今回は、福島区で活動されている朗読グループ『えん』のみなさんをご紹介します。 朗読グループというと、子どもたちに絵本を読んだり、紙芝居をしたり、といった活動を想像しますが、『えん』では視覚障害者のために印刷物や本を朗読しています。朗読というと、単純に活字を読むことをイメージしがちですが、実はそれだけではないそうです。代表の森崎知子(もりさき ともこ)さんにお話を伺います。
松本:グループ名をひらがなで『えん』と書くのには、何か意味があるのですか? 森崎さん(以下、森崎・敬称略):読み手も縁があって集まってきて、テープを聞いてくださる方も縁があってテープを聞いてくださるという、その“縁”と、円満の“円”、その両方の意味を込めるために、ひらながの『えん』にしました。 松本:『えん』のみなさんが行っている朗読の活動を具体的にご紹介いただけますか? 森崎:毎月15日に福島区が広報を出しますので、それを毎月テープ化し、リスナーさんに送って聞いてもらっています。 松本:リスナーの方は、視覚障害者の方ですね。主に福島区の方ですか? 森崎:福島区の方がほとんどです。 松本:他にはどんなものを朗読されているのですか? 森崎:リスナーさんから、「こういう本を読んでほしい」と言われたものなどを読んでテープ化します。 松本:私たちが通常、文字の原稿や本を読んだりするのと、『えん』のみなさんが行っている広報誌の朗読とでは、具体的にどんな違いがあるのですか? 森崎:そんなに違いはありませんが、本だったらずっと文章ですが、広報誌ですから写真や絵、地図も載っています。絵とか写真は読みませんが、地図は、「ここに行かれるかもしれない」と我々が思えば、ちょっと難しいですが、読んでいます。 松本:どのように説明されるのですか? 森崎:地図の場合は、「最寄り駅から北へ向いて行くと交差点があるから、その交差点を渡って ・ ・ ・」とか。「その交差点を東に曲がる ・ ・ ・」とか、要するに東西南北の方向で読みます。 松本:地図を読むというよりは、具体的な道案内になるわけですね。 森崎:そうです。 松本:毎月15日に発行される広報誌を全部読まれるということですね。 森崎:そうです。全部読みます。 松本:広報誌の文章量ってどれくらいですか? 森崎:新聞半分の大きさのページで、2ページか1ページ半ぐらいですね。 松本:朗読すると何分ぐらいになるのでしょう? 森崎:35〜40分ですね。もっとたくさんある時だったら、60分ぐらいかかる時もありますけど。 松本:それをカセットテープに? 森崎:そうです。カセットテープに吹き込んで、ダビングして送ります。 松本:何分テープを使われているのですか? 森崎:普段は90分テープを使っています。