今回は、都島区を拠点に活動していらっしゃいます、『手づくりネクタイ同好会』のみなさんをご紹介します。代表の山下道代(やました みちよ)さんにお話を伺います。
松本:ネクタイって、手づくりでできるのですか?
山下さん(以下、山下・敬称略):はい、できます。芯地を裁断して、表生地をきれいにバイアスに裁断し、手縫いで全部縫い上げますが、大体3時間ぐらいで、1本でき上がります。
松本・藤原:えっ!3時間でできるのですか?
山下:はい。
松本:デザインも自分たちで?
山下:デザインからになりますと、白生地を染めてという段階が加わりますので、もう少し時間がかかります。デザインを起して、白生地を染めますので。
松本:手づくりネクタイっていうのは、今流行っているのですか?
山下:根強いっていうのでしょうか。結んでいただいた方の「これはものすごい結び良いよ」っていう声を聞いて、注文なさったり、買い求めに来られたりという方が増えています。
松本:メンバーは、どんな方々ですか?
山下:メンバーは、みんな古いです。私で大体35年ぐらいしています。私のほかにも、古い方だと22〜23年ぐらい続けている方がいらっしゃいます。みなさん資格を取って、ネクタイ作りに挑戦していますので、年齢はちょっと高いですね(笑) 。
松本:メンバーは何人ぐらいいらっしゃるのですか?
山下:休んだりしている者も加え、15〜16人というとこですね。
松本:ネクタイ作りを専門にしているのではない、主婦の方とかですか?
山下:そうです、みんな趣味でしています。
松本:初心者はどれぐらい習ったら、ネクタイを作れるようになるのでしょうか?
山下:布地が柔らかい布から、固い布まで、何種類かあります。それらをすべて裁断できる技術を身に付けないといけないので、2〜3ヶ月はかかりますね。
松本:いろんな生地を使いますからね。
山下:バイアスに裁断しないといけないので。裁断がやっぱり難しくて。
松本:裁断ができるようになると、縫うのはどうでしょう?
山下:縫うのも、柔らかい布を縫うのと、固い布を縫うのでは違います。ミシンではできない手縫いの良さっていうのが、そこに出てきます。強いところは引っぱって、弱いところは緩めてっていうのは、ミシンはしてくれません。手縫いでは、一番結び良い状態を作ることができます。
松本:手づくりネクタイの良さって何ですか?
山下:帰ってきて、ほどいたネクタイは、洋服ダンスなどにかけますよね。そうすると、朝には、スッと元の状態に戻っています。普通だったら、クリンとひっくり返っていて、アイロンで戻さないと戻らないのですが、比較的スッと戻ってくれるんです。
松本:シワが寄らないということですね。
山下:そうです。それと、結んだところが緩んできません。
松本:緩んで、結び目が崩れてきたりするのが、少ないと。
山下:それと世界に1本しかない染めをしていますので、2本と同じものがありません。
松本:教室は週に何回ぐらいあるのですか?
山下:1回です。高等師範という資格をいただいて、それで人様にこうするのよ、こうするのよって教えているわけです。それで一応資格は持っているのですが、それを今はほとんどとっぱらい、交通費と場所代を分担でいただくぐらいの費用でしています。
松本:具体的に料金はいくらですか?
山下:1000円です。
松本・藤原:1000円!
松本:では、本当に自分たちの好きなことを一緒にやりましょうっていう感じですね。
山下:そうです。
松本:お作りになったネクタイが、長年使っているうちに、ほつれたりしてくると、直したりされるのですか?
山下:リフォームいたしますよ。気に入ってしょっちゅう結んでいるネクタイは、すり減るんですよ。男の方は分かると思いますが、先の角張ったところが、スーっとすり減ってきます。
松本:そうそう。可愛がっていただけに、逆に残念な思いがするんですけどね。
山下:すごく気に入っているネクタイや、多分誰かのプレゼントかなと思いながら、リフォームして差し上げます。芯地も全部変えますので、新品になった感じで、喜んでいただけます。
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高等師範
山下 道代さん |
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昔の大阪を手書きで描いた
絞り染めのネクタイ
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様々なデザインの手づくりネクタイ
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プリント染めなどで、 オリジナルの模様を作ります
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バイアスに断裁された布
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手縫いで仕上げます
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一日講習の様子
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古くなったネクタイを再利用して
かばんなども作っています
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