしゃる。
山野:そうですね。
松本:これからもどんどん、活動の幅を広げていってもらいたいと思います。
松本・藤原:今日は、ありがとうございました。
山野:ありがとうございました。
|