大和川

一層の水質改善に向け
より効果的な対策を推進
〜大阪府に誕生した大和川水質改善検討チーム〜
2009年1月24日放送

今回は大阪府庁を訪ね、新しく出来た「大和川水質改善検討チーム」について取材しました。前々回の放送では、奈良県が設置した新組織「大和川清流復活ネットワーク」の話題をご紹介しましたが、どちらも初会合の開催が昨年11月。まるで大和川が、「今がチャンス、一気にやろう」と呼んでくれたかのようです。詳しくお話を伺ったのは、大阪府環境農林水産部環境保全課の木田正憲さんです。

ワースト1返上の“特命チーム”

 まずは、大和川の汚れについて伺いました。
木田 大和川の水質は、ピーク時に比べるとかなり良くなっているものの、水質の指標の一つであるBOD(生物化学的酸素要求量)が、平成19年に全国の主な1級河川で3年連続ワースト1となっています。汚れの内訳は、生活排水によるものが83%。工場や事業所など産業系の排水によるものが13%、その他が4%となっています。約8割を占める生活排水の対策を推進することが重要です。

 大阪府では、これまでにどんな取り組みをしてきたのでしょう。
木田 下水道整備や合併処理浄化槽などの排水処理施設の整備、産業系排水の規制、定期的な川の水質調査、家庭でできる排水対策の啓発などを、関係部署が実施しています。そのうち生活排水対策については、「大阪府生活排水対策推進会議」を設け、府庁内の関係部署の連絡調整を行いつつ、色々な手法を組み合わせて取り組んでいます。また、国や奈良県、流域市町村と「大和川水環境協議会」を作り、大和川全体の取り組みも進めています。

 今回、新チームが誕生した経緯を伺いました。
木田 昨年9月、府議会で大和川の水質改善に関する質問を頂きました。水質ワースト1の汚名を返上するプロジェクトチームのようなものを府庁内に作るべき、といった趣旨の質問です。また、産業系の排水対策や、生活排水対策が遅れている地域にいかに早く対策を実施するかについても、問題提起されました。これを受け、大阪府生活排水対策推進会議の中に大和川水質改善検討チームが作られました。

 簡単に言うと、何をするチームなのでしょう。
木田 大和川の水質改善に向け、府庁関係部署の連携を密にし、より効果的な対策の推進を検討するチームです。大和川やその支流について情報収集や課題整理をし、流域の市町村に対策を進めていただくための働きかけなどについて検討していきます。

合併浄化槽の設置で柔軟に対応

 産業系の排水対策というのは、どのように行われているのでしょう。
木田 「水質汚濁防止法」や「大阪府生活環境の保全等に関する条例」で、汚水や排水を出す施設を定め、これを所有する工場や事業所に排水基準の遵守を義務づけています。ただ、カドミウムやシアン等の有害物質については、すべての工場や事業所が規制対象になりますが、そうでない場合は、一定規模以上の工場や事業所だけが対象です。また、そもそも法律や条例の対象とならない業種もあります。

 生活排水対策が遅れている地域において、その対策を早めるというのは、どういうことでしょう。
木田 生活排水対策は下水道整備を主に進め、多くは府が下水管の幹の部分や処理場を整備し、市町村が枝の部分を整備しています。そのうち諸事情で整備に何年もかかる地域では、合併処理浄化槽を使ってもらうことも考えています。設置費用は自己負担ですが、市町村によっては一部を補助する制度や、市町村が各世帯に設置して使用料を頂く事業を行っています。

 それらを進めていく体制について伺いました。
木田 新チームには6部署が参加しています。合併処理浄化槽を担当する健康福祉部衛生管理課、都市整備部の河川室河川環境課と下水道室事業課。そして、環境農林水産部からは、水質管理の計画立案や府民への啓発活動等を行う環境管理室環境保全課と、産業系排水を担当する事業所指導課、水質調査等を行う環境農林水産総合研究所の六つです。

 昨年11月27日の初会合では、各機関との連携についても話し合われたそうです。
木田 市民団体の集まりである大和川市民ネットワークや、奈良県が始めた大和川清流復活ネットワークとの連携。また、大和川水環境協議会や国土交通省大和川河川事務所との連携。さらには、大阪府で毎年3月に実施している「大和川・石川クリーン作戦」についても、奈良県と一緒に行いたいと考えております。

 

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木田さんと

今回は、大阪府が設置した大和川水質改善検討チームについて伺いましたか、大和川を奇麗にするため、多くの皆さんが立ち上がっていることを知りました。重要なのは、 そうした人々の活動だけにとどまらず、地域の皆さんが水質の改善を心掛けること。そのためにも、まずは大和川に興味を持ってもらいたいなと思いました。