手作業で始めた散歩道の再生
万葉飛鳥川長寿散歩道 |
近鉄八木西口駅から国道24号を南へ。飛鳥川の堤防に上がり、さらに100mほど上流方向に来ています。
畑 ここから上流方向に660m、南八木町と小房町の右岸堤防上の道を、「万葉飛鳥川長寿散歩道」と名付けています。これから、道の両側にナナヨウザクラが連なって咲きますが、満開の桜の枝が飛鳥川に斜めに垂れ下がっている光景は見事です。
この道は以前荒れていて、それを見た畑さんが立ち上がったとのこと。
畑 背丈以上の雑草が生い茂り、まともに歩ける状態ではなく、犬の糞に虫が付き、入っていけませんでした。定年間近の8年前、奈良や社会にお返ししたいと思って町おこしの勉強を始めると、ここがひどい状態になっていることに気づき、活動を決意しました。そして、南八木町と小房町の掲示板にポスターを張って呼びかけるなどした結果、64名がカマなどの道具を持って集まってくれ、手作業で草刈りを始めました。2年がかりで奇麗にした後、オシロイバナやコスモス、ヒマワリなどの種を集め、植栽に入りました。
花を植えたのには理由があります。
畑 花が育つと、雑草に栄養が行かなくなるからです。今は、スイセン2500球とチューリップ200球の他、150種類以上の花が咲き乱れます。近所の人がペットボトルで水やりをしてくれるなど、大変に熱心な人が多くて助かっています。入会希望者も増え、一時は会員が80名を超えましたが、ボランティア保険に入る予算が限られ、今は30人に絞らせてもらっています。非常に申し訳ないことです。
「奈良県ボランティア・リバー・サポート」の看板があります。清掃活動もしているようです。
畑 奈良県と協定を結んで行っています。月に1度の清掃活動が条件ですが、距離が長くて花壇も多いため、月1回の作業ではとても追いつかず、それ以上の活動をしていると思っております。
活動開始時に比べ、水も奇麗になったとのこと。
畑 先月の水質調査時にペットボトルに水を入れ、何回も測定しましたが、(見た目は)自動販売機で買ったような水が収まっておりました。蛍も復活し、一昨年は2〜3匹、昨年にはたくさん飛んでくれました。
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命の水を大切に
8分ほど上流方面に散策。スイセンが甘く香ります。
畑 この堤防から見る桜は有名で、橿原市立八木中学校の校歌にも歌われております。群れになったスイセンも、もう春だぞと言わんばかりに奇麗に咲き、実にいい香りがします。
畑さんが万葉集のこんな歌を紹介してくれました。
命を幸(さき)く 良けむと 石(いわ)走る
垂水の水を 結びて飲みつ
畑 私の人生が幸せになるよう、滝の水を両手でしっかりくんで飲みます、という歌です。川の水がいかに大切か。地球上には11億人もの水に困っている人がいる一方で、小さな日本の国には地球を11周もする長さの川が流れています。国民がもっと川に心を寄せ、水質はもちろん、景観の向上にも力注いで、地球上の生きとし生けるものに感謝を込めて、次世代に引き継ぐことを願っております。
散歩道の会には、三つの活動目的があるそうです。
畑 一つめは、水を奇麗にして万葉の清流を取り戻すこと。二つめは、この道を市民の健康増進の道にすること。ここでベンチに座り、花を見て、心も健康になってもらいたい。そして、三つめは、観光の道。この道は、小房観音、藤原京、明日香、山辺の道へとつながっております。昔を学び、今を知って、未来に夢を持つための道にしたい。
畑さんは、この飛鳥川で遊んだ経験があるそうです。
畑 子供のころはよく遊びました。みんな黒いふんどしをし、顔も焼けていたので、「黒猫」と呼ばれていました。子供たちは大事です。蛍や鳥がより下流の方へ飛んでいくよう、これからもきちっと活動をして、橿原市民としての義務を果たしたいと思っています。
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畑さんと |
飛鳥川沿いを歩き、スイセンやツバキなど色とりどりの花を楽しみました。万葉飛鳥川長寿散歩道の桜や花々を見て、皆さんに元気になってほしいと、畑さん。桜はまだでしたが、皆さんが活動されている姿を直接見て、私は本当に感動しました。そして、その気持ちが植物に伝わっているのだとも感じました。 |